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「コンビニ決済が浮上。事故への補償のある電子マネーも登場」――女性による女性のためのインターネット活用術セミナー<続編>

1999年05月31日 00時00分更新

文● 服部貴美子、hattori@ixicorp.com

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女性が買い物を楽しむための電子決済セミナー

自宅や職場など好きな場所から、24時間買い物が楽しめる“ウェブショップ”は、働く女性や忙しい主婦たちの間で、人気が高まりつつある。しかし、ニュースなどでインターネットにまつわる事件が報じられることが増えているためか、“個人情報の流出”や“決済時のトラブル”を懸念する声も少なくない。

5月27日(木)に開催された“オンラインショッピングの不安解消します!”と題したセミナーは、電子決済に関する疑問や不安に答え、女性にオンラインショッピングを楽しんでもらおうという趣旨で企画された。今回のセミナーは、4月26日に行なわれたメーリングリスト“LIFE”主催のインターネット活用術セミナーの続編にあたる。

*なお、メーリングリスト“LIFE”と前回のセミナーの内容については、以下のレポートを参照されたい。
【関連記事】「贈答の際はオンラインショップの方が安心」――女性による女性のためのインターネッツト活用術セミナー
 http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/990511/netw01.html

 会場は前回と同じく大阪・梅田のハービスプラザ内、“世界の旅”市場セミナールーム。40名以上の参加者があり、立ち見が出るほどの盛況ぶり
会場は前回と同じく大阪・梅田のハービスプラザ内、“世界の旅”市場セミナールーム。40名以上の参加者があり、立ち見が出るほどの盛況ぶり


利用者は日本全国で15万人? 電子決済システムの現状

今回のスピーカーは、メールマガジン『電子決済ジャーナル』を発行している、エムズ・アットマーク代表の加藤真澄氏。司会進行役は、“LIFE”メンバーである日本電信電話(株)の中川仁美氏が担当した。

 加藤真澄氏(右)と中川仁美氏は、2人とも“LIFE”のメンバーでもある
加藤真澄氏(右)と中川仁美氏は、2人とも“LIFE”のメンバーでもある


ウェブショップからも“LIFE”の活動は注目されている。セミナー用の資料のほかに、おみやげや抽選会への商品提供もあった
ウェブショップからも“LIFE”の活動は注目されている。セミナー用の資料のほかに、おみやげや抽選会への商品提供もあった



カード会社で電子決済のプロジェクトに携わってきた加藤氏は、'98年9月より無料のメールマガジン『電子決済ジャーナル』で、さまざまな決済システムのレポートを配信し続けている。『電子決済ジャーナル』は、単に企業の広報部からのコメントやパンフレットの宣伝文句を綴るのではなく、加藤氏自ら電子決済を使った実体験を誌上で報告しているのが特徴。

電子決済システムの利用者は全国で15万人程度といわれているが、「これは登録者の数。実際に使っている人となると、この数字の半分程度のはず」と加藤氏。ちなみに、参加者の中にも電子決済経験者は数えるほどしかいなかった。

そこで、実際に電子決済システムを導入しているサイトを見てみることとなった。Livuyは、クレジットカード決済にもかかわらず、専用ソフトが不要という珍しいケースだ。また、パスワードに“彼氏の誕生日”のような、利用者本人しか知りえない情報を設定できるというユニークさも受けている。アコシスは、“リボ払い”や、パスワードの盗用などといった事故への補償を導入している。クレジットカードではすでに当たり前のことだが、電子決済の世界では珍しい。

 実際にサイトを操作しながら説明が行なわれた。マニュアルや解説書で読むよりもわかりやすく、ウェブショップが身近に感じられたはず
実際にサイトを操作しながら説明が行なわれた。マニュアルや解説書で読むよりもわかりやすく、ウェブショップが身近に感じられたはず


『電子決済ジャーナル』では、電子決済システム普及の3原則を提唱している。

1つ目は専用ソフトが不要であること。接続料や通話料の負担が大きい日本では、ダウンロードを嫌って、利用をためらう人も多い。

2つ目は環境を選ばないこと。これからはOSはもちろん、テレビや携帯電話など、端末そのものが変わっていく時代だ。あらゆるユーザーが使えるシステムでなければ、意味がない。

最後に使う人を選ばないこと。子供からお年寄りまでが、簡単に使えるシステムが登場すれば、電子決済はもっと身近なものになるであろう。


使いたいのに使えない・・・電子決済への興味と不安

続いて、代金回収システムについての討議がなされた。普通の支払いが財布から現金を出すという行為を伴うとすれば、電子決済には、代金回収機関の存在が欠かせない。どの回収機関を通すかによって、集金手数料に差が生じる。郵便振替が1件につき70~120円であるのに対し、電子決済の多くが、商品販売代金の3~10パーセントとなっており、割高感は否めない。その中で、コンビニ決済は1件につき150円となっており、近年シェアを伸ばしているという。

 「サイバーキャッシュのICカード決済にも注目している」と、加藤氏。外付けのカードリーダーを付ければ、家庭のパソコンでも利用できる。例えば、看護婦のように夜勤の多い職業の人には、大手バーチャルモールで買い物ができるメリットは大きいのでは?  「サイバーキャッシュのICカード決済にも注目している」と、加藤氏。外付けのカードリーダーを付ければ、家庭のパソコンでも利用できる。例えば、看護婦のように夜勤の多い職業の人には、大手バーチャルモールで買い物ができるメリットは大きいのでは?


気になる“個人データの漏洩”について、加藤氏は「SSLというデータの暗号化システムを導入していれば、まずは安心だという。「アメリカの軍事用SSLに比べると精度は低いが、事故の例は聞いていません。むしろ、ショップ側の管理がずさんであるために、顧客リストが持ち出されたり、ハッキングされて事故が起こるケースが多い」と説明。

SSLを使っているサイトにアクセスすると、ブラウザーに“セキュリティーゾーン”や“錠前マーク”を表示して知らせてくれる。この暗号化システムは、ショップ側が暗号鍵を購入しておけばよいので、利用者側の手をわずらわせることはない。


トラブルは? 返品は? まだまだ疑問がいっぱい

申し込み時の不安は解消しても、無事に商品が届くまでは安心できないものだ。ウェブ上で見た色と実際の商品の色が違う、破損など商品に欠陥があった、といったトラブルに関してはどう対処すればいいのだろうか?

「もちろん返品は可能。代金はショップから現金で返却されることが多いですね。めんどうでも、早めにショップに問いあわせることが重要です」と、加藤氏。そのためにも、電話番号を記載していないショップ、返品や返金に関する通信販売法の表記のないショップは使わないほうが無難だろう。

カード番号や申し込み内容を打ち込んだ“画面”をコピーして保存しておくという習慣をつけておくべき、といったアドバイスもあった。それでも、トラブルに巻き込まれてしまったときには、“相談・苦情窓口”(通産省)や“通販110番”(日本通信販売協会)など、ウェブ上にも相談できる場所がたくさんあるので、利用したい。


電子決済の魅力を実感した参加者たち

セミナーの終わりには、前回同様、人気ショプからのプレゼントが当たる抽選会が行なわれた。今回の目玉は、女性が女性のために考案し、製品化したという“モバイルバッグ”。

“モバイルライフ研究会”特製の“モバイルバッグ” “モバイルライフ研究会”特製の“モバイルバッグ”



“モバイルライフ研究会”で、女性向けのパソコン用バッグがないという意見交換が始まったのが商品誕生の発端。太めのストラップは肩に食い込まず、脚付きで防水性のあるバッグは、化粧室に持ち込むときにも安心。ポケットやキーホルダーなど、女性ならではの工夫が詰め込まれている。

 見事に当選した女性が「ちょうどA4のノートパソコンを使っています」と答え、周囲からは拍手が沸き起こった。  見事に当選した女性が「ちょうどA4のノートパソコンを使っています」と答え、周囲からは拍手が沸き起こった。


協賛のAT&T Jens(株)からは、インターネットの普及状況についての説明があり、また飛び入り参加となった通信販売会社、千趣会のスタッフからは、カタログにとどまらない通販の可能性を予感させるコメントも。

参加者たちは、「電子決済は怖いというイメージがあったけれど、楽しいものなんですね」「トラブルの対処法などを教えてもらって安心できた」と感想を語り合っていた。

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