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女性向けコミュニティーサイト“iVillage”の魅力を探る

1999年04月26日 00時00分更新

文● 笠原利香

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米国で、インターネット上のコミュニティーサイトの人気が高まっている。読者が、ただ情報を入手するだけでなく、双方向のやりとりで、質問を投げ掛けたり、意見を交換したりできる。それも、いわゆるSIGオペ相手ではなく、読者同士で相互作用する。サイバースペース上のコミュニティーへの参加意識を育む。女性向けのコミュニティーサイト“iVillage”は、単年度赤字ながら、株式公開を果たしたばかり。在米ジャーナリスト、笠原理香氏の寄稿で、“iVillage”の魅力を分析する。

株式公開を果たした女性向けコミュニティーサイト

iVillage”は“Woman.com”、“HomeArts”(ハースト・マガジン社)そしてコンド・ナスト社の“CondeNet”にならぶ、女性をターゲットにしたウェブサービスだ。メンバーシップは、特定のサービス(カスタマイズされたホロスコープなど)を除き無料。チャット、メールアカウント、個人ウェブページなどが無料で使用できる。1ヵ月に約6500万ヒット(アメリカの全女性人口の3.8パーセント)を記録する('98年4月調べ)ことからも分かるように、iVillageは業界のリーダー的存在。本屋に行って雑誌を立ち読みしその中から気に入った情報があるものを買う、といった日本女性の雑誌の買い方(アメリカでは定期購読が主)を考えると、知りたい情報が簡単に検索できる女性向インターネットサービスは、忙しい女性にはぴったりだと言えよう。

iVillageの合言葉は“Real Solution for Real Woman”つまり、“本当の女性のための本当の解答”であり、チャンネルと呼ばれるサブカテゴリーには、ホロスコープ、健康、本、キャリア、美容とフィットネス、食べ物、お金、ペアレント・スープ(Parent Soup)とペアレンツプレイス(Parentsplace、子育て)、ペット、交際、ショッピング、旅行、そして在宅勤務に分かれている。このうち、ペアレント・スープはiVillageのトレードマークである。

調理時間から料理が検索できるか?

女性専用のサービスが必要かということについては意見は分かれるだろうが、「材料はお肉で調理時間は20分以内」と献立をサーチできる“一般の”ポータルは日本にはない。また女性専用だからといって、化粧品、流行、ダイエットに比重が置かれた日本の女性誌とは大きく違う。

他の女性向けインターネットサービスが、伝統的な女性誌の売り方と同じように、プロにメークをしてもらった理想的な体型のモデルさんが「この服を着ればあなたも私のようになれますよ」と夢を売るのに対し、iVillageは合言葉そのままに、等身大の女性を主人公にしたサービスに主眼を置いている。障害があろうと、理想的体型でなかろうと、そのままの自分を大切にしていこうとする、フィットネスと健康チャンネルの中の“そのままのあなた”(Just the Way You Are)は、その良い例だろう。

米国では“理想の女性”を売る広告や記事は過去のものになっている。どんなデザイナーズブランドを着てどんなお化粧しても、モデルのようにはなれないと誰もが知っているからだ。だからiVillageでは、上から押し付け形の記事やニュースは少なく、そのかわり、他のメンバーとメッセージを交換したりできるようになっている。たとえば健康チャンネルでは、他の乳がんや子宮ガンの経験者と治療方法についての情報をやりとりする。

その他、日本の女性誌とiVillageとで大きく差をつく部分としては、キャリアのチャンネルの存在、持ち株の価格を追えるサービスかもしれない。アメリカ女性は仕事を真剣に考えているし、腰掛けという勤め方もまったくない。その代わり、株式投資などをして、自分の人生設計を行なっている人も多い。それを反映してのことだ。

ダイエットが体に悪いなら勧めない

私が見ていた一番気に入ったのは、ダイエットや肌の状態について、きちんと医者の意見を聞けること。女性誌はダイエット記事を載せると売り上げが伸びるため、ともすると体に有害なダイエットを平気で特集することが多い。iVillageにはそれがない。肌の健康についても、化粧品会社の広告に惑わされる前に、まず皮膚科の意見を聞くことが大切である。iVillageでもそれは同じである。

もちろん、そこここに、スポンサーとのタイアップの記事や広告があるのは避けて通れない事実である。他のユーザーとの意見交換で間違った情報に出会ってしまう危険もある。iVillageでは必要に応じ、ユーザーとの意見交換に例えば「専門家の意見を聞くべきです」などと介入しているそうだ。

さて、1つだけ不満なのは、映画に関するサービスがほとんどないことだ。女性だからこそ楽しめる映画の紹介(多少はあるが)、そしてそれについての意見の交換ができる場があると、夫婦で見た映画で意見が一致しない場合の大きな救いになるのだが――。

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