松下電器産業(株)、松下電子工業(株)、三菱電機(株)の3社は本日、記者会見を行ない、eDRAM(エンベデッドDRAM)を搭載した次世代システムLSI(ロジック混載LSI)の共同開発で提携をしたと発表した。eDRAMとはDRAMを混載したシステムLSI。今後両社は設備、開発資源を集約統合し、共同で研究、開発を行なう。提携の期限は5年間で、およそ500億円の規模を想定しているという。
第1段階として、2000年の製品化を目指し、0.15μmプロセスのeDRAMの共同開発を行なう。現在、松下と三菱はそれぞれ独自に0.15μmプロセスの研究を推進している。今回の提携で双方の研究グループの統合と、先進している分野の技術供与を行なうことで、研究開発のスピードアップを図るという。
その後、0.13から0.10μmプロセスを採用した1GbitレベルのeDRAMの実現に向けて本格的な共同研究を行なう。ここでは、開発、製造ラインの共同運営や、研究グループの統合、半導体IP(Intellectual
Property:システムLSIの機能ブロック)の共有化も視野に入れているという。
左から松下電器産業の古池進取締役、三菱電機の亀田博専務取締役、同じく長澤紘一取締役 |
会見には、松下電器の古池進取締役、三菱電機の亀田博専務取締役、同じく長澤紘一取締役が出席し、記者団の質問に応じた。
----研究グループの統合に関して具体的なプランはあるのか
「方向としては、双方の研究施設に互いに派遣する方法を予定している。0.15μmプロセスの研究所に関しては、松下が京都、三菱が伊丹と、非常に近い。相互に研究者を派遣する環境は整っている。また、新たに施設を共同で開設する可能性ももちろんある」(亀田氏)
----開発した製品はどこが販売するのか
「各社がそれぞれの判断で製品に搭載することになる。販売に関する提携はない。松下では自社製品に採用して販売する」(古池氏)
----三菱は(株)日立製作所、米テキサス・インスツルメンツとの提携はどうするのか
「両社との提携は、一定の成果が上がったと判断したので、3月に終了した」
----協業によるコストダウンはどの程度になるのか
「具体的な金額は申し上げられない。ただ、単独で新たなシステムを開発するのには200から300億円のコストがかかる。このコストを共同で開発することで相当削減できると考えている。また、コスト面のほかに、研究期間の短縮も大きなメリットのひとつだ。なお、研究、開発にかかるコストは松下、三菱が折半する」(古池氏)
----共同で製造ラインを開発することはあるのか
「0.15μmプロセスについては、すでに独自に投資もしているし研究もしているので、一本化は難しい。しかし、0.13μm以降では生産ラインの共同設置もあり得る。とはいえ、当面は0.15μmプロセスでの共同研究がメイン」(亀田、小池氏)
eDRAM市場規模はどの程度になると予想しているか。また、その中でどの程度のシェアを目指すのか
「2000年で5000億円、2003年で1兆円と予想している」(長澤氏)
「三菱はその中で20パーセントを目標にする」(亀田氏)
「一概には言えないが、松下は分野ごとに戦略を展開する方針。強い分野と弱い分野が出てくるのは当然で、強い分野では40パーセントを取り、弱い分野では無理に勝負しないという戦略をとる」
----応用品について、共同開発を行なう予定はあるのか
「予定していない」(古池氏)
----今後、半導体部門を統合する方針はあるのか
「現段階では予定していないが、0.13μmから先に関しては協業プラス研究所レベルでの統合はあり得る。ただ、それが部門統合にまで進むかどうかは未定」