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石原都知事「インターネットは幻想だ!!」――SAP、Eビジネスカンファレンス“SAPPHIRE 2001 TOKYO”を開催

2001年07月06日 01時32分更新

文● 編集部 中西祥智

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SAPジャパン(株)は5日、ユーザー向けのEビジネスカンファレンス“SAPPHIRE(サファイア) 2001 TOKYO”を開幕した。期間は5日、6日の2日間。

IT革命は活版印刷の派生――石原都知事

石原慎太郎東京都知事
特別講演を行なう石原慎太郎東京都知事

冒頭の特別講演で、石原慎太郎東京都知事は「最近跋扈するインターネットや携帯電話で得た情報は、幻想でしかない」と、ITが万能であるかのような風潮に警鐘を鳴らした。

石原都知事は人類誕生以後の文明について、技術の発達・発展によって文明も進歩・進展してきたとし、印刷・火薬 ・羅針盤の3大発明が中世を終わらせたが「IT革命は活版印刷の発明のいわば派生であって、必ずしも革新的なものではない」との認識を示した。

「IT革命は活版印刷の発明のいわば派生であって、必ずしも革新的なものではない」
「IT革命は活版印刷の発明のいわば派生であって、必ずしも革新的なものではない」

そして、スティーブン・ホーキング博士(※1)が「この宇宙には少なくとも200万の地球のような惑星が存在しているが、誰も宇宙人や宇宙船を見たことがないのは、宇宙船を作れるようなレベルに達した文明は、その後加速度的に消滅する」と語ったことを引き合いに出し、人類の文明もここまで進歩すればもう長くはないかもしれず、「孫の孫の世代には地球は存続しているのか」と危惧した。

※1 Stephen William Hawking――イギリスの宇宙物理学者。ALS(筋委縮性側索硬化症)のため、眼球以外はほとんど動かせず、会話も合成音声で行なう。ブラックホールの中心にある“特異点”の存在や、ブラックホールの“蒸発”を唱えた。

石原都知事は、持論の首都機能移転無用論や官僚・政治家・アメリカ批判を語ったあと、「大阪に本社を置く企業の社長が週に1~2回は上京するのは、実際に会って情報を取りに行くためだ。いかなる文明・技術でも感性や情念がなければいけない。インターネットや携帯電話で得る情報は形骸であり、自分の感性と情念でフィルターをかけて初めて情報は情報となる」とし、あくまでも情報とは実際に体験・経験したものでなければならないと述べた。

SAPにおまかせください!! ――SAPジャパン藤井社長

特別講演に先立って行なわれた基調講演において、独SAP社共同会長兼CEOのヘニング・カガーマン(Henning Kagermann)氏は、特定の問題にだけ対処するポイントソリューションではなく、あらゆる事態に対応できるフルスイートソリューションとして、自社のEビジネスプラットフォーム“mySAP.com”の必要性を強調した。また、限定的なプライベート・エクスチェンジによって、パートナー企業などと知識やノウハウの共有を行なうことに利点があるとした。

独SAP社共同会長兼CEO ヘニング・カガーマン氏独SAP社共同会長兼CEO ヘニング・カガーマン氏

SAPは4月に米TopTier社を買収し、それによって同社のエンタープライズ・ポータル技術を『mySAP ワークプレイス』に統合している。カガーマン氏はエンタープライズ・ポータルを使用することでユーザーレベルの統合が可能になり、業務の効率化が行なえるとしている。

カガーマン氏に続いて、SAPジャパン代表取締役社長の藤井清孝氏は、2001年度の上半期、同社が30%以上の成長をとげたと語った。

SAPジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏SAPジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏

藤井氏はカガーマン氏の話の要点として、コラボレート、インテグレート、エンパワーの3点を挙げた。また、CRMやSCMが成功するにはERPの存在が不可欠だが、異環境を統合することの複雑さやコストが無視されているとし、すべてのソリューションにSAP製品を導入すべきだと示唆した。

そして、今後のビジョンとして、エンタープライズ・ポータルによって個々の従業員の付加価値を高め、また他社製品との接続も行なうこと、グローバルな関係も含めて日本企業独特のグループ経営にプライベート・エクスチェンジで対応していくこと、他社製品への接続を行なうとしながらも、全環境をSAPの製品で統一したほうが投資効率がよいことなどを話した。

「SAPにおまかせください」
「SAPにおまかせください」

藤井氏は圧倒的なユーザー数や豊富な導入事例など、自社の強みを強調し、「SAPにおまかせください」と、あらゆる分野でSAP製品を利用するように勧めた。

かつて、マイクロソフトはOS分野を独占した後、オフィススイート、ウェブブラウザーなど、OSとの連携のよさを売り物に、次々と新たな分野を制覇していった。ERP製品では圧倒的な強さを誇るSAPは、2年前に“mySAP.com”を発表して、CRMやSCMといった分野に本格的に参入した。そして、SAPもマイクロソフト同様に、ERPとの連携を武器にしてそれらの分野を制覇しようとしている。SAPは、Eビジネスにおけるマイクロソフトを目指しているように思えてならない。

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