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リエンジニアリングの権威ハマー氏「2000年代は企業間の壁を壊す時代」――“SAPPHIRE 2000 Tokyo”から

2000年07月18日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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SAPジャパン(株)は18日と19日の両日、東京国際フォーラムにおいて、プライベートショー“SAPPHIRE 2000 Tokyo”を開催している。初日には、マイケル・ハマー(Michael Hammer)氏の講演が行なわれた。同氏は、ビジネスプロセスリエンジニアリングの世界的権威で、'96年にはTime誌において最も影響力のある25人にも選ばれたことがある。

パートナー企業の展示とセッションが開催されている。入場は無料(一部有料)。
パートナー企業の展示とセッションが開催されている。入場は無料(一部有料)。



「米国はeエコノミー時代に入ったなどの作り話を聞く」

ハマー氏は最近よく聞く作り話として、「米国はeエコノミー時代に入った。eコマースこそがインターネットで最も重要なアプリケーションである。ERPはもう古い。ERPの導入にはリスクをともない、困難かつ時間がかかる。太陽が地球の周りを回っているなどと聞く」と語り始めた。

マイケル・ハマー氏。自信に満ちた大声で、声をからすこともなく講演したマイケル・ハマー氏。自信に満ちた大声で、声をからすこともなく講演した



「次に真実をみてみよう。企業は、顧客を中心としたビジネス活動を行なう。ニューエコノミーとは、パワーを得た顧客のことであってテクノロジーのことではない。顧客が求めているのはスピード、イノベーション、高品質、低価格、そして柔軟性である」、「ビジネスプロセスのパフォーマンスが、企業のパフォーマンスを決定する。テクノロジーは、ビジネスプロセスのパフォーマンスを向上させるためのツール」と語り、統合化こそが今日のビジネス成功のかぎなのだと説いた。

2000年代は企業間の壁を壊す時代

ハマー氏は、「従来の組織は、各組織でバラバラに自分の組織のことだけを考えていた。次の段階で各部門にコンピューターが導入され部門の効率は上がった。しかし、それは部門間には反映されず、相変わらずだった。その分断の報いが、付加価値のコスト、低品質、遅延、失敗と作業の繰り返し、責任の欠如となった」と、企業内の壁が引き起こす数々の問題点について述べた。

「そこにERPを導入するとどうなるのか。ERPを導入した組織は、部門ごとがバラバラではなく、前後左右がERPによって結ばれる。ERPを導入した企業からは、1つのチームで全ての業務を行なえるようになった。全体像が理解できるようになった。会社内の壁がなくなりつつあるといった声が聞かれた」と、ERPを導入することで企業内の壁が崩壊するのだと語った。

「企業内の壁がなくなったその次は、企業間の壁だ。2000年代は企業間の壁を壊す時代になる。それにはインターネットを利用する。これこそがインターネットの真の力なのだ」と、講演の冒頭に話した作り話「eコマースこそがインターネット」ではなく、真のインターネットは企業間の壁を壊し統合するものなのだと力説した。

最後にハマー氏は、「まとめるとこうだ。顧客がすべての基本にある。パフォーマンスの向上が目的。企業内の統合が前提となる。ERPはそれを実現するツールである。企業内統合の次は、企業間の統合。それはインターネットで実現できる。地球は太陽の周りを回っている」と、人間が一度に記憶できる数の7つにまとめたから、これらを記憶してほしいと語り、講演を締めくくった。

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