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LinuxWorld Conference & EXPO San Franciscoレポート(その1)

2001年08月31日 00時00分更新

文● 宮原徹

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8月28日、当地においてLinuxWorld Conference & EXPO San Francisco(以下、LinuxWorld/SF)が開幕した。LinuxWorldが米国で開催されるのもこれで6回目。今回はこれまでの西海岸の開催地であるSan Joseから、San Franciscoに会場を移しての開催となった。私(みやはら@びぎねっと)のレポートも11回目(※1)となるが、今回も現地からLinuxWorldレポートをお送りする。

※1 宮原徹氏による会場レポートすべてを含む

米Compaq Computer基調講演

LinuxWorldのトップバッターを飾るのは、米Compaq Computer(以下Compaq)の上級副社長であり、CTO(Chief Technology Officer)であるShane Robision氏の基調講演。タイトルは「Linux Throughout the Enterprise - Ready or Not?」と題して、特に企業の、ハイエンドシステムとしてLinuxが利用可能かどうかについて講演を行なった。

同氏は、たとえば電子メールが企業において、すでになくすことのできないツールとなっており、その環境としてオープンソースであるSendmailが75%も利用されていることを挙げ、オープンソースソフトウェアのパワーが、インターネットにとってなくてはならないものになっているとした。

その上で、Linuxやオープンソースソフトウェアが、企業の内部にある重要なシステムで利用されるうえで、たとえば信頼性や高可用性、パフォーマンスやサポートなど、必要とされる要素が多くあるが、それらをLinuxはクリアしている。そしてCompaqとしてもクリアするためにさまざまな努力をしていることを挙げた。

事例の紹介として、動画のストリーミングサービスを提供するPrimestreamがソリューションにLinuxを利用していることを、そしてより専門的にLinuxを採用している例としてSan Diego Supercomputer Centerを紹介した。

また、デモンストレーションを2つほど披露した。1つは同社のPDAである「iPAQ」を利用したデモである。Linuxが動作しているiPAQにワイアレスLANカードとデジタルカメラをセットし、デジタルカメラで撮影した動画をIPv6を利用してリアルタイムでリモートのLinuxマシンに転送するのである。残念ながら解像度は荒いものの、十分実用に耐えられる画質を持った動画をリモート配信することが可能になっていた。

もう1つのデモンストレーションはサーバであるProLiantを利用したデモである。同社は先ごろ、米Oracleが提供する予定のOracle9iの機能である「Oracle Real Application Clusters(RAC)」を、ディストリビューションベンダーのSuSEと共同で動作検証しており、今回は4ノード(マシン4台)を利用して動作していることを見せた。RACが持っている、たとえばフェールオーバー(1台が障害を起こしてもほかのノードが引き続いて動作し処理してくれる)といった機能のデモを行なうのかと期待していたら、残念ながら「とりあえず動いていますよ」ということを見せるだけのデモで、「あれ?」と肩透かしを喰らってしまった。せっかくアピールする場だったのに、これはちょっと残念。

講演全体を通じて、あまり目新しい話がなかったのは残念だった。また、「だから、Linuxなんだ」というメッセージがなかったような気がする。よくも悪くも、Linuxの活用方法はある程度成熟してきており、そして次の一手は見つかっていない、というところだろうか。革新的な利用方法は一朝一夕に出るものではなく、また時間をかければ出てくるというものでもないだけに仕方がないところだとは思うが、もう少しデモを充実させるなど工夫をする余地は多かったような気がする講演であった。

招待講演

招待講演として、CGアニメーション製作会社として有名な米DreamWorksの技術トップであるEd Leonard氏が講演を行なった。

同社は最近公開された『SHREK』というアニメーション映画の製作を担当しており、この映画の8割をLinuxを使って製作しているという。

従来のコンピュータによるアニメーションの製作は、グラフィックワークステーションのような、機能を特化させたものを使うことが多かった。しかし、ある程度機能が進化してくると、そのようないわゆる「専用機」よりも、コストの安くなった「汎用機」を利用したほうがパフォーマンスが高くなるという。現在においては、PCにLinuxをインストールして多数準備し、分散処理を行なったほうがよいということだ。

実際、同社ではそれまで多数のマシンを利用していたものが、現在では2CPU搭載のラック型のマシンを利用することにより、ラック1台(約40台)で済むようになったという。同社では、これらのCGのレンダリング(計算)用のマシンと、実際にアニメーションを作るための作業用クライアントとなるワークステーションにLinuxを導入しつつあり、近い将来、すべてをLinuxに置き換える予定だという。

同社に限らず、いわゆるコンピュータアニメーションを製作している会社のうち、名だたる会社の4分の3がなんらかの形でLinuxを使っているという。また、作業用のデスクトップ環境として使っている率が9割に及ぶなど、この業界においてはLinuxがサーバや計算用プラットフォームとしてだけでなく利用されている、ということが驚きである。

同氏によれば、彼らの業界はニッチ(隙間)であるという。確かに、誰も彼もがLinuxでクラスタを構成し、そこでCGアニメーションの計算をしようとは思わないだろう。しかし、これをもってLinuxの適用範囲が限られている、ということではないと思う。この業界は、この業界として必要なシステムの「パーツ」としてLinuxを有効利用し、そして成功しているのである。これはほかの業界においてもいえることである。一社の先進的な利用が呼び水となり、活用方法を研究し、ひいては業界全体がオープンソースの恩恵を受け、さらに全体として次の段階へ発展していく。その発展は、与えられたものをそのまま使うのではなく、「道具」として改良を加えていくことであり、非常に「主体的」である。今後、オープンソースの活用・発展には、このような主体的なユーザーが必要ではないだろうか?

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