日本ディスタンスラーニング学会(JDLA)は28日、遠隔教育の普及を目指し発表会を開催した。
JDLAは、学習者がオン・デマンドで学べる教育を目指し、平成10年5月に関係官公庁及び教育関係機関からの賛同を得て設立された。
発表会では、遠隔教育の研究を行なっている12人が発表を行なった。ここでは、北陸先端科学技術大学院大学の示村悦二郎学長の特別講演を取り上げる。
北陸先端科学技術大学院大学の示村悦二郎学長 |
遠隔教育では、時間や空間の制約がなくなる
北陸先端科学技術大学院大学の示村悦二郎学長は、遠隔教育について「授業は、音声、字、図、画像などの伝達によって行なわれる。最近では、オーディオ・ビジュアルシステムやコンピューターシステムの技術が進み、これらを活用した授業も行なわれるようになった。コンピューターシステムを使った授業は増えてきており、ネットワーク型のシステムを組むところが出てきた。ネットワーク型のシステムを使った遠隔教育では、時間や空間の制約がなくなり、学外のリソースを使った授業を可能にする」と述べた。これからすべきこととして、「ネットワーク上でただ授業で流すためだけの教材ではなく、オン・デマンド型の教育教材を開発すること。高速なマルチメディアネットワークを整備すること。そして、ネットワークを使った授業を視野に入れた、新しい教育システムの整備が必要である。今までの教材は、一部の生徒をターゲットにしたカリキュラムをもとに作っていたが、今後はネットワーク上で授業を受けることができる広い層に向けた教材を作る必要があろう」と述べた。
遠隔教育の問題点として、「ネットワーク上で音声、字、図、画像などを伝達することは、現在の技術では難しくない。ただし、教師の態度、表情、気迫、緊張感などを伝達することは難しい。これらをどのように補うかが大きな課題であり、軽視してはいけないものである。本大学では、“本物のすごさを伝えるにはどうすればいいか”をテーマに、芸術的な部分を損なわない情報伝達の方法を研究している」と述べた。