日本ヒューレット・パッカード(株)(日本HP)は18日、都内のホテルで記者発表会を開催し、インクジェットプリンター新製品4機種を発表した。
代表取締役社長の寺澤正雄氏は冒頭の挨拶の中で「昨年暮れのプリンター商戦では、マーケットシェアを落としてしまったが、今年はこれを取り返したい」と、失地回復を目標として掲げた。
代表取締役社長の寺澤正雄氏 |
続いてコンシューマー向けプリンターの販売戦略について、同社執行役員兼コンシューマ事業統括本部長の小仲浩一郎氏が説明した。小仲氏は「パソコンの世帯普及率が50%を超え、2台目のパソコンを買うユーザーも多くなっている。そうした成熟した市場のもと、プリンターも2台目を買おうというユーザーが増えてきた。1台目は特化した機能を持つプリンターを選んでいたユーザーも、2台目は普段の使い勝手を重視する傾向にある」と述べた。
執行役員兼コンシューマ事業統括本部長の小仲浩一郎氏 |
ここで小仲氏はある調査会社が、2000年暮れから2001年にかけて行なった、インクジェットプリンター購入者に対する満足度調査の結果を紹介した。この調査によると、ベスト5の機種のうち上位から『deskjet 990cxi』『deskjet 957c』『deskjet 930c』と3位までを独占、テキスト印刷の速度、普通紙へのカラー印刷、音の静かさ、操作性、設置スペースの小ささなどの点で非常によい評価を得たとして「HPのプリンターの良さは使ってみれば分かる」と自信を見せた。
小仲氏が示した、インクジェットプリンターの顧客満足度調査ランキング |
一方で、2000年の暮れ商戦でシェアを失った理由として「(シェア1位の)エプソンさは“写真印刷”という明確なメッセージを掲げ、それがユーザーに受け入れられた。HPはオールラウンド機ということもあり、消費者へのメッセージ性が弱かった」ことを挙げた。今回は“速 美 省 快”(それぞれの文字は、スピード、印刷品質、省スペース/省資源、静粛性、使用時の心地よさを示している)というキーワードを掲げ、市場に対してもっとメッセージを発信していきたいという。
今回発表した新製品の販売目標は65万台で、これを達成すれば、台数ベースで9%弱のシェアとなり、失ったシェアを回復できるとした。
米国のインクジェットプリンター複合機市場における各社別グラフ。青がHPを示している |
同社コンシューマ事業統括ペリフェラルマーケティングマネージャの関根光次氏は、12日に発表したインクジェットプリンター複合機『hp psc 750』に関し「米国市場では、パーソナルユースやSOHO向けには、インクジェット複合機がかなり普及しており、個人向けプリンター市場の20%を占めている。そのなかでHPの製品はシェアにおいて圧倒している」とした。「HPの複合機の経験は長く、psc 750は5世代目の製品で完成度は高い。日本における個人向け複合機の市場はプリンター市場の3%とまだ低いが、1年半ほどで10%以上に引き上げたい」(小仲氏)として、個人向け複合機市場でのリーダーを目指す姿勢を見せた。
発表会場に並べられた新製品。奥左から時計回りに『psc 750』『deskjet 845c』『photosmart 1315』『cp 1160』『deskjet 948c』 |
HPは世界のプリンター市場においては、圧倒的なシェアを持つ存在だが、こと日本市場においてはセイコーエプソン(株)、キヤノン(株)に水をあけられている状態だ。“成熟した”日本の個人向けプリンター市場で、昨年の失地を回復しつつ、まだはっきりとした形のない複合機市場を本格的に立ち上げ、シェア飛躍の足がかりにしたい考えだ。