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象印、通信機能搭載の電気ポットを発表

2000年12月18日 20時01分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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象印マホービン(株)は18日、(株)NTTドコモ関西、富士通(株)と協力し、無線通信機を内蔵した電気ポットで、離れて暮らす家族を見守るサービス“みまもりほっとライン”を2001年3月21日に開始すると発表した。

底部に専用インターフェースと無線通信機を内蔵した電気ポット『iポット』。本体形状や使用方法は通常の電気ポットと同じで、特別な操作はまったく必要ない。容量は2.2リットルで本体高さは30cm。底部を追加したため、従来の2.2リットルサイズのポットより高く、既存の3リットルサイズと同等の高さとなっている。重量は3.5kg

離れて暮らす家族の状況をポットがお知らせ

みまもりほっとラインは、NTTドコモ関西の無線通信機『Mobile Ark』を内蔵した新開発の電気ポット『iポット』を利用したサービス。iポットは、通常の電気ポットと同じポット部のほか、本体底部に同社独自開発のインターフェース部を搭載しており、iポットの電源を入れたり、水を入れたり、給湯ボタンを押してお湯を使用したりといった操作を行なうと、底部のインターフェース部がそれを感知し、“○時○分に給湯した”といったポットの使用状況をデジタル信号に変換する。

さらにその信号を無線通信可能な方式に変換し、同じく底部に内蔵されているMobile Arkを経由して、NTTドコモのパケット通信サービス“DoPa”網へ発信する。発信されたデータはDoPaを通じて、富士通が運営する兵庫県明石市のシステムセンターに設置された専用サーバーに送信される。

象印が独自に開発したインターフェース部。ポットの使用状況を感知し、通信信号に変換する
インターフェース部とともに、底部に内蔵されているNTTドコモ関西のMobile Ark

サービス契約者は、高齢の両親など離れて暮らす家族にiポットを通常の電気ポットと同様に使用してもらい、その使用状況を専用ホームページや電子メールで確認できる。専用ホームページでは、ポットの使用状況と、過去1週間の使用状況グラフを閲覧できる。電子メールでは、契約者が指定した時間(1日2回)に使用状況を、契約者のパソコンや携帯電話宛に配信する。

みまもりほっとラインのホームページ画面。契約者の専用ページにアクセスするにはIDとパスワードが必要
契約者専用ページのiポット使用状況確認画面。過去1週間分の使用状況が日付ごとにグラフ化される
携帯電話を利用した使用状況メール画面。グラフはないが、テキストで使用状況が確認できる

同サービスは、契約者が離れて暮らす家族の生活状況をさりげなく確認するためのサービスで、同社が利用者の使用状況を監視したり、普段と異なった状況があった場合に契約者に連絡を取ったりするものではない。利用者のiポットの使用状況を確認し、普段と変わった点があった場合は、契約者自身が利用者に電話をしたり訪問するなどして連絡を取る必要がある。

ポットなら“監視されている”という不快感がない

同社は、3年前より、電気ポットとデータ通信機を家庭内電灯線でつなぎ、電話回線を通じてデータ通信機からポットの使用状況を安否確認センターに送信するといった監視システムを展開しており、現在東京と大阪で計40台が稼動しているという。今回のみまもりほっとラインは、この監視システムの利便性を高めたもの。従来の監視システムと異なる点は、契約者がホームページや電子メールなどでいつでもどこでもポットの使用状況を確認できることと、ポットに無線通信機を内蔵しているため設置工事が不要であることという。

同社は、使用する電化製品に電気ポットを採用した理由として、毎日使用する電化製品であること(お茶を飲むときに利用するなど)、プライバシーが尊重されること(使用回数が多くても恥ずかしくない、カメラのように監視されているという不快感がない)、利用者ごとに一定の使用パターンがあること、などをあげている。同社は、例えば毎朝6時にポットの電源を入れている人が、その日は10時に電源を入れたなど、利用者の一定のリズムが崩れたときに連絡してもらいたいとしている。

料金は、初回契約料が1万5000円(2001年3月10日までに契約申込を行なった場合は1万円)、月額利用料が3000円。契約期間は2年。iポットは貸与のため、契約期間が終わると象印に返却となる。申込受付は12月25日より開始、目標契約獲得数はサービス開始後2年間で1万件という。

みまもりほっとラインは象印が提供する情報サービスのため、同社の従来製品のような店頭販売は行なわない。みまもりほっとラインの契約希望者は、ホームページやフリーダイヤルを通じて象印に直接資料請求を行なう。その後、象印よりパンフレットや申込書が郵送されるので、申込書を返送し契約料を振り込むと、象印がiポット利用者宛にiポットを納品する仕組みとなっている。

本日都内で行なわれた発表会で、象印マホービン代表取締役副社長の黒川昌洋氏は、「みまもりほっとラインは、電気ポットの使用状況をインターネットを通じて携帯電話やパソコンで確認できるサービス業。NTTドコモには移動通信技術を、富士通にはインターネット技術をそれぞれ提供してもらう。独居老人の日常生活を自然に見守ることが可能な、一種のコミュニケーションの提案。毎日電話をかけるのは煩わしいし、かといってまったくかけないと不安、このシステムだと離れていてもつながっているとう安心感がでるのでは。今後も移動体通信やインターネット、パソコンと組み合わせた複合商品やサービスを作り上げ、ユーザーのニーズに応えたい」と説明した。

また、NTTドコモ関西モバイルマルチメディア開発本部法人営業統括部SI担当部長の瀬口弘晴氏は「家庭電化製品にモバイルデータ通信機が内蔵されるのは初めてのこと。データ通信を利用したシステム事例として世の中に送り出したい」、富士通西日本営業本部関西ネットワーク統括営業部長の岡田好生氏「モバイルコンピューティングの発展を見越した先進的な試み。富士通はシステムセンターの運用と顧客勧誘で協力する」とそれぞれコメントしている。

右から、象印マホービン(株)経営企画室サブマネージャーの若杉晋輔氏、象印マホービン(株)代表取締役副社長の黒川昌洋氏、(株)NTTドコモ関西モバイルマルチメディア開発本部法人営業統括部SI担当部長の瀬口弘晴氏、富士通(株)西日本営業本部関西ネットワーク統括営業部長の岡田好生氏

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