デビューから1年あまりが経過したPCG-XRシリーズは、そのスタイリングとこだわりのギミックによって、未だに強烈な個性を放つノートPCである。XRシリーズの最上位機種「PCG-XR100F/K」は、エグゼクティブのためのハイスペックPCではなく、クリエイティブなユーザーをターゲットにしたハイエンドモデルだ。
ハードとソフトにこだわったクリエイターのためのノートPC
XRのギミックの1つに、液晶パネルを開けるのに伴いボディ後端のカバーが開いてチルトスタンドになるという「インタークーラーフラップ」がある。これは強力な廃熱効果を実現するためのシステムだ。XRシリーズは、少なくとも2年間は同一の筐体を使用することで、ハイスペックなマシンを安価に提供するという計画の下に開発されており、2年先のCPUやビデオチップの発熱に十分対応できるように考えられた仕組みである。
初代モデルの登場から1年あまりが経過し、'99年秋冬モデルとして発表されたPCG-XR100F/Kは、液晶サイズが13.3インチから14.1インチに拡大されたのに伴うボディサイズの変更を除けば、公約どおり登場時と同じスタイルのまま最速のノート用CPUであるMobile PentiumIII-850MHzを搭載している。内蔵ファンからの排気を手に受けてみるとかなり温かく感じるが、それだけ効率よく排熱が行われていることの証であり、長時間使用してもボディの一部分が特別に熱を帯びるようなことはない。
CPU以外のハードウェアも、VAIOノートのフラッグシップモデルらしく豪華な仕様だ。メインメモリは2つ装備するSO-DIMMスロットの1基に128MBのSDRAMモジュールを装備し、HDDは前モデルPCG-XR100E/Kの18GBから一気に30GBへと拡大された。さらにビデオチップは、もはや時代遅れの感が強かったPCG-XR100E/KのMagicMedia 256XL+(NM2380)から、8MBのビデオメモリを内蔵するS3のSavage/IX8に変更され、3D描画性能は格段に強化されている。光メディアドライブには標準でCD-RWドライブを選択し、XRシリーズのクリエイティブ性の高さを印象づけている。
また下位モデルではオプションとなる、拡張コネクタボックス「パワーアップステーション」が標準で付属するのもPCG-XR100F/Kの特徴だ。シリアル/パラレルをはじめ、光オーディオ出力端子やビデオ出力(コンポジット/S-VIDEO)端子を備えるなど、さまざまな周辺機器に対応できるよう、XRシリーズの拡張性を大幅に強化してくれる。
下位機種ではオプションとなるパワーアップステーションが付属するのも、豪華仕様を誇るフラッグシップモデルのPCG-XR100F/Kならでは。パワーアップステーションはホットスワップが可能なので、本体と周辺機器の接続が手軽に行える。外付けしたFDDを固定しておくこともできる。 |
ハードウェアだけではなくプリインストールソフトもクリエイティブ指向のはっきり表われた内容だ。i.LINK端子を利用してDVキャプチャを行うための「DVgate Ver.2.2 」や、簡易動画編集の「MovieShaker Ver.1.2」に加え、ノンリニア編集を行う「Adobe Premiere 5.1 LE 日本語版」とそのオリジナルプラグイン「SoftSPARKLE サンプル版」まで用意されており、ノートPCでありながら本格的なデジタルビデオ編集にも対応できる。
いささか目新しさは薄れたXRシリーズだが、ステンレス製金属バネを採用したキーボードのタッチや、液晶周辺までをフラットに見せるフラッシュサーフェイスデザインなど、高級なPCであることを実感でき、作りの良さも相まって安心感に溢れたPCであることには変わりはない。実売で40万円という価格も納得のいくクリエイティブなユーザーのためのハイエンドPCである。
ステンレス製の板バネが非常に心地よいキータッチを生むPCG-XR100F/Kのキーボードは、ノートPCのベストといっても過言ではない。また使いやすい位置に装備するジョグダイヤルも操作性の向上に大いに貢献している。 |
CD-RWドライブを内蔵する「マルチパーパスベイ」は、付属のFDDやオプションのHDDユニットに差し替えが可能。目的に応じて最適なスタイルを選択できる。 |
CPU | Mobile PentiumIII-850MHz |
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メモリ | 128MB |
液晶 | 14.1インチTFT |
解像度 | 1024×768ドット/フルカラー |
HDD | 30GB |
CD-RW | R4倍速/RW4倍速/CD20倍速 |
通信 | モデム |
サイズ | 308(W)×261.2(D)×39~45(H)mm |
重量 | 約3.1kg |
OS | Windows 2000 Professional |
Officeアプリ | - |