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2002年冬のソニー「バイオ」シリーズは、「映像」「音楽」「静止画」の3本柱を核としたホームネットワークに重点を置いて、各ラインナップのモデルチェンジを行っている。同時リリースされたネットワークメディアレシーバ「ルームリンク」とインターフェイスを共通化した、動画/音楽/静止画再生ソフト「VAIO Media Ver.2.0」が全機種に導入されていることからも、それは明らかだ。
ここで紹介する「バイオノートGR」の最廉価モデル「PCG-GRS50/B」は、TV録画機能や無線LANなどを持たないためハードウェア的にはシンプルだが、しかし、バイオの多彩なオリジナルソフト群を十分に生かせる基本性能と拡張性を備えたマシンに仕上がっている。
省スペースデスクトップからの
リプレイスとしても好適
写真1 底面にはポートリプリケータ用のコネクタのほか、2基のSO-DIMMメモリソケット(うち1基は装着済み)とTypeIIIのminiPCIスロットにアクセスできる。写真左右上端の突起を起こせば、液晶側をチルトすることも可能だ。 |
A4ノート「バイオノートGR」は、実は2002年1月以来の大モデルチェンジとなる。CPUはPentiumIII-MシリーズからFSB400MHzのPentium 4-M/Celeronに切り替わり、ラインナップ全体で大幅にクロックが引き上げられた。また、同時にチップセットも845MP/MZへ変更され、メモリにはDDR SDRAMが搭載されている。
せっかくのこの高性能、どこへでも持ち運びたいところだが、車ならともかく電車通勤の身では、A4ノートを毎日持ち運ぶのは相当な重労働になる。従って想定される使用環境は、やはりホームユースが筆頭に挙げられる。例えば、省スペースデスクトップよりも小回りの利く(気分に応じて使い場所を変えられる、など)PCが欲しいと考えている人や、古くなったデスクトップPCのリプレースを検討している人だろう。
写真2 左側面には換装可能なドライブベイとPCカードスロット、i.LINKポートを装備する。 | 写真3 右側面の中央のカバーの中にはHDD、左端のカバーの中にはバッテリがそれぞれ収納されている。 | |
GRシリーズは、ハイエンドの「GRX」と低価格の「GRS」という2系統に大別され、ここで取り上げる「PCG-GRS50/B」は新GRシリーズの最廉価モデルに当たる。店頭での実売価格はおよそ19万円前後。価格が安く抑えられている分、ボディ素材やチップセット、メモリクロックなど多くの部分が上位モデル(GRX)とは異なるものの、基本構造や拡張性は共通だ。その代表例が着脱可能なドライブベイで、標準で装着されているのはCD-RW&DVD-ROMのコンボドライブだが、別売の追加バッテリパック「PCGA-BP2NX」を装着して駆動時間を約6.5時間(JEITA測定法Ver.1.0)にまで延長したり、今後オプションとして発売が予想される記録型DVDドライブなどへの換装が行える。
ちなみに標準装備のコンボドライブのスペックは、CD-R書き込み最大16倍速/CD-RW書き換え最大10倍速/CD-ROM読み込み最大24倍速/DVD-ROM読み込み最大8倍速となっており、バッファアンダーランエラー防止機能を搭載している。また、ライティングソフトとして「Drag'n Drop CD」がプリインストールされている。
高効率の排熱設計と
ハイパフォーマンスのビデオチップ
写真5 6列91キーのキーボードレイアウト。キーの底のラバーキャップによって打鍵時の静粛性を高めている。 |
しかし、いくら拡張性があるといっても、ノートPCはデスクトップのように入力デバイスや表示デバイス、マザーボードまわりの交換が利かない。特にキーボードやビデオチップは常に見て触れる部分だけに、PC歴が長い人ほど特にこだわりたい部分だろう。
GRS50/Bのキーボードは、大柄な本体のボディサイズを生かしてゆったりとしたレイアウトになっている。文字キーは周辺部で細くなることもなく、すべて同じサイズでキーピッチは約19mm。キータッチは比較的ソフトだ。キーストロークは約3mmと十分ながら、タイプするとキーボードの底が若干たわむので、固めの感触を好むユーザーには合わないかもしれない。とはいえ、パームレスト部が奥行き約11cmと大きくとられているので、ソフトなキーの感触とあいまって疲れずに打ち続けることができる。
ポインティングデバイスはタッチパッドとバックボタン付きのジョグダイヤルで、両者が縦に並んで配置されている。ジョグダイヤルは回転でスクロールと項目選択、押下でメニュー呼び出しと決定、バックボタンでキャンセルという具合に機能するので、食事を採りながらどちらか空いているほうの片手でWebブラウズ、といった場合でもスムーズに操作できてしまう。
画面1 映像/音楽/静止画コンテンツを貯め込んだバイオをメディアサーバとして利用するためのクライアントソフト「VAIO Media Ver.2.0」。バイオの全モデルに導入されている。 | 画面2 DVからの動画取り込み、編集、映像効果を行う「MovieShaker Ver.3.3」。編集後はMPEG-2やGiga Pocket形式での出力も可能。 |
また、特筆しておきたいのは、長時間キーを叩き続けてもまったく熱を持たなかったパームレストだ。いや、パームレストに限った話ではなく、GRS50/Bは1日中動作させていてもボディの底がほんのり熱を帯びる程度で、触って熱いと感じることは一度もなかった。
実はこのマシンの筐体には、熱伝導率の高い銅の放熱フィンと吸熱パイプ、そして静音ファンを組み合わせた「アドバンストサーマルクーリング機構」が採用されていて、マザーボード上にこもりがちな熱気を大量の吸排気によって一気に外部に逃がす仕掛けが組み込まれている。このおかげで、使用中に手のひらや太ももが熱くてかなわん、なんてことにはならないのだ。
もうひとつの気になるスペック、画面表示についても触れておこう。GRS50/Bは、CPUにCeleron-1.7GHz、メモリに200MHz駆動のDDR SDRAM256MBを搭載している。この構成に組み合わされているのは、ATIのノート向けビデオチップ「MOBILITY RADEON 7500(16MB)」。
ベンチマークソフト「3DMark2001 SE build330」を実行してみたところ、スコアは3306を記録した。同クラスのCPUを載せたデスクトップPCと比べれば決して高速ではないが、「DiabloII」や「QUAKEIII」ならこのノートPCでも問題なく動作する。また、「Final Fantasy XI Windows版」の動作チェッカ(Webサイトより入手可能)では、スコアは3周平均で1950前後だった。スクウェアによれば、スコア1500~3000の範囲は“快適ではないものの動作可能”としているので、解像度を落としてエフェクトを抑えれば、十分遊べると思っていいだろう。
GRS50/Bの秘めたポテンシャルは、単純なマシンパワーだけでなく、熱をこもらせない内部設計や機能的なセンタージョグダイヤルなど、PCとしての基本性能の充実に根拠がある。ゲームをはじめ、動画編集や静止画の加工、音楽ファイルの圧縮はもちろんのこと、ただWebを見ているだけでもGRシリーズならではの高性能ぶりを実感できる1台だ。
バイオノートGR PCG-GRS50/Bの主なスペック | |
製品名 | PCG-GRS50/B |
---|---|
CPU | Mobile Celeron-1.7GHz |
チップセット | Intel 845MZ |
メモリ(最大) | PC1600対応DDR SDRAM256MB(512MB) |
グラフィックス | ATI MOBILITY RADEON 7500(32MB) |
液晶 | 15インチTFT(1024×768ドット/フルカラー) |
HDD | 40GB |
FDD | 別売 |
光メディアドライブ | CD-RW&DVD-ROMコンボ(CD-R16倍速/CD-RW10倍速/CD24倍速/DVD8倍速) |
スロット | PCカードTypeII×2、メモリースティックスロット(マジックゲート対応) |
通信 | Ethernet、モデム |
I/O | USB 1.1×3、i.LINK、パラレル、外部ディスプレイ、ポートリプリケータコネクタ、AV出力、ヘッドフォン出力、マイク入力 |
サイズ | 約327(W)×271.6(D)×41.6~43.6(H)mm |
重量 | 約3.4kg |
OS | Windows XP Home Edition |
オフィスアプリ | Microsoft Office XP Personal |
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