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【INET 2000 Vol.3】今後5年の準備ができている者が勝利者となる――シスコCEOのジョン・チェンバース氏の基調講演から

2000年07月21日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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“INET 2000-The Internet Global Summit”が21日まで、パシフィコ横浜において、開催された。INETは、インターネット・ソサエティ(ISOC)が主催し、世界各地で開催されている国際会議で、第10回目にあたる。

20日には、基調講演として、米シスコシステムズ社の社長兼CEOであるジョン・チェンバース(John Chambers)氏が“インターネットの爆発的な成長”と題した講演を行なった。「今後5年の準備がでているか、次はどうするのかがインターネット社会では勝利者と敗者を分ける」と、シスコを勝ち組に導いたチェンバース氏の勝利の法則を披露した。

第2次産業革命が米国を勝者にした

チェンバース氏は、「昨日も森首相と会ったが、80パーセントの世界のリーダーが“現状が変わる”と理解している」と講演を開始した。

米シスコシステムズ社の社長兼CEOであるジョン・チェンバース氏米シスコシステムズ社の社長兼CEOであるジョン・チェンバース氏



「2回目の産業革命である。新しい産業革命、情報革命だ。目前には情報ハイウェイが見えているが、その手前には雷鳴がとどろく悪い天気も見えている。新しい世界には、古い規制を持ち込んではならないのだ」

「ネットワークの世界こそが、経済や社会を変える。ネットワークの効果は、勝利者がだれか、負ける者はだれかを明らかにした。第2次産業革命の準備が、日本にはできていなかった」と、今になってIT、ITと言っている日本政府の対応の遅れが米国と日本の差を生んだと指摘した。

「IT投資、インターネットインフラへの投資を行なえば、GDPそのものが伸びる。企業の面ではどうか? シスコは、ほかの企業に比べて急成長した。DECであろうと、IBMであろうと打ち負かしてきた。もっとも今ではパートナーだが」と、企業ではシスコがインターネットの効果を受け、勝者となったと述べた。

日本人の講演者と違って、外国人の講演者はとにかくよく歩き回るものだが、客席まで降りてきたのは珍しい
日本人の講演者と違って、外国人の講演者はとにかくよく歩き回るものだが、客席まで降りてきたのは珍しい



水平的なモデルが勝利をつかむ

「インターネットの社会では、波が次々に起きている。経営者としては、1つ、2つ先の波に乗ることは大事なことだ。以前は10年かかっていたことも、今では1、2年で実現し、さらに当たり前になってしまう」

「カスタマーは、エンジニア経由のサポートより、ウェブでのサポートを好むようになってきた。カスタマーバリューを変えるということはどういうことだろうか? それは、カスタマーの声に耳を傾けるということ。それが今ビジネスになってきている。水平的なモデルが勝利をつかむのだ」



シスコのIP電話をデモンストレーション。VoIPの電話機で、XMLベースでウェブにアクセスできるようになっている。社員食堂のメニューや社員の評価、ウェブサイトなどを閲覧するデモを行なった
シスコのIP電話をデモンストレーション。VoIPの電話機で、XMLベースでウェブにアクセスできるようになっている。社員食堂のメニューや社員の評価、ウェブサイトなどを閲覧するデモを行なった



今後5年の準備ができているか?

「シスコはこの10年に7回も市場への対応を変えた。カスタマーの要求することが変わったからだ。'97年はデータ・音声・ビデオ。'98年はインターネットソリューション。そして2000年にはビジネスパートナーを目指している」

「変化がなければ、出遅れてしまう。変化が加速すると、買収や戦略的提携が必要になってくる。今後10年はそういうことをやっていける会社が勝っていくだろう」と、シスコのようにどんどん変化し、変化に対応できる企業だけが生き残っていけるのだと力説した。

「今後5年でどうなるか? 音声の通信は無料になるだろう。データ通信もそうなっていくだろう。すべての物は安価になっていく。高い成長率を保つことができない企業は消えていくしかないだろう。そしてグローバル化。最も教育やインフラ、サポートのよい所に仕事が集中することになるだろう。これはウェブの世界だけでなく、あらゆる業界、国で起こる」

「今後5年の準備ができているか、理解できているか? 次はどうするか? それが問題だ」と講演を締めくくった。

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