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1999年日本国際賞、“情報技術”分野受賞は誤り訂正符合理論を確立した米ハワイ大学教授のWesley Peterson博士

1999年04月27日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(財)国際科学技術財団は、1999年(第15回)日本国際賞の受賞者を迎え、合同記者会見を行なった。日本国際賞は、科学技術分野において独創的、飛躍的な成果を挙げ、技術の進歩に大きく貢献したと認められた者に与えられる賞。受賞者は、国籍、職業、人種、性別等は問われないが存命中の者に限られる。

今回、“情報技術”分野で受賞したのは、米ハワイ大学マノア校情報科学部教授であるDr. W. Wesley Peterson(ウェスレィ・ピーターソン博士)。高信頼デジタル通信、放送、記録のための符号理論を確立した業績を評価されての受賞となった。

右から、“情報技術”分野で受賞したWesley Peterson博士、“生命科学における分子認識と分子動態”分野で受賞したJack Strominger博士、Don Wiley博士
右から、“情報技術”分野で受賞したWesley Peterson博士、“生命科学における分子認識と分子動態”分野で受賞したJack Strominger博士、Don Wiley博士



Peterson博士は、現代代数に基づく代数的符号理論の枠組みを確立するとともに、誤り検出や誤り訂正の符号化法、復号化法、さらに実用的な装置化法を発明、誤り訂正符号の産業応用に貢献した。今日の高信頼デジタル通信、デジタル放送、デジタル記録システムは、何らかの形で同博士の研究成果を利用しているという。

記者会見上で同博士は、「誤り訂正符号は、正確な通信を行なうために必要不可欠なもので、コンピューター分野においても重要です。また音楽CDなどにも活用されています。例えば、CD上の埃や引っかき傷は音楽データの再生時に誤りを引き起こしますが、それを除去する役割を果たします。現在、デジタル技術が一般家庭にも普及したことで、この誤り訂正符号の技術はますます活用されています。人々はトラブルが起きないと気が付きませんが、楽屋裏で誤り訂正符合技術が活躍しているのです。今後デジタル技術がさらに拡大発展することを期待します」とコメント。

なお、“生命科学における分子認識と分子動態”分野においては、米ハーバード大学分子細胞生物学教授のDr. Jack L. Strominger(ジャック・ストロミンジャー博士、および同大学分子細胞生物学教授のDr. Don C. Wiley(ドン・ワイリー博士)の2名が受賞。ヒト主要組織適合抗原分子群の三次元構造と抗原ペプチド結合機構を解明した業績が評価された。

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