■あゆ本人のチェックが入る
――アーティストのチェックは大変そうな気がするんですが…
2曲目の歌詞自体のテーマが“祈り”だと思ったのですが、その祈りをイメージした巨大なアンドロイドが登場します。「祈りをささげるアンドロイド」というイメージなんですが、そのアンドロイドをライブ映像に重ねて演出すことができるんですね。これはまさに、CGチームの賜物です。でも、これが冷や汗ものだったんですよ。というのは、女神という女性を意識させる物体ということは、まず本人の象徴的なものになっちゃう。そういうものは本人チェックが相当厳しく入るので、最初から徹底的にマネジメントを通して本人に確認しておこうとしたんです。ところが絵コンテを見せても、結局本人のことろには届かないんですよ。これは何故かというと、結局NGが出たらすべて終わりなんで、まわりのスタッフも最高のクオリティの状態で見せようと考えるんです。トップアーティストになるほどよくあることなんですけど、結構そういうケースの典型的なパターンだった。それで本人に見せることになったのがマスターアップ直前という状態(笑)。
で本人に見せたら「何?コレ?」と驚かれたんです。当然、本人は絵コンテ見せられていないですからね。ハラハラしながらスタッフも見せてですね、返事を待っていたら…「いいじゃない」と(笑)。もう、これでダメだったら何百万円の賜物が一瞬にして、というところでした。
――アニメーションも出てきますが、これも同じですか?
「A Song for ××」というファンの間では非常に人気のある曲になりますが、幼少のころのイメージ映像がアニメで出てくる。少年のキャラクターなんですが、最初は少女だったんですね。それを少年に変更した。アニメ的なものっていうのは、本人のイメージを固めちゃう恐れがあって非常に怖いものなんですが、これもずーっと本人に見せないで、ハラハラしながら完成品を見せたら「いいじゃない」と言ってくれまして、ホっ、としました(笑)。今回の作品は、ある意味、非常にギャンブル的要素が多かったですね。
全方位撮影が可能なソニーの360度カメラ「FC1-V8」 |
――360度カメラは、他のカメラに比べると大きいですが、カメラチェックは入らなかったんですか?
入りました。驚いたのは浜崎さんご自身がカメラの位置チェックをしたことですね。この様子は隠し映像にも入っていますが、特に360度カメラのチェック。ステージの上にたっていますから、観客から見て邪魔にならないかどうかを、実際に客席に移動して確認されてました。
――実際にはステージにどーんと置いてあるんですか?
いえ、エアサスペンションで上下するようになってます。
――映像自体のチェックも相当入ったでしょうね
そうですね。通常のライブでもそうなんですが、このカット(ベーカム)はダメ、あのカットはダメというのが大量に出るんですね。今回はカメラが14台あるので、カメラチェックが入らないだろうと予想してたんですが、先方が「どうしても見たい」と言ってきまして(笑)。時間的には厳しかったんですが、短時間で全部チェックしてきた。これに製作スタッフは驚きましてね、相当力を入れてやらんといけないな、という気にもなりました。
――巻き戻しの機能は浜崎さんの希望だったとか?
そうなんです。映像を見た時に「これ、巻き戻せないの?」って(笑)。それで急きょ追加したんですが、MPEGって巻き戻しがひどく難しいんですよ。で、カウンターを出すことで巻き戻し感を出すようにしました。
すべて見終わったときに現れる隠し映像 | AYU BROWSER | AYU-MIX STUDIO。楽曲を自由にリミックスできる |
――この先にあるネライは何なんでしょうか?
プレステはネットにつながりますから、帯域が広くなったら、ユーザが作った作品でコンテストなんかかできると面白いと思いますね。
※「A VISUAL MIX」の「A」の文字は、実際にはこのロゴが使われています |