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【INTERVIEW】Per Jundin氏に訊く“The Global Bangemann Challenge”とは?

1998年06月09日 00時00分更新

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 スウェーデンのストックホルム市主催で、IT関連技術を利用したプロジェクトの国際的なコンテスト“The Global Bangemann Challenge”の募集が現在行なわれている。新しい在宅勤務のようなビジネス体系、生涯教育など11のカテゴリーに分かれており、すでに50ヵ国、170都市の300を超えるプロジェクトが応募、日本でも仙台市が応募しているという。応募の締切は'98年末で、授賞式は'99年6月を予定している。

 同コンテストは、EU(欧州共同体)の役員であったMartin Bangemann氏が、ストックホルム市で設立した“Europe Bangemann Challenge”が前身。ヨーロッパを対象としたIT関連技術を利用した地域振興のコンテストである“Europe Bangemann Challenge”は、'95年に開催され、'97年に授賞式が行なわれた。この“Europe Bangemann Challenge”を、全世界に拡大させたコンテストが、“The Global Bangemann Challenge”である。

 “The Global Bangemann Challenge”への参加を呼びかけるために来日したストックホルム市のプロジェクトマネージャー、Per Jundin(パー・ヤンディン)氏に同コンテストの意義などについて伺った。



----このプロジェクトの狙いは?

Jundin「他の地域で行なわれたプロジェクトの中から、スウェーデンやストックホルム市が、学び取れるものを吸収するのが狙いのひとつです。そして、これをきっかけに他地域との交流を進めていきます。スウェーデンは小国であり、生き残るために他地域とのネットワークを重視しています。スウェーデンが国際社会に取り残されないようにする為のプロジェクトでもあります」

----前身である“Europe Bangemann Challenge”では、どのようなプロジェクトが受賞しましたか?

Jundin「前回受賞したプロジェクトのひとつに、ストックホルム市の“ソフィアスクール”が行なっている遠隔地教育があります。これは、海外で暮らすスウェーデンの子供たちにインターネットを使って教育を行なうというもので、82ヵ国で300人の子供が教育を受けています」

----この遠隔地教育が受賞したのは、どのような点が評価されたからでしょうか?

Jundin「使われている技術はシンプルなものですが、そこから得られる効果は、きわめて大きいという点が評価されました。前回も、今回も、使われている技術が高レベルなものか、あるいは革新的なものであるかといった点は問題ではなく、人々にとって有益であるかどうかが重要なのです」

----前回も含め、ユニークなプロジェクトはありましたか?

Jundin「それほど特殊でユニークなプロジェクトはありません。たとえば決済機能を有したカードの実験など、どこの地域でも行なわれています。しかし、似たようなプロジェクトがあるからこそ、このコンテストを行なう意義がある、と思っています。失敗の中から学ぶことも多いのではないかと思います。また、応募されたプロジェクトに関する情報を公開することで、同じようなプロジェクトを行なっている地域どうしの交流を促すこともコンテストの目指すところです」

----では、前回のコンテストをきっかけにして、始まったプロジェクトも多いのですか?

Jundin「残念ながら、前回のコンテストに応募されたプロジェクトで、他地域のプロジェクトの役に立った技術、採用された技術というのは、あまり多くありません。なぜなら、たとえばストックホルム市は多額の投資を行なって、光ファイバーを設置したり、パソコンを購入したのですが、これらの機械を使いこなせる教師の数は多くありません。機械を使う技術を持つ人がいないとだめで、この点が難しいところです」

 ストックホルム市は、“The Global Bangemann Challenge”に対し、2億ドル(約280億円)の資金を出資している。不足分はEUが援助するというが、「ストックホルム市が得るものが大きい」との理由で、市の年間予算60億ドルの3パーセントに相当する金額の出資を、同市議会は超党派で承認したという。(報道局 佐藤和彦)

・“The Global Bangemann Challenge”の詳細
 http://www.challenge.stockholm.se/

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