米WRQ社は23日、東京・千代田区の東京国際フォーラムにて、“Microsoft
WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition および WRQ Reflection
が実現するホストアクセスにおけるTCO(Total Cost of Ownership)の削減”と題したセミナーを開催した。これは、米WRQ/マイクロソフト(株)/シトリックスシステムズ・ジャパン(株)の3社が、“ThinクライアントサーバーとTCOの削減”というテーマについて、自社製品を紹介するというものだった。
今回のセミナーは、日本に支店を持たない米WRQ社が、日本での新製品紹介をおもな目的として開催したもの。同社の新製品『Reflection
for the Mainframe』は、『Microsoft WindowsNT Server 4.0, Terminal Server Edition』と『Citrix.MetaFrame』に対応している。そのためか、同社が主催であるにもかかわらず、『Microsoft
WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition』あっての新製品という感を得ずにはいられなかった。
講演の対象となった3つの製品の仕様、価格、特徴については以下の通り。
●『Microsoft WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition』
開発元 | マイクロソフト(株) |
発売元 | Thinクライアントサーバーシステムを構築するためのサーバーソフト。クライアントには“Windows-based Terminal”端末を要求する。 |
稼働環境 | Windowsベースのネットワーク上。 |
価格 | 10クライアントライセンス付きで22万6000円から。 |
特徴 | サーバー側で各種のアプリケーションを動作し、クライアントからは操作情報のみをサーバーに送る。そしてクライアントが必要とする処理情報だけをサーバーからクライアントに送信。クライアントはデスクトップ上でその情報を表示する。 |
●『CitrixMetaFrame』
開発元 | 米Citrix |
発売元 | (株)兼松コンピュータシステム |
概要 | Microsoft WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition』をUNIXやMacintoshなどの非Windowsマシンに接続させるためのツール。 |
稼働環境 | Windowsベースの端末上のほか、UNIXやMacintoshなど非Windowsマシン上でも稼動可能。 |
価格 | 5ユーザーライセンス付きで19万5000円から。 |
特徴 | 米Citrix社の開発したICAプロトコルにより、Windowsベースの端末のほか、UNIXやMacintoshなどの非Windowsマシンに『Microsoft WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition』を接続させることができる。イントラネットやLANはもちろん、通常の電話回線、ワイヤレス、ISDNなど様々な回線に対応。 |
●『Reflection for the Mainframe』
開発元 | 米WRQ |
発売元 | サイバネットシステム(株) |
概要 | Thinクライアントサーバーシステムを構築させる上で、IBMメインフレームのホストにパソコンクライアントを接続させるツール。『Microsoft WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition』と『CitrixMetaFrame』に対応している。 |
稼働環境 | WindowsNT、Windows 95。 |
価格 | 1ライセンス、6万1200円から。 |
特徴 | サーバーからのインストールが可能で、各ユーザーのローカルパソコンにインストールする必要がない。“ReflectionFTP”や“ReflectionUNIX&Digital”などのツールをWebから直接起動可能。また、“設定一覧”という項目により、トラブルが発生しても設定異常を素早く発見することができる。 |
『Reflection』によるコネクティビティーソリューション
まず、米WRQの日本における代理店であるサイバネットシステム(株)ネットワーク事業部副事業部長の勝又一徳氏が司会を務め、続いて米WRQ社日本担当テクニカルプロダクトマネージャーの間宮洋圭氏が壇上に立ち、同社製品『Reflection』の紹介とTCOの削減について語った。間宮氏は、企業のコスト削減について解説。必要なソフトを各クライアントにインストールするという簡単な作業に、総コストの5分の1が隠れたコストとして費やされているという調査結果を報告した。解決法として、システム管理者のマシンからクライアントを直接に管理・運営できる“Thinクライアントサーバー"システムが、TCOの削減に大きく貢献すると解説した。
『Microsoft WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition』 によるThinクライアントサーバーソリューション
続いて、マイクロソフト(株)ビジネス製品統括部サーバーOSプロダクトマネージャーの黒崎純一氏が、『Microsoft WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition』 について語った。黒崎氏は、『Microsoft WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition』 は、サーバーですべてのアプリケーションを管理・運営する“Thinクライアントサーバー”システムに最適なソフトであると紹介。
また、Thinクライアントサーバーシステム環境では、クライアント側はサーバーからの画像を映し出すだけであるため、各クライアント側のパソコンの設定をそれぞれ行わなくても動作が可能であるという利点を挙げた。
そして、同社が“Windows-based Terminal”と呼ぶ専用端末(Windows CEベース)を使うことで、PDAやノートパソコンなど携帯端末からのリモートアクセス環境が向上すると付け加えた。たとえば通信が途絶えた場合でも、サーバーにアプリケーションが残っているため、継続した処理が可能だという。同様に、サーバーが集中管理をしていることで、遠隔地にあるパソコンのメンテナンスもほとんど不要であると述べた。
しかし、その一方で、サーバーには高性能の処理能力が必要とされ、サーバーがすべてのアプリケーションを実行するためにはメモリーやCPU処理能力の強化が必要と力説。また『Microsoft WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition』によるサーバーへの負担が大きいことからも、クライアント側は、ダム端末やPOS端末などのデータ入力といった軽いアプリケーションを処理する用途で使用して欲しいと語った。また、同製品はクライアント側のローカルデバイス、すなわちフロッピーディスクなどの周辺機器を現バージョンではサポートしていないとのこと。 『Microsoft WindowsNT Server 5.0,Terminal Server Edition』が発表される時には、サーバー側の負担を軽減、ローカルデバイスのサポートなどを拡張していく予定だという。
『CitrixMetaFrame』によるThinクライアントサーバーソリューション
次に、シトリックスシステムズ・ジャパン(株)システムエンジニアリング部の塩原稔氏が、『CitrixMetaFrame』について紹介した。『Microsoft WindowsNT Server 4.0,Terminal Server Edition』は、そのクライアントとして“Windows-based Terminal”端末を要求する。だが、『CitrixMetaFrame』を使用することで、UNIXやMacintoshなどの非Windowsマシンを使って“Thinクライアントサーバー”を構築することができる。また、既存の旧式パソコンでもクライアントとして十分に利用可能だと語った。
セミナー全体をとおして、企業が本格的に“Thinクライアントサーバー”システムの導入を考える際には、通信ソフトやエミュレーションソフト、各パソコンに互換性を持たせるツールが重要な位置付けになると感じられた。