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キャラクターの権利問題に波紋を呼びうるphotomosaic

1998年11月13日 00時00分更新

文● 報道局 中野潔

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 ウィスキーのコマーシャルなどで目立つようになったphotomosaicの発案者、ロバート・シルバー氏が攻勢をかけている。photomosaicは、膨大な数の小さな写真を組み合わせて、遠くからみると、特定の図柄を思い起こすように並べたもの。絵画の点描の点の一つひとつを写真にしたようなものである。マサチューセッツ工科大学の大学院に在籍するロバート・シルバー氏が考案した。

 ロバート・シルバー氏は年末に掛けて、photomosaicによる作品を多数、世に送り出す。出版社のハイペリオンから、ディズニーの図柄をphotomosaicで構成した絵本を、11月中に発刊する。このほかにも、ポスター、カレンダー、ジグソーパズルなどを続々と発行する。

 photomosaicは、著作権、キャラクター化の権利などに微妙な影響を及ぼしうる技術である。photomosaicを構成する個々の小さな写真の著作権有無は容易に決定できる問題である。仮に、作者の死後50年以上経ったり、パブリックドメインの宣言がなされたりした写真を使えば、権利問題が生じない。

 しかし、それを組み合わせて作成した大きな図柄の権利の問題は、明確ではない。ミッキーマウスを例にとれば、遠目でみると半数以上の人がミッキーマウスだと認識するが、近づくとほとんどの人が何かわからないという作品がありうる。これがミッキーマウスの著作権を侵害しているかどうかは微妙なところである。

 今回発刊するディズニーの絵本には、ディズニーのロゴが入っているので、ロイヤリティーの問題が解決しているのは確実である。しかし、photomosaicの応用範囲は広く、手法そのものは比較的容易に真似のできるものである。今後、そうした権利問題の境界線上にあることを意識してビジネスに結び付ける動きが出れば、波紋を呼ぶ可能性がある。

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