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【ISMR'99】「メディアアートの起源はオルゴールから」--岩井俊雄氏の基調講演より

1999年03月10日 00時00分更新

文● 報道局 原武士

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 複合現実感(Mixed Reality、以下MR)に関するシンポジウム“第1回複合現実感国際シンポジウム”(ISMR'99)において9日、メディアアーティストの岩井俊雄氏による講演が行なわれた。岩井氏はグラフィックスやサウンドを利用した作品を多く手がけていることで知られている。

岩井氏は、子供向けテレビ番組“ウゴウゴルーガ”や、坂本龍一氏とのジョイントコンサートを手がけるなど、デジタルメディアを中心にした創作活動に注力している
岩井氏は、子供向けテレビ番組“ウゴウゴルーガ”や、坂本龍一氏とのジョイントコンサートを手がけるなど、デジタルメディアを中心にした創作活動に注力している



 はじめに、MRのデモとして、縦6×横6個の碁盤状に並んだ矢印とその矢印に沿って進む音と光で造られたオブジェクトを紹介した。矢印の根元部分にあるスイッチを押すことで矢印の向きが変わり、光と音の流れるパターンが変わり、幻想的な空間を作り出している。続けて、同氏が今までに制作した作品を紹介した。

カラフルな光の線が、音とともに動いていく
カラフルな光の線が、音とともに動いていく



 岩井氏は「子供のころ、教科書のスミにパラパラマンガを描いて、アニメを作って遊ぶのが好きだった」と語り、教科書の端に描いたというアニメを紹介した。ほかにも、ページ数の多い本に描いたアニメの力作や、コンピューターで絵を描いたものをプリントアウトして作ったアニメを紹介した。

 また、回転するターンテーブルを使った作品として、“走る人”のアニメや、複雑な動きをみせる幾何学模様、ターンテーブルの上に設置した人形たちが踊っているように見えるものなど、さまざまな作品も併せて紹介した。岩井氏はこういった“古いメディア”に強い魅力を感じるという。

回転盤の上で動く幾何学模様
回転盤の上で動く幾何学模様



 その後、同氏が手がけたメディアとしてニュース番組や子供向け番組、坂本龍一氏とのジョイントコンサートを紹介した。これらの作品の起源となったのは、穴のあいたプラスチックテープでさまざまな曲を演奏できるドイツ製のオルゴールだったという。「昔は楽譜が得意ではなかった。でも、オルゴールだと楽譜が解らなくても曲を奏でられる。穴のあいた紙を通すだけのオルゴールは非常にわかりやすく楽しかった。もしこの穴が絵だったらどうなるだろうと考えた」と、どのように映像と音楽を結び付けることを考えていたかについて語った。

 講演の最後に、講演の初めに紹介した光と音のオブジェクトを改めて紹介した。「私は、いかにも最先端といったものではなく、このような古いものが好きです。しかし、これらにも、最新の技術が入っているんですよ」と岩井氏は語った。

台の上にあるスライド板をずらすことで、迷路を進む光と音を操作できる
台の上にあるスライド板をずらすことで、迷路を進む光と音を操作できる



4個の大きな回転板があり、それらを勢いよくまわすと光の輪と音が発生する
4個の大きな回転板があり、それらを勢いよくまわすと光の輪と音が発生する



36個のボタンには音が割り付けられており、ボタンを押すと音と光が波紋状に広がる
36個のボタンには音が割り付けられており、ボタンを押すと音と光が波紋状に広がる



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