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メディアヴィジョン、自分で出版物を作成/配布できる電子出版ツール『Kacis』を発売

2000年11月09日 21時11分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(株)メディアヴィジョンは9日、(株)カシスと同社が共同開発した電子出版ツール『Kacis』の製品発表会を開催した。

作成から出版、閲覧まで行なえる電子出版ツール

Kacisは、“書く”“出版する”“読む”“再利用する”という知識の循環プロセスを1つのアプリケーションで実現できる知識活動支援ツールで、同社はこのコンセプトを“ナレッジプロセッサ”と呼んでいる。

Kacis Publisherの画面。通商白書を電子化したものを表示。左側に目次が階層表示されている

製品ラインナップとして、ドキュメントの作成/編集、閲覧、著作権保護としてのコピーや印刷の制限設定、サポートツールなどすべての機能を搭載した『Kacis Publisher』、Publisherから著作権保護機能を除いた『Kacis Writer』、閲覧と作成/編集のみ可能な無償版『Kacis Writer Free』の3種類が用意されている。

Kacisで作成したドキュメントは、電子的に出版することが可能。表紙や目次、本文、脚注、キーワード、書誌情報といった本の構成要素を盛り込んだドキュメントを作成でき、その後、著作権保護機能を付加して、専用ファイルフォーマット“Kacis Book”フォーマットでドキュメントを保存すると、電子出版物として出版、配付できる。

作成したドキュメントは、目次と本文が1対1で対応しており、目次の見出しをクリックすると対応する本文が瞬時に表示されるほか、目次の見出し順をドラッグ&ドロップで入れ替えると、対応する本文の順序も変更される。さらに、目次の見出しを別のKacisドキュメントにドラッグ&ドロップすることで、対応した本文をそのドキュメントで引用できる。目次は、“第一章○○”“第一節○○”など階層的に管理できる。

個人の旅行記を作成することも可能

そのほか、Microsoft Wordや一太郎、PowerPoint、PDFなどのアプリケーションで作成したファイルの読み込みが可能。サポートツールとして、数式エディターや化学式エディター、ドローツールが用意されている。

Kacis Publisherは12月8日発売で、価格は4万8000円。Kacis Writerは12月8日発売で、価格は1万8000円。Kacis Writer Freeは、11月24日よりメディアヴィジョンおよびカシスのホームページから無償ダウンロードできる。対応OSは、それぞれWindows 95/98/Me/2000/NT4.0およびMac OS 8.5以降、Mac OS 9。

また、文書管理用サーバー/クライアントシステム『Kacis Cabinet』を2001年3月に発売する。Kacis Cabinetは、Kacis Bookドキュメントをはじめとする各種ファイルを、管理運用できるサーバーシステム。価格は、10ユーザーパックが35万円、50ユーザーパックが70万円。

いずれの製品も、開発はメディアヴィジョンとカシスが行ない、販売はメディアヴィジョンが担当する。

カシスが電子出版物販売サイトをオープン

株式会社カシスは、次世代インターネット時代に向けた“知識の循環システム”を実現するため、2000年9月に設立されたITベンチャー。メディアヴィジョンと個人メンバーにより立ち上げられたが、来春の本格事業展開に向けて、現在協力パートナーと話を進めており、出資会社や出資額などの会社概要詳細は後日発表するという。

カシスは、Kacis Publisher、Kacis Writerの発売に伴い、12月に電子出版物販売サイト“Kacis BookStore”をプレオープンする。その後、Kacis Cabinet発売に合わせ、Kacis Cabinetを利用したナレッジマネージメント事業を2001年3月に開始、2001年4月にはKacis BookStoreを正式にオープンし、Kacisドキュメント用のKacisフォントを無償配布するという。

発表会場で説明を行なったカシスの代表取締役社長である高木利弘氏は、「インターネットの出現で紙は終わったと思った。これから間違いなく電子出版の時代がやってくる。カシスは電子出版事業と、ナレッジマネージメント事業を行なうが、この2つの事業は両方1度にやることが必要。電子出版によって最先端のナレッジが入ってくるし、出版物の電子化のメリットは参照性や再利用性にある」

「ワープロは電子的な“巻き物”、ホームページは電子的な“チラシ”、PDFは電子的な“印刷物”で、いずれも数百ページにわたるドキュメントを作成したり閲覧したりするには不向き。電子的な本を作成するには表紙、目次、本文、脚注、索引、書誌情報、メモ、マーカーといったものを構造化することが必要。この構造化文書の作成/閲覧装置と、ネットワークを用いた書籍の作成/販売方法および作成/販売システムについては現在特許申請を行なっている」

「今後のビジネスとして、通商白書などの官公庁白書や各種専門書、写真集、一般ユーザーの自費出版物などをKacis BookコンテンツとしてKacis BookStoreサイトで販売する。事業予測として、2000年度は160タイトル、2001年度は600タイトル、2004年度には3500タイトルを取り扱う。また、ナレッジマネージメント事業として、企業や官公庁の文書管理システムを構築する」

「海外展開として、2001年夏にはKacisの英語版をリリース、中国語版も開発する。次世代インターネット時代に向けた電子的な知識の循環システムにデファクトスタンダードとして展開させたい」と語った。

メディアヴィジョン社長の福田善康氏(左)と、カシス社長の高木利弘氏(右)。高木社長は『MACLIFE』の元編集長

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