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コーウェア、松下電器に携帯電話用システムLSI設計プラットフォームを提供

2001年01月29日 19時11分更新

文● 編集部 佐々木千之

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EDA(Electronic Design Automation)ベンダーのコーウェア(株)は29日、松下電器産業(株)の半導体開発部門との間で、携帯電話などに向けたシステムLSIやソフトウェアの開発プラットフォームとして『CoWare N2C』を提供する3年間の包括的契約を結んだと発表した。この契約によってコーウェアは松下電器に対し、トレーニング、システムレベル設計メソドロジー(生産性改善のための設計手法やノウハウの構築方法)、ソフトウェアライセンスを提供するとしている。

米コーウェア社、社長兼CEOのギード・アルノー(Guido Arnout)氏
米コーウェア社、社長兼CEOのギード・アルノー(Guido Arnout)氏

CoWare N2C(Napkin-to-Chip)(※1)設計システムは、システムLSIにおけるソフトウェアとハードウェアの開発を、C/C++言語で行なうことのできる開発プラットフォーム。ハードウェアとソフトウェアの両方を統合して開発することで、開発工程を並行して行なうことができ、開発期間を従来の半分以下に短縮することができる。従来の開発方法では、システムアーキテクチャーの選択、IP(Intellectual Property)の選択、ハードウェア設計、ソフトウェア設計、システムの統合と、1つずつ進めなくてはならないため、開発期間が長くなり、もともとの開発目標としていた製品が、リリース時の市場の実状に合わないといったことが起こりがちだったという。

※1 N2C(Napkin-to-Chip):ナプキン・トゥ・チップ。開発者が紙ナプキンに書いた(思いついた)アイデアを、そのまま時間をかけずにチップにできる、というコンセプトを表している。

N2Cでの開発手法と従来の手法との比較図
N2Cでの開発手法と従来の手法との比較図
松下電器、半導体開発本部EDA技術開発部の岡本ゼネラルマネージャー
松下電器、半導体開発本部EDA技術開発部の岡本ゼネラルマネージャー。複雑化し、また開発期間の短縮が要求されるシステムLSIを設計する上で、N2Cは唯一の実用的協調設計ツールだという

松下電器は、2年前にコーウェアがN2Cシステムを提供開始したころから利用しており、従来同社が使用していたメソドロジーと比較して設計期間短縮の効果があるとし、本格的導入に踏み切ったという。N2Cにおける協調設計技術をブラッシュアップし、将来は半導体開発部門に限らない、松下社内のセット・システム部門への展開を進めたいとしている。コーウェアは今回の契約で、松下電器にシステムの提供やサポートを行なうことで、今後の需要増が見込める携帯電話関連システムLSI設計をする上での、開発ツールについてのフィードバックを得て、これからのツール製品開発に生かしたい考えだ。

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