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富士通などの提案したPDM仕様をOMGが採用

1998年08月17日 00時00分更新

文● 報道局 中野潔

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 富士通の参加したグループが提案したPDM(Product Data Modeling)の仕様が、10日(米国時間)、OMG(Object Management Group)の正式の規格として採用されることになった。OMGはオブジェクト指向技術の標準化団体である。最近は業種を横断した普遍的な仕様を決める“プラットフォーム”分野から、業種ごとの特性にまで踏み込んで仕様を決める“ドメイン”分野での策定に軸足を移していた。

 各ドメインでは、製造業でいえば、たとえば資材管理台帳、受注管理台帳、発注管理台帳、在庫管理台帳、工程管理表といったものを、オブジェクトとして定義してしまう。いろいろなソフトハウスの作る多種多様の製造業関連アプリケーションにおいて、すべての処理はこれらの標準的オブジェクト間の相互作用であるとしてプログラミングするようにする。こうすれば、新規のアプリケーションを開発するのにも便利だし、アプリケーション間の連携をとるのも容易である。

 OMGの日本代表である鎌田博樹氏は、今回の規約採用について次のように述べている。

「ドメインとして、金融、製造業など多数の分野が指定されている。製造ドメンでは“Manufacturing Domain Taskforce”というグループが2年前に設けられた。今回の規格は、製造業ドメインにおける最初の規格制定である。同タスクフォースでは、ERP(Enterprise Resource Planning)、MES(Manufacturing Execution System)、PDMなどのうち、どの規格制定を先にするかが論議となったが、結局PDMに最初に手を付けることになった。今回のPDMに関する決定は、製造業ドメインにおける最初の成果として意義深い」

 PDMは、CAD/CAMシステムの進化形として登場した概念である。CAD/CAMシステムでは、部品を3次元形状で表す。PDMでは、これに型番、製造誤差、材質、表面精度、設計者名、他の部品との組み立て関係、製造日程、単価といった属性を加え、製造業務を川上から川下までカバーして管理できるようにする。

 「CAD/CAMシステムのベンダーは多く、それぞれが他社システムとのPDMの差異化を売り物にしてきた。このため、標準規約の制定は難しいと思われていた。しかし、CAD/CAMの大規模ユーザーとして影響力を持つボーイングが、ベンダー各社に一本化を迫ったため、標準化が進展した」(鎌田氏)。

 今回、OMGが採用したのは、富士通がDEC、IBM、Matrix One、SDRC、Sherpaとともに今年1月に提案したPDM仕様。日本の自動車関連の標準化プロジェクト、V-CALSにおける成果をもとに策定した“製品構成定義”を発展させた。

 鎌田氏によると、ボーイングは巨大な購買力をバックに、ERPシステムのベンダーに対してもオブジェクト規約の一本化を迫っているので、この面の標準化も案外早く進展する可能性がある。そうすれば、大規模アプリケーション間の連携が非常に容易になる。

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