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【INTERVIEW】「単なるボタン作成ソフトではない、総合的なウェブグラフィックツールです」--『Adobe ImageStyler 日本語版』マーケティングマネージャー秋山由紀子氏インタビュー

1999年01月14日 00時00分更新

文● 千葉英寿/報道局 桑本美鈴

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 アドビシステムズ(株)は、14日に『Adobe ImageStyler 日本語版』の発売を開始した。価格はMacintosh版、Windows版ともに2万3800円。Adobe ImageStyler 日本語版は、ウェブコンテンツに不可欠なボタンやバナーといったオブジェクトを簡単に作成できるだけでなく、ウェブのグラフィック表現をさまざな手法で豊かにすることができる、これまでにない発想に基づいて生み出された製品。発売にあたって、同社グラフィックスプロダクツグループにおいてプロダクトマーケティングマネージャーを担当する秋山由紀子氏にお話を伺った。インタビューは、フリーランスの編集者/ライターである千葉英寿氏。

ImageStylerのプロダクトマーケティングマネージャーを担当する秋山由紀子氏
ImageStylerのプロダクトマーケティングマネージャーを担当する秋山由紀子氏



●グラフィカルなウェブサイトを作成するために

----Adobe ImageStyler 日本語版の特筆すべき特徴とはなんでしょうか?

「まず、スタイル効果があげられます。スタイルとは、カラーや透明度、グラデーションといったグラフィカルな属性を複数のレイヤーで組み合わせたものです。付属のスタイルを各オブジェクトに適用できるほか、自分のオリジナルのスタイルを作成し、名前をつけてスタイルパレットに登録保存することも可能です。また、スタイルパレットをベースに変更を加えるといったライブラリー的な使い方もできます。これにより、さまざまなビジュアル効果を付けたウェブ画像を少ないステップで効率よく作成することができます」

描画ツールで幾何学的な図形やテキストを作成後、テクスチャーやグラデーションといったスタイル効果を選択して1クリックするだけで、見栄えのするボタンを作成できる描画ツールで幾何学的な図形やテキストを作成後、テクスチャーやグラデーションといったスタイル効果を選択して1クリックするだけで、見栄えのするボタンを作成できる



「続いて、JavaScriptのロールオーバー効果があります。これはJavaScriptを記述しなくても、簡単にロールオーバー効果を付けられるというものです。例えば、ボタンの上にマウスカーソルがのせられたときにボタンの形や色が変化するといった効果を与えられます。オブジェクトを選択して、追加するJavaScriptのアクションをクリックするだけでオブジェクトにJavaScript効果を加えられます」

ボタンなどのオブジェクト作成後に、JavaScriptパレットから“onMouseOver”等のアクションを選択して、ロールオーバー効果を設定できる
ボタンなどのオブジェクト作成後に、JavaScriptパレットから“onMouseOver”等のアクションを選択して、ロールオーバー効果を設定できる



「HTML自動変換機能もあります。作成中のウェブページ内のオブジェクトを個々に分割し、レイアウトを保持したままで、テーブルベースのHTMLファイルを自動的に作成するものです。これにより画像の作成からHTMLファイルのレイアウトまでを1ステップで行なえます。イメージマップの作成も可能です。さまざまなオブジェクトにURLを指定し、それらをイメージマップとしてエクスポートできます」

「ImageStyler単独でウェブページを作成するのは難しいかもしれませんが、この製品を利用することで、例えばトップページといったインパクトの必要なページを作ることが可能になります」

●Adobe ImageReadyとの違い

----ウェブ制作におけるAdobe ImageStylerの位置付けは?

「Adobe ImageReadyとよく比較されるのですが、Adobe ImageReadyは画像をウェブ用に最適化するためのもので、Adobe PhotoshopやAdobe Illustraorを補完する役割を持っています。Adobe ImageStylerは、さまざまなHTMLオーサリングツールとの併用が可能ですし、単独でもウェブ画像の作成が可能です。グラフィックツールとしてはベーシックなもので、スタンドアロンで使用できる製品として位置付けています。わかりやすくいえば、Adobe PageMillとAdobe ImageStylerだけあればウェブページ作成作業を行なうことができます。ときどきAdobe ImageStylerがあればAdobe PageMillはいらないのか、という質問をされるときがありますが、それは違います」


----競合、もしくは類似する製品に対するAdobe ImageStylerの優位性は何でしょうか?


「β版を使っていただいたユーザーからの意見もあるのですが、他の製品と比べると、パレット類が見てすぐわかるものが多いので、使いやすいという点があげられると思います。また、HTML自動変換、ロールオーバー効果といったウェブ作成の中で非常に実用的な機能が、Adobe ImageStyler独自の機能として搭載しています。それから、例えば画像やテキスト、オブジェクトなどに対していったん、スタイルや切り抜きといった効果を付けた後でも、無限に変更が可能ですので、試行錯誤がやりやすい製品といえるでしょう。いったん、作ったものを再度スクラッチから全部作り直す必要がなく、作業時間が節約できる効率的なアプリケーションとなっています。あとは、他の製品よりも価格が安めというところでしょうか」

スタイルを選択した後も、属性の変更やスタイルの切りかえといった変更が行なえる。また、基本オブジェクトのテキストや形状の修正も可能
スタイルを選択した後も、属性の変更やスタイルの切りかえといった変更が行なえる。また、基本オブジェクトのテキストや形状の修正も可能



●ビジネスユーザーからプロフェッショナルユーザーまでカバー

----どういう方をターゲットとしているのでしょうか?

「コンシューマー向けというよりは、ビジネスでウェブ作成業務を行なっているが、プロのデザイナーではないといった方です。米国ではSOHOのビジネスユーザーが対象となっているのですが、日本国内では、当初ターゲットとしていたビジネスユーザーもさることながら、プロのデザイナーの方からの反響が大変高いです」

「プロデザイナーが使う場合に、クライアントに対して行なうアイデア出しの段階で、何10個もサンプルパターンを作ることができます。また、その場で『これをもう少し暗くしたい』といった要求にもすぐに対応できますので、そういう意味でもフレキシブルな製品と言えます」

「プロフェッショナルのデザイナーの方が複数のウェブを作成する場合、同じ作業がたくさんあるので、いったん、自分のやり方を登録しておけば他のクライアントにどんどん使えるということで、製品を発表してみたらプロのかたの評判はすごくいいですね。すごく意外というか、ここまでとは思いませんでした。一例ですが、先日テレビ番組を制作されている方が、Adobe ImageStylerのボタン整列機能などが番組のテロップを作るのに便利だとおっしゃってました。意外なところでいろいろな使われ方をされています」


----そうなるとやはりユーザーはプロが多くなるのでしょうか


「ただ価格的に垣根が低い製品ですので、自分もやってみようかなという気になっていただけると思います。初心者でもこの製品を使えば大分見栄えのするウェブページが作成できます。こういうものがあれば、ホームページを作ってみようかなという人も増えてくるのでは、と期待しています」


----例えばAdobe PageMillもAdobe ImageStylerがあってよりグラフィカルなものが作れる。そういうウェブ作成における方向性がきちんと製品に付けられるので、そういうものが明確化している人にとってはすごく選びやすいものになるのでしょうね


●単なるボタン作成ソフトではない、総合的なウェブグラフィックツール

-----いままでのお話を総合するとAdobe ImageStylerは、明確には何ツールと言えますか?

「ウェブグラフィック作成ツールという言い方をしています。発表当初に『ボタン作成ツール』といった面が強調され、本当にボタンやバナーといったパーツを作るだけというイメージが先攻してしまいましたが、実際にはそれだけではなくさまざまなグラフィックを作成できますので、むしろウェブグラフィックソフトとお考えいただくのがいいかも知れません」


----ウェブ作成に関わっていても、実際にはどうやってHTMLに変換されているかわからないがほとんどだと思うのです。デザイナーさんもすべての方がわかって作っているわけではないですよね。Adobe ImageStylerなら、HTMLの記述がわかっていなくても使えるところがいいですね


「そのとおりです。ハードルは低いのだけれど、プロフェッショナルな人たちまで使える製品だと言えますね。14日に店頭販売を開始しますが、どんな人たちが実際に買ってくれるのか、すごく興味があるんですよ」

●デザイナーの作業を軽減

 すでにβ版をウェブサイトからダウンロードして使用しているプロの声を聞いてみた。

 ウェブサイト構築を中心にネットワーク全般のコンサルテーションを行っている小林剛氏は「Adobe ImageStylerはサイトのβ版が登場してからずっと使っています。はやく製品版が出るのを待っていたぐらいです」と発売を心待ちにしていたと語った。

「ボタンの作成など基本的な部分はもちろんですが、いったん、デザイナーに作成してもらったスタイルやテクスチャ、色といった部分の属性をそのまま活かして内容を変更するといったことも容易です。とても基本的なことですが、これによって不必要な作業をデザイナーに強いることもありませんし、デザインに精通していないウェブの管理者も気軽に修正することができます」と制作の現場にとっては大変実用的であることを強調してくれた。

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