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高精細超大画面映像システムのリアルタイム伝送実験で日韓サッカーを中継

2000年12月20日 22時57分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(財)新映像産業推進センター、(財)機械システム振興協会、(財)機械産業記念事業財団の3財団は20日、新映像産業推進センターが研究開発を進めている『高精細超大画面映像システム』のリアルタイム伝送実験を共同で実施した。

中継映像を表示する縦3×横16mの超ワイドスクリーン。全フィールドを一望でき、画面正面で観ると、スタジアムで観戦しているような臨場感を味わえる

同システムは、日本が2002年のワールドカップ招致にあたり提案した“バーチャルスタジアム構想”の流れを受け、研究開発されているもの。単レンズ方式撮影システムを利用して、サッカーなどの全フィールドを一望に俯瞰撮影し、シームレスで歪みのないハイビジョン3画面分の高精細超大画面映像を、縦横比が9:48の超ワイドスクリーンにリアルタイムで映し出すことが可能。スポーツ観戦やイベントなどでの活用を想定しており、2002年ワールドカップでの実運用を目指しているという。

今回の実験では、3画面シームレス伝送用HDTVコーデック、超高速デジタル光無線システムなどを利用して、縦3×横16mのスクリーンに、本日19時より東京/国立競技場で行なわれた日韓親善サッカー(日本代表対韓国代表)の試合の模様をリアルタイムで中継、新開発の機器の評価を含めた実証実験が行なわれた。

超ワイドスクリーンは、ハイビジョン3画面分で構成される。写真は正面左の画面
中央の画面
右の画面

高精細超大画面映像システムは、撮影系、伝送系、表示系で構成される。今回の伝送実験では、撮影機器である単レンズ方式撮影システムを国立競技場5階アナウンス室脇に設置、ハイビジョン3画面を撮影する。“HDTVシームレスビデオプロセッサ”が3つの画面を接合するための重なり部分を自動生成し、この重なり部分をクロスフェード処理する。処理されたハイビジョン映像3画面と音声は、ハイビジョン用MPEG-2エンコーダで圧縮された後、“TSマルチプレクサ”により多重化され、“ATM-CLAD”によって光のATM信号に変換される。

その後、国立競技場の屋上に設置された光無線装置から、近隣の日本青年館屋上を経由し、スクリーン設置場所である機械産業記念館(TEPIA)の屋上に設置された光無線装置まで、レーザー光を利用した光空間伝送で信号を送る。

TEPIA側のATM-CLADは、受信したATM信号をハイビジョン用MPEG-2デコーダに供給可能な信号に変換、撮影時のハイビジョン映像と音声を復元する。3台のプロジェクターが3画面映像を個別に大スクリーン(縦3×横16m)に投射、映像がスクリーンに映し出される。

メンバー表や、スロー映像なども別ウインドーとして画面に表示できる

実験会場では、サッカーの中継を行ないながら、リアルタイム伝送システムの評価を行なった。また、中継途中で、伝送ビットレートを22Mbps、32Mbps、40Mbpsに変更して画質を評価したり、新開発のズーム型レンズ方式撮影システムの性能評価などを検証した。

実証実験参加者は、大迫力の画面に釘付けでサッカー観戦。中継の途中でさまざまな技術実験が行なわれたが、伝送ビットレート変更実験で画面を切り替えている最中に韓国の先制ゴール。音声だけ聞こえ、画面は真っ暗の会場は「うおおおっ」。画面切り替えが完了し、試合映像が戻ってきたと思ったら喜ぶ韓国チームが映っており、みんなでため息。とりあえず引き分けでよかったです

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