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Intel Developer Forum速報 Vol.5―Intel、“WTX”のファイナル版を発表、18ヵ月以内にISAを追放して1394を普及―

1998年09月18日 00時00分更新

文● 報道局 河村康文

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●18ヵ月以内にISAを廃止し、1394を普及させる

 Intel(インテル)社デスクトップ製品グループ担当副社長のPat Gelsinger氏は、同社が15日から開催中の開発者向けカンファレンス“Intel Developer Forum”の最終日にキーノートスピーチを行なった。

 Gelsinger副社長は、Intelが掲げる「10億台のネットワーク接続されたコンピュータ」というビジョンを実現するために、業界はPCマーケットに新規顧客を引き込み、同時に個人または法人の既存ユーザーにより良い利用環境を提供する必要があり、それを実現する鍵は「PCをもっと使いやすくする」、このことに尽きると強調した。

Intel社デスクトップ製品グループ担当副社長のPat Gelsinger氏。ビル・ゲイツ氏ではない
Intel社デスクトップ製品グループ担当副社長のPat Gelsinger氏。ビル・ゲイツ氏ではない



 さらにGelsinger氏は(ここが初日のBarrett社長の講演とも重なるのだが)PC業界は早急に不要なレガシーテクノロジーを排除するための戦略を構築すべきだと述べた。PCプラットフォームにおいては新技術や新機能は常時追加されていくが、古臭い技術はいつまでも残る傾向があると指摘し、レガシー追放への決意を見せつけた。

 氏が言いたいのは、ISAバスのようなレガシー技術は、システムの信頼性を損ない、ユーザーにフラストレーションを募らせ、そのくせ少なくともタダではないので要らぬコストだけはかかるわけで、これをいいかげん何とかしようということだ。

 ここでGelsinger氏はPCを使っていない人がPCを買わない理由を調べた調査結果を示し、「必要がない/欲しくない」、「価格が高い」という理由はともかく、「使うのが難しい」としている人がけっこういることを問題視し、使い勝手の悪さがConsumer PC市場のリミッターになっているとの認識を示した。

「パソコンは難しいから買わない」と答えている人の割合が高い国は日本(左から蘭、独、台湾、英、日、印、露、米、韓、中、ブラジル、墨)などという結果となっている
「パソコンは難しいから買わない」と答えている人の割合が高い国は日本(左から蘭、独、台湾、英、日、印、露、米、韓、中、ブラジル、墨)などという結果となっている



 さらに同氏は、PCプラットフォームをシンプル化する計画のタイムスケジュールとして、'99年後半にはISAをPCから追放するという具体的に期限を切った行動をフォーラム参加者に求めた。Plug and PlayとUSBは実現したので、ISAの追放、“Instant Availability”(面倒なセットアップなしに使える)、“Pre-boot services”(ファーストウェークアップなど)、IEEE 1394の普及を今後18ヵ月以内にやろうというのである。

PCのモダナイズとシンプル化に対するIntelの執念を感じさせる
PCのモダナイズとシンプル化に対するIntelの執念を感じさせる



 ここでGelsinger氏は、Barrett社長のスピーチにも登場したレガシーフリーPCのコンセプトモデル“Aztec”を自らセットアップし(一度結線を間違えたりもしながら)、バイクレースゲームの『MotoRacer』をプレーして見せた(氏は前回のIDFでもマルチディスプレイ対応のフライトシミュレーターをやって見せたりしていたが、ゲーム好きなのかもしれない)。

●“WTX”と“Digital Display Working Group”

 古い技術を大掃除する必要性を訴える一方で、新しい技術については比較的楽観的な気分が漂う。たとえばデスクトップPCのメモリのロードマップが示されたが、これを見ると西暦2000年にはほとんどすべてのセグメントでPC100 SDRAMからDirect RDRAMへのリプレースが完了することになっている。

デスクトップPCのメモリのロードマップ
デスクトップPCのメモリのロードマップ



 またIntelは15日にミドルレンジのワークステーションのマザーボードとシャーシの規格である“WTX”(http://www.wtx.org参照)のファイナル版を発表している。デュアルプロセッシング(IA-32とIA-64)、ラージメモリのサポート、AGP 4x、AGP Proなどがフィーチャーされている。

こちらWTXは新しい技術で埋め尽くされている
こちらWTXは新しい技術で埋め尽くされている



 Gelsinger氏は、もう一つIntelが関わっている新しい業界ワーキンググループとして“Digital Display Working Group”の設立をアナウンスした。これはハイパフォーマンスのPCとデジタルディスプレーとの接続のための仕様を決めようというもので、'99年の春までに仕様確定を目指すという。参加企業はIntel、Compaq(コンパック)、Dell(デル)、富士通、Hewlett-Packard(ヒューレット・パッカード)、IBM、Microsoft(マイクロソフト)、NEC、Silicon Image。

Digital Display Working Groupの活動は、入り口から出口までアナログデバイスとなっている現状のディスプレーを大きく変えることになりそう
Digital Display Working Groupの活動は、入り口から出口までアナログデバイスとなっている現状のディスプレーを大きく変えることになりそう



 Intelという会社は従来、むしろ業界の黒子に徹するというか、意識して目立たないように振る舞ってきた感がある。しかし、アメリカでも世帯普及率がなかなか50パーセントの壁を越えられないなどの今のPC業界の現状を考えると、そういう姿勢では今や将来への展望は開けない。新しい規格や製品を他社と協調しつつ競争して作り上げ、同時に古い技術はタイムリミットを設けてターミネートすることによってのみ市場が広がるという立場を、同社は今回のIDFで明確にしたと言えそうだ。

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