「EZ-USB」は、カシオ計算機が今秋からリリースを開始したPC用USB機器のシリーズだ。従来のPC用周辺機器というイメージではなく、より手軽に使える電子文具的な製品を目指しており、コンパクトなサイズと手頃な価格、シンプルな操作性などを特徴としている。10月末には第1弾として小型ラベルプリンタである「マウスプリンター KP-C50」と「スマートエッグ KP-C10」などが発売された。今回紹介する「LV-10」はハンディサイズの低価格デジタルカメラだ。
レンズ付きフィルムのような手軽さ
|
---|
LV-10の上面には液晶表示になっており、撮影可能残り枚数やストロボ/解像度のステータスが表示される |
LV-10は、タバコの箱程度とコンパクトサイズな31万画素低価格デジタルカメラだ。インターフェイスはUSBのみで、記録媒体は4MBの内蔵フラッシュメモリ。画像データは640×480ドットもしくは320×240ドットで、高解像度モードでは最大60枚、低解像度モードでは最大120枚まで記録可能だ。内蔵ストロボを装備しており、自動発光/発光禁止が選択できる。カメラ本体には液晶モニタなどの画像表示機能はなくファインダも光学式のみ、撮影モードも解像度とストロボが変更できるほかはセルフタイマーのみと、いたってシンプルな構成だ。
|
---|
LV-10の背面。メインスイッチのほかに操作スイッチは3つのみだ |
PCへの画像の転送はUSB経由で行い、ケーブルや付属ソフトのほか、エー・アイ・ソフトの画像管理/印刷ソフト「デジカメ de!! 同時プリント Lite Standard for CASIO」が同梱される。
実際に撮影してみると、VGA解像度のCCDと固定焦点レンズで撮影された画像は、メガピクセルクラスのデジタルカメラの画質に比べて見劣りがするのは否めない。直射日光下ではかなり飛び気味になる場合があるほか、蛍光灯下ではいかにも蛍光灯らしい緑色がかった画になるなど、自動露出や自動ホワイトバランス調整の範囲は狭いようだ。
1万円以下で販売される35万画素以下のいわゆる「トイデジカメ」は気軽に購入できるだけでなく、普段からポケットに入れて持ち歩いても負担にならないという気楽さがいい。実際にLV-10を使ってみると、電源スイッチを押してから撮影可能になるまでの時間(1秒以下)や、シャッターのタイムラグがほとんどない点、1万円以下の低価格デジタルカメラとしては珍しくストロボを内蔵する点なども含めて操作性は非常に良好で、軽量(120g)かつコンパクトな本体も好感が持てる。また、USB接続時はPC本体からUSB経由で給電して動作するため、画像転送時に電池切れの心配がなく、PC用カメラ(いわゆるCCDカメラ)として利用できるという点も応用範囲が広そうだ(NetMeetingなどPCカメラ向けのソフトは付属しない)。
名機「QV-10」でデジタルカメラ市場の立ち上げに大きな役割を果たし、最近では腕時計型「リストカメラ」の発売で注目を集めている同社の製品としては、LV-10は少々平凡なスペックなのが個人的に残念ではある。
| LV-10撮影サンプル。縦位置で撮影したため480×640ドット(クリックするとオリジナルの撮影画像データが表示されます)。 |
---|
主な仕様
製品名 |
LV-10 |
撮像素子 |
1/3インチCMOSイメージセンサ 総画素約31.1万画素、有効画素約30.7万画素 |
メモリ |
内蔵4MBフラッシュメモリ |
記録画素数 |
640×480ドット/320×240ドット |
レンズ |
42mm相当(35mmフィルム換算) |
露出制御 |
中央重点測光、自動制御 |
絞り |
F2.8固定 |
ストロボ |
自動発光/発光禁止 |
インターフェイス |
USB×1 |
電源 |
単3電池×2、USB給電(PC接続時) |
駆動時間 |
連続駆動約150分(約900枚撮影可能) |
本体サイズ |
94(W)×34(D)×63(H)mm |
重量 |
約120g |