米アップルコンピュータ
ハードウェアエンジニアリング担当上級副社長Jon Rubinstein氏
昨年からのiMacの成功など、マーケティングでは成功した感のあるアップル。だが、テクノロジーの面では、PC互換機勢に先行を許していたことは否めなかっただろう。ところが1月に発表された新型PowerMacintosh G3には、100MHzのベースクロックや銅配線のPowerPC-400MHzなど先端のテクノロジーがふんだんに投入され、スペックにこだわる日本人にも満足できる製品に仕上がっていたと言えよう。価格面でも思いきった低価格をつけ、十分な競争力を回復したことには目を見張るものがある。
これからMacintoshのハードウェアは、どう進化していくのか? 同社でハードウェア部門の責任者を務めるJon Rubinstein氏に、これからのMacintoshのハードウェア・ロードマップについてインタビューを行なった。インタビュアーは林信行氏。
----アップルはIBMとモトローラの両社からPowerPCの供給を受けているが、最近、その両者が違う方向に進みはじめているようだが?
必ずしもそうだとは思わない。我々はPowerPCがこれからも長期にわたって健全な進化を続けられるように、両者と密接な関係を保ち続けている。
----IBMは、PowerPC用のSIMD拡張であるAltiVecを採用する予定がないようだが?
(※AltiVec=モトローラが発表した、3D Now!ライクなベクトル演算を含む新アーキテクチャー)
確かに今のところそうした発表はない。しかし、たくさんある資料のどこかで、IBMがAltiVecの採用を検討していることを見かけた気がする。もっとも最終的な採否はIBMが決めることなので、我々の一存でどうこうすることはできないのだが。
ただし、我々3社はこれまでのPowerPCの発展において類い稀なる良好なパートナーシップを保ってきたし、これから先のPowerPCの発展においてもこの関係を崩すようなことはしないだろう。
Jon Rubinstein上級副社長は、米アップルコンピュータのハードウェアエンジニアリング部門を担当する |
----『PowerPC G4』が発表されたことで、G3を搭載した現行機種を買い控えるユーザーもいるのではないか?
まず最初に断っておきたいが、『G4』はまだ正式に発表されていないはずだ。我々がこれまでに発表したのは、G3プロセッサーに特殊な命令を追加するAltiVecという拡張機能と、将来の製品にAltiVecを追加したG3プロセッサーを使うかもしれないということだけにすぎない。
それがいつの日になるかという保証もない。もし私がMacintoshを買おうとしているユーザーなら、そんな先のあてにならないものを気にするより、今すぐに最新の製品を買うだろう。
確かに我々はAltiVecの可能性に期待しており、多くの開発者も同様に期待している。時が来て、すべての準備が整ったら、すぐにでもAltiVecを採用するかもしれない。だが、それはまだもう少し先のことだ。
----IBMは最近、Silicon on Insulator(SOI)技術を使ったプロセッサー開発に意欲的なようだが?
IBMとの密接な関係のおかげで、同社の将来技術についてはよく知っており、大きな期待を抱いている。だが、どこまでがすでに公表されている情報で、どこからが未発表の技術なのかわからないので、その質問には答えられない。
----では、SOI技術一般に関してはどのように考えているのか?
既に多くのメーカーがSOI技術の採用を発表しているし、マイクロプロセッサーの未来はSOI技術にあると思う。パフォーマンスの上でも消費電力の上でも大きなアドバンテージがある技術だと思う。
----SOIがプロセッサー技術の本流になるのはいつ頃と予測するか?
それはまったくわからない。
このインタビューの完全版は、月刊アスキー4月号(3月18日発売)に掲載を予定しています。続きは月刊アスキー4月号でご覧ください。