13日夜、東京・御茶ノ水のデジタルハリウッド(株)にて、スペシャルイベント“WEB
DESIGN:2001”が開催された。主催は(株)アスキー『MAC POWER』編集部。
“Webデザインの将来像を導き出す”をテーマに、ディスカッション形式で“デザイン”、“技術”、“教育”の観点から論じ合った。パネリストは、デジタルハリウッド(株)校長兼代表の杉山知之氏、マクロメディア(株)代表取締役社長の手嶋雅夫氏、AXISアートディレクター宮崎光弘氏。司会兼パネリストは『MAC
POWER』『Mac People』石坂康夫編集長。
当日は受講者200人を越える盛況ぶり |
紙のデザインとWebデザイン
まず、手嶋社長が「インターネットは、今あるヒエラルキーを崩壊する」と強調。「桐の箱の中に大事に入れていたら間に合わない。ムキ身のままどんどん出していく、そんな世界」と、情報媒体としての印刷とWebの違いを語った。雑誌やWebデザインを手掛ける宮崎氏は、「WebデザインをDTPの延長としては考えていない。もっと広い分野で考えるべき。例えば、ランドスケープを作った建築家は、そこにどんな風に人が集まったら豊かになるかを大事にしていたという。人がどのようにWebと関わりを持つかという点で、とても参考になる話」とデザイナーからの視点で語った。
マクロメディア(株)代表取締役社長 手嶋雅夫氏(左)、『MAC POWER』『Mac People』石坂康夫編集長(右) |
プロとアマチュアの境界線
デジタルハリウッドでは現在DTPを学ぶコースは設けてないという。杉山校長は「DTPに未来がないというわけではない。DTPは印刷の知識も必要で、奥が深すぎるから。それより、今求められている人材は、デザインやWebの知識を両方もった仲介役を務める人」と、文系、理系の両方の要素が必要だとした。宮崎氏によれば、「環境は人を変えていく。実際、デザイナーがUNIXを使いこなしたりしている」という。
デジタルハリウッド(株)校長兼代表の杉山知之氏(左)、AXISアートディレクター宮崎光弘氏(右) |
ビジネスとして有効なものは何か?
石坂編集長は「Webの最大の特徴は、目的を持ったユーザーが訪れること。情報をデザインし、よりよいインタラクション、そして、強力な個性、これらWeb制作の上での重要なポイント」とし、社会の中こそでマーケティングセンスは培われるとした。宮崎氏は、「問題解決型の教育は、今まで少なかった。でも、クライアントに要望を出されたとき、何が重要かを考え、返事ができる提案型の思考が必要」と、ワントゥワン マーケティングを意識した提案力の重要性を強調した。
世界中の音が聞ける“Sound Explorer”も紹介された(http://sound.gsquare.or.jp/top.asp)
“2001”その時、日本のWebデザインは?
最後に4人のパネラリストは、以下の通り、今後進むべきWebの方向性についてコメントした。「ひょっとしたら、これから、田舎の農業を営む一人が、Webを利用して有機野菜の直販をするかもしれない。それがヒエラルキーの崩壊だと思う」(杉山校長)
「“Sound Explorer”というサイトを作ったとき、幼稚園の子供にテストプレーをしてもらった。普通では思いもよらない操作をするが、人が何をするのかを知ることが重要」(宮崎氏)
「Webは多くの金塊が眠る場所。その金塊を掘り当てるつるはし、すなわち、Web制作ツールをよりよい形で提供していく。ゲームを利用したサイトが、3ヵ月2億円という広告費をあげている例のように、リピーターをいかに得るかという点が重要になる。どこのページに何分間滞在したか、そんな経路で回ったかをカウントできるような、プログミング知識なしで使える製品開発をしたい」(手嶋社長)
「プロとアマチュアの大きな違いは、作品を意図して作っているか、否かということ。なんとなくできた作品と、経験に基づき、考慮されてつくったものは大きく違う。技術を持った人が包丁を使いければそれが最高」(石坂編集長)
なおデジタルハリウッドでは、“ザ・インターネットスクール”を11月に開講する。ここでは、Web制作に必要なツールの使用方法を一通り学ぶ。加えて、広告代理店にも通用する企画書作成にも力を入れるという。