CD-R/RWの後継として期待が高まるリムーバブルメディア「記録型DVD」だが、複数の規格が登場しそれぞれが特徴を伸ばしつつ進化してきている途上にあるため、現段階では「どれを買えば間違いない」という見極めが難しい状況だ。そんな中、リコーやヤマハ、ソニー、Philipsなどが共同で策定した記録型DVDの新規格「DVD+RW」に対応する製品がついに登場した。
高速記録と互換性の高さに基づく
「PC上での使い勝手の良さ」がポイント
リコー、ソニー、ヤマハ、三菱化学、Philips Electronics、Thomson multimedia、Hewlett-Packard 、Dell Computerからなる「DVD+RW Alliance」により規格化が進められていた記録型DVD第3の方式「DVD+RW」。2001年8月、まずはじめにアメリカにてHewlet-Packardから同規格を採用したDVD+RWドライブが発表され、いよいよ本格的なデビューを迎えることになった。その直後に発表されたCD-RW&DVD-ROMコンボドライブで知られるリコーの「MP5120A」は、日本初のDVD+RWドライブとして9月28日より発売が開始される。
「MP5120A」はCD-RW&DVD-ROMコンボドライブの上位機種、つまり“DVD+RWへの記録”にも対応した「スーパーコンボドライブ」という位置付けの製品で、リコーがこれまでのコンボドライブ開発で培ってきたノウハウを活かした製品だ。新開発のピックアップは2系統のレーザーダイオードと1枚のレンズを持つ「2LD1レンズ」タイプで、DVD+RW記録に対応している点が大きく違うものの、基本設計はCD-RW&DVD-ROMコンボドライブに通じるという。また、DVD+RWへの書き込み機能を搭載するにあたって高精度なパルス制御を実現する「デジタルコントローラーLSI」やピックアップの駆動、サーボやレーザー出力などを制御する「アナログフロントエンドプロセッサーLSI」といった制御系LSIが、従来モデルからすべて刷新されている。
本体背面。インターフェイスはATAPIで、UltraATA/33に対応する。音声出力端子はアナログとS/PDIFの2系統。 |
なおDVD+RWへの記録時にはJustLinkは機能しないが、データとデータの“つなぎ目”を限りなくゼロ(1μm以下)にする「ロスレスリンキング」技術により、バッファアンダーランにより発生するデータのつなぎ目を極小に抑えているため、バッファアンダーランによる書き込み作業の不正終了は起こらない構造となっている。詳しくは後述するが、このロスレスリンキング技術により、DVD+RWでは「書き込み済みメディアへのデータ追記」が可能になっており、4.7GBという大容量のメディアを無駄なく利用できる。
記録密度がCD-R/RWより高い記録型DVDでは、メディアのそりや偏重心が正確な再生・記録を妨げやすい。そこでMP5120Aには、DVD再生時およびDVD+RWへの記録時、メディア面に対して常に垂直にレーザーが照射されるように、メディアの“そり”をセンサーで計測し、それに合わせてピックアップモジュールの角度を調整する「ラジアルチルト補正機構」が搭載されている。これにより、メディアにそりがあった場合でも正確にレーザーを照射でき、DVD記録・再生時の安全性が高められている。
リコー製DVD+RWメディアもドライブと同時に発売される。価格はオープンプライスで、実売価格は1500円前後になる。 |
リコーによると、MP5120Aは“CD-R/RWに慣れ親しんだPCユーザーが、これまでの使用感そのままに利用できる記録型DVD”を目指したという。本機では、これまでのCD-R/RWとほぼ同様の使い勝手・操作性を継承しつつDVD+RWならではの機能をサポートするソフトウェアをバンドルすることにより、CDよりもはるかに容量の多いDVD+RWをより活用しやすいものにしている。次ページでは、ベンチマークテスト結果も交えつつ、MP5120Aの付属ソフトを紹介していく。