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東映アニメーション、フルラインをデジタル化

2000年10月18日 22時46分更新

文● 編集部

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東映アニメーション(株)は17日、取り引き先プロダクションとの間にネットワークを構築、原画・動画の作画過程をデジタル化し、18日に運用を開始すると発表した。

デジタル化の経緯を語る 東映アニメーション 社長の泊 懋(とまり つとむ)氏は記者発表の席上で「デジタル化により、制作環境を集約型からSOHO型へと転換し、若い可能性ある人材がこの仕事に入りやすくしていく」と語った

今まで、原画・動画の作成は紙で行なわれ、紙に書かれた原画などを演出家や作画監督に送り、指示をうけて原画などを書き直すという作業をしていた。今回は、東日本電信電話(株)が同社のスタジオと21カ所の取り引き先プロダクションとの間に光ケーブルネットワークを構築したことを契機として、原画・動画の作業をデジタル化した。これにより、演出家とアニメータ-のレイアウト画のやりとり、原画の可否判断、指示などがネットワークを介して行なわれ、作画作業における誤解や説明不足などが減らせるという。また、TVシリーズの各話間のキャラクターの絵柄や動きなどの統一性を保持しやすくなったほか、キャラクターの動きや自然現象のサンプルモデルをストックして再利用する“BANK機能”をデータベースと連携させることで、検索やデータの活用などの作画補助機能の充実が図れるという。

作画ソフトの『PencilMan』。これはフレームウインドウ
『PencilMan』の描画ウインドウ

今回導入したのは、(株)セルシスの作画ソフト『PencilMan Ver1.0』と(株)ワコムの液晶タブレット。『PencilMan Ver1.0』は、液晶タブレットで作成した原画・動画をデジタルデータとして扱えるようにする作画ソフト。これにより、1話あたり平均3200枚の動画のスキャンニング作業が不要となる。今までの作業工程がデジタル化されたことで、製作費が50本当たり約2000万円のコストダウンになるという。なお、背景画に関してはまだデジタル化はされていないが、来年1月には背景画作成ソフトの導入を予定しており、全工程のデジタル化を進めていくという。

液晶タブレットで原画を作成するアニメーターの小和田氏は「デジタル化により書き直しなどの作業がスムーズになったが、複雑な作業ではソフトの反応が若干遅れる」と語った

このデジタル化で制作されるアニメは、12月8日からBSフジで放送予定の“ピポパポ パトルくん”。5分間のアニメで朝と夕方に同様の内容が放送される。

このデジタル化については、1997年よりアニメーション製作工程の仕上げ部門(セルワーク)以降をデジタル化、今年の5月には東日本電信電話(株)および(株)セルシスとの協同により東映アニメーションの大泉スタジオ周辺エリア一帯の“アニメヒルズ構想”を掲げ、東映アニメ制作ネットワークシステム(PRO2 NET:プロツーネット)を構築し、分散環境下における製作体制の非効率性の改善に努めてきた経緯がある。

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