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日本IBM、WorkPad用PHSモジュールをついに発表――企業向け販売のみで一般発売は未定

2000年07月27日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本アイ・ビー・エム(株)(以下、日本IBM)は27日、Palm OS搭載PDA『WorkPad』(8602-30J)にPHSデータ通信機能を持つモジュールを組み込み、在庫管理システムなどのカスタムアプリケーションと組み合わせて企業向けに販売すると発表した。

WorkPad用PHSデータ通信モジュール。左側に見える緑色の基板部分と、上に見える銅でできた部分がアンテナとなっている
WorkPad用PHSデータ通信モジュール。左側に見える緑色の基板部分と、上に見える銅でできた部分がアンテナとなっている



このPHSデータ通信モジュールについては、同社が'99年5月に『WorkPad c3』を発表した際に、開発意向表明を行なっていた。その後に開かれた各種のショーなどでは、試作機がIBMブースで紹介されていた。

WorkPad(30J)のスロットにこのように装着される
WorkPad(30J)のスロットにこのように装着される



このPHSデータ通信モジュールは、32kbpsデータ通信(PIAFS)専用で、音声通話はサポートされない。また、公衆回線専用で、構内電話モードや自営モードでの利用はできない。ホームアンテナについてもサポートされない。PHSキャリアには、NTTドコモグループ、DDIポケット電話グループ、アステルグループのいずれもが選択可能。ただし、出荷は必ずキャリアとの契約済みの状態で行なわれ、購入後に番号を付加することはできない。

モジュールを組み込んだ状態では、画面右上に電波受信状態を示すアイコンが表示される。その上の“~”は通信中を示すマーク
モジュールを組み込んだ状態では、画面右上に電波受信状態を示すアイコンが表示される。その上の“~”は通信中を示すマーク



PHSデータ通信モジュールには、PHSドライバーソフトウェア、ウェブブラウザー『PalmScape for WorkPad』((株)イリンクス)、POP3/SMTP対応メーラー『JotMail for WorkPad』((有)スマックフィールド)、POP3/IMAP4/SMTPに対応し、マルチアカウントをサポートするメーラー『MultiMail for WorkPad』((株)イリンクス)が付属する。

電源はWorkPad本体から供給される。連続してデータ通信を行なった場合では4時間の通信が可能で、必要なときだけアクセスするような間欠使用では2週間程度使用できるという。

同モジュールはWorkPadに組み込んだ形で企業向けにのみ販売され、モジュール単体では販売されない。出荷は同日に開始され、価格はオープンプライス。WorkPadと合わせて3~5万円程度になるという。販売ルートは、日本IBMでは販売を行なわず、同社の関連会社である(株)アイテスを通じての販売となる。すでに、製造業、製薬業、運送業といった業種の企業との間で、導入の方向で話が進んでいるという。

日本IBM広報部では、この製品について「WorkPadの業務現場における活躍の場を広げるソリューションの1つ」であり、「個人向けに小売り販売する予定はない」としている。この点について同社PS製品事業部PDA企画、PDA企画担当の米崎真一氏は、「PHSは利用できる環境が限られており、その特性をよく理解した上であれば、問題なく非常に使いやすい製品だと考えている。しかし、一般向けに小売りするとなると、ユーザーが期待する利用ができない場合も想定される。その場合に、(キャリアーがからむこともあり)日本IBMだけでは対応がとれない。企業向けであればそういった説明やサポートを十分に行なうことができる」とコメントし、主にサポート上の理由から企業向けのみの販売になったと説明した。

サポートという問題から、企業向けのみとした日本IBMの判断は理解できる。が、昨年の開発意向表明以来、企業向けに限定するといったアナウンスはなかったため、このモジュールの発売を心待ちにしていたWorkPadユーザーも少なからずいると思われる。何らかの形で、一般ユーザーでも、このモジュールが利用できる手段を提供してもらいたい。

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