日本移動通信(株)(IDO)と第二電電(株)(DDI)は13日、都内で共同記者会見を開き、携帯・自動車電話の新サービス“cdmaOne(シーディーエムエーワン)”を、14日から全国展開することを発表した。
cdmaOne端末を手にする、IDOの塚田健雄社長とDDIの日沖昭社長 |
cdmaOneは通信システムにCDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重多元接続)方式を採用している。これは軍事利用の目的で開発された無線伝送方式を米クアルコム社が改良した方式。すでにアメリカ、カナダ、韓国、ブラジル、オーストラリアなど36カ国で採用され、商用化されており、同規格に対応した端末の出荷台数は3月末時点で全世界で2300万台を超えるという。
国内でも、すでにDDIが、'98年7月に関西・九州・沖縄で、今年3月には中国・北陸・四国でcdmaOneサービスの提供を開始している。これに加えて14日に、DDIが東北と北海道で、そしてIDOが関東甲信越地方でサービスを開始することで、同サービスの全国カバーが実現することになる。
cdmaOneの特徴として、14.4Kbpsでのデータ通信が可能であることがあげられる。従来、携帯電話のデータ通信速度は9600bpsで、エヌ・ティ・ティ移動通信網(株)(NTT
DoCoMo)が提供するパケット通信サービス『DoPa(ドゥーパ)』でも28.8Kbpsであった。これに対し、cdmaOneでは、サービス開始時に14.4Kbpsで、また秋口を目途に、64Kbpsのパケット通信サービスの提供が予定されている。
NTT DoCoMoが次世代データ通信システムとして提唱する“W-CDMA”は、最大で2Mbpsもの通信速度だが、実用化は2年後の2001年。それまではcdmaOneが速度面では優位となる。
会場内にはcdmaOne対応の端末が展示されていた |
また、世界共通の規格であることを活かし、12月を目標に、韓国、香港への国際ローミング接続を行なうという。すでに現地で移動体通信サービスを行なっている企業と基本合意に達しているという。これにより、cdmaOne端末は、特別な手続きなしに韓国、香港で利用できることになる。IDO、DDIではこのほかの国、地域への国際ローミング接続も計画しているという。
IDOの塚田健雄社長は、「現在、国内の携帯電話の市場は、NTT
DoCoMoが大きなシェアを握っている。その牙城を崩すだけの力をcdmaOneは持っていると確信している。新規ユーザーよりも、IDOユーザーからの乗換えよりも、NTT
DoCoMoからの乗り換えユーザーが増えることが一番うれしい」とコメントした。
ちなみに、IDOが現在展開しているcdmaOneのイメージキャラクターは、俳優の織田裕二。以前はNTT
DoCoMoの携帯電話のテレビCMでイメージキャラクターを務めていた。ライバル企業のキャラクターを起用するケースは極めて異例だ。同社によると、テレビCMの反響はかなりのものだったそうだ。
IDOではすでに約1万件の予約を集めたといい、年内に100万台の加入を見込んでいるという。また、すでにサービスを提供しているDDIでは、今回の全国展開で、これまでの53万件に、200万件の上乗せを狙うとしている。