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ワープロ専用機にパソコンの代わりが務まるか?----東芝がパーソナルワープロ『Rupo』の最上位機種を発売

1999年01月26日 00時00分更新

文● 報道局 白神貴司

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 東芝は20日、同社のパーソナルワープロ『Rupo』シリーズに最上位機種『JW-9820』を追加、販売を開始した。JW-9820は本来の機能であるワープロに加え、インターネット機能や電子メール、表計算ソフト、画像データの管理など、機能的にはオールインワンタイプのパソコンと比べても遜色ないものを備えている。

東芝の『JW9820』。スペックはオールインワンパソコンに引けを取らない 東芝の『JW9820』。スペックはオールインワンパソコンに引けを取らない



 スペックを見ると、360MBのハードディスクと800dpi相当のカラープリンター(昇華、熱転写併用)、400dpiのカラースキャナーを搭載し、ディスプレーには13.3インチのSVGAカラー液晶を採用している。さらにスマートメディアスロットと33.6kbpsのモデムを内蔵し、プレインストールソフトとして表計算ソフトの『Lotus1-2-3 R2.5J』を装備する。価格は26万円と、普及型パソコンとほぼ同じ価格帯だ。

 数年前まではパソコンの価格が現在よりはるかに高かったため、コストパフォーマンスが多機能ワープロ専用機の売り文句となっていた。ところが、現在ではパソコンの価格も大幅に下がり、ワープロ専用機よりも低価格なパソコンも珍しくはないほどだ。

 たとえば、富士通(株)の『FMV-DESKPOWER CVIII305』は、標準価格が23万3000円とJW-9820よりも安い。ちなみにスペックを見ると、CPUにK6-2-300MHz、SDRAMを64MB、HDDが4.3GB、最大24倍速CD-ROMドライブ搭載というハードウェアに、Windows 98とWord98、Excel97などのアプリケーションがプレインストールされ、15インチディスプレーが付属する。これに4万円程度のカラーインクジェットプリンターを買い足したとしても総額は30万円を切り、しかもスペック面では『JW-9820』をはるかに凌いでいる。

富士通の『FMV-DESKPOWER CVIII305』
富士通の『FMV-DESKPOWER CVIII305』



 マシンパワーのみで単純に比較はできないため一概には言えないが、ハイエンド向けのワープロ専用機と、パソコンのエントリーモデルとでは、価格の逆転現象が起こり始めている。単純に価格とスペックだけを比較すれば、ハイエンド向けのワープロ専用機よりも、低価格でスペックも勝るエントリーモデルのパソコンを買った方がいいように思える。

 しかし、汎用性を確保する必要があるパソコンに対し、文書作成という機能に特化して製品開発が行なえるワープロ専用機には、さまざまなメリットがある。たとえば、電源を入れるとすぐに各種のグラフィカルなアイコンが表示されるインターフェースは、パソコンのそれに比べてはるかにユーザーフレンドリーだ。また、キーボードについても、ショートカットキーを刻印して操作性の向上を図るなど、ワープロ専用機にはワープロ専用機で、パソコンには実現不可能な機能面でのアドバンテージがあるのだ。

 文書作成という作業に限った場合、コンピューターの知識を持たない初級ユーザーには、ワープロ専用機のほうが断然取り組みやすい。また、持ち運びも簡単なワープロ専用機は、家族で共有して利用するのに都合がいいというメリットも見逃せない。

 あれもしたいこれもしたいという欲張りなユーザーや、職場でパソコンを利用しているユーザーには確かに低価格パソコンが向いているだろう。だが、年賀状や回覧の作成くらいで充分なユーザーなら、“インターネットもできます”というワープロ専用機はその“多機能”ぶりがほどよく好都合なこともまた事実だろう。

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