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Blink.comが進める、ブックマークによる知の流通サービス

2000年09月18日 22時09分更新

文● 編集部 井上猛雄

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先ごろ、ブックマークサービスの本命と目される“Blink.com”のCEO、デビット・シーゲル氏が来日し、同社の現状と今後の戦略について共同会見を行なった。Blink.comはブックマークを軸にしたサービスを提供している米国のベンチャー企業。'99年5月に設立、2000年6月には日本進出も果たした。最近ではiモードによるサービスも始めている。日本では、フューチャースピリッツ、ヴィジョンクエスト、クロス・ヘッドなどが同じようなブックマークサービスを提供しており、今後各社で活発な展開が繰り広げられると予想される。

ブックマークをポータルにするというビジョンを語る、Blink.comのCEO、デビット・シーゲル氏

新しい知の流通 Blink.comの戦略

ブックマークサービスとは、自分のWebブラウザーのブックマークをインターネット上に保管できるオンラインサービスのこと。会社と自宅などにある複数のマシンや携帯端末などから、自分のブックマークをいつでも利用できるようになる。Blink.comは個人のブックマークの管理はもとより、ブックマーク情報を仲間どうしで共有するコミュニティー機能や関連データ検索機能を備え、これらを大きな柱とするサービスを展開している。

ブックマークは、もともと個人ユーザーが有用な情報を保管する場合が多い。従って、“人が選び出した”有用なブックマークをデータベース化し、インターネット上で共有化することができるようになれば、新しい"知の流通化”が図れるようになる。それは、ポータルサイトにユーザーを呼び込む支援機能としても非常に有望なものだ。

Blink.comの提供するディレクトリーサービスなら、自分のフォルダにお気に入りを追加し、メンバーどうしでフォルダを共有化できる。メンバーの権限を設定すれば、ブックマークを見るほかに、追加したり、削除も可能だ。そのデータベースが育ってきたら公開化することもでき、不特定多数の人々に対して知識の共有が図れるようになる。つまり、知識を拡張するツールとして育っていくのだ。

日本語サイトのトップページ。登録後に使用できるようになる。MyBlink、コミュニケーション、ヒットチャート、ツールなどのカテゴリーがある。http://www.blink.co.jp/

ユニークな関連サーチ機能の仕組み

同社の提供する関連検索機能もユニークだ。これは、いわゆるキーワードベースの検索ではなく、類似性のあるウェブサイトを探しだすというもの。複数のフォルダー間で重複しているサイトを基点に、そのサイトが含まれる複数のフォルダー内にある、未知のサイトを導き出す。

たとえば、User Aのフォルダー、User Bのフォルダー、User Cのフォルダーがあったと仮定すると、その共通項である“www.honda.com”を核にして、そのサイトが含まれるフォルダー内にある他のサイトも導き出される(下図参照)。これは、「ひとつのフォルダにブックマークされているサイトは、必ず何らかの関連があるはず」という理論に基づいている。

さらに、オーバーラップしているブックマークをデータベース化し、ランキングを付ける。多数のフォルダーにブックマークされているサイトは、必然的に上位にランキングされることになり、それが人気度を計るバロメーターとなる。

3つのフォルダーにブックマークされているサイト、2つのフォルダーにブックマークされているサイト、ひとつのフォルダーにブックマークされているサイトという順位が生まれる

関連サーチの特徴はサイトが集まれば集まるほど、探したい関連情報が出てくるようになる。ユーザー側でフォルダを細かく分類していれば、さらにマッチング度も高くなる。また、関連性のない誤ったサイトはBlinkのシステム側で学習しながら弾いていくので、信頼度も増していく。

年内には登録会員数を100万人に

2000年9月現在、Blink.comは登録メンバー50万人、ブックマーク1億、ユニークリンクサイト数にして1500万サイトに上る。日本でも150万以上のサイトをカバー、1日あたり2000人以上の新規登録があるという。「今年中には、会員の登録数が100万人に達するだろう。マーケティングの予算はあまりかけておらず、どちらかというと口コミで会員が広がっている」(デビット・シーゲル氏)

最近、Blink.comはiモードによるブックマークサービス“Blink iMode”(iモード向け日本語版サイト http://imode.blink.co.jp/)もサービスとして追加した。Blink iModeは、通常のBlink.comサービスと共通のアカウントで使用できる。このiモードサービスは、通常サービスとデータベースを共有しているので、同じブックマークで利用できるようになる。シーゲル氏は、日本市場を特に重視しているようで、日本に適したサービスをワイヤレス分野で提供できれば、今後の展開が有利になると考えている。

PC上からiモードのサイトにリンクしているところ。ユーザー名とパスワードを入力すればサイトに入れる

また、iモードサービス以外にも、住所、電話番号(iモード)などでコンタクトできるアドレスブック機能も利用できる。カレンダーマネージャーなどのスケジュール管理サービスも予定しており、これは向こう1ヵ月までに始める予定だという。

ビジネスモデルの柱となるもの

こういった無料サービスのビジネスモデルとなる収益については、主に広告収入(ターゲットベースのバナー広告)と技術ライセンス収入であげていくとしている。検索対象のトピックに合うような広告を出しているため、クリック率が通常より5倍ぐらい高いという。広告はクリック数に応じてクライアントが料金をはらう方式をとる。

また、オプションで、会員の関心のある製品情報をメールする“オプトインeメール”も配信する。これ以外に、アドレス管理やスケジュール管理などの同社が持つサービスを、ほかのウェブサイトに組み込み込むASP的なサービスを提供していくという。

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