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【INTERVIEW】Palmにはない、拡張性を武器に日本市場に参戦──ハンドスプリング、ロブ・ハイタニ氏インタビュー(前編)

2000年06月14日 00時00分更新

文● インタビュー/構成 編集部 小林久

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ハンドスプリング(株)は、14日、日本語版Palm OSを搭載したPDA『Visor』を発表した。“スプリングボード”と呼ばれる独自の拡張スロットの搭載や、斬新な5色のカラーバリエーションなど、従来のPalm/WorkPadにはない数多くの特徴を備え、昨年秋の米国出荷以来、大きな話題を集めてきた製品である。

Visorの開発元である米ハンドスプリング社は、Palmシリーズの生みの親Jeff Hawkins(ジェフ・ホーキンス)が設立したことでも知られており、その意味でPalmの精神が色濃く反映された、出自正しい新製品と言うこともできる。

ロブ・ハイタニ氏
ロブ・ハイタニ氏



ASCII24編集部では、このVisorの国内発表に伴い来日した、同社のソフトウェア&インターフェイス担当ディレクター、Rob Haitani(ロブ・ハイタニ)氏にインタビューする機会を得た。ハイタニ氏はVisorのエバンジェリストとして以前から来日しており、ユーザーにはなじみの深い存在だ。今回も、同氏にVisorの目指す目標や今までのPalm製品にはない魅力について大いに語ってもらった。

最もPalmらしい、Palm OS互換機

──まずは、ハンドスプリングとVisorについて簡単に教えてください。

「私たちは、ハンドヘルドはPCと競合するのではなく、“PCの延長線上にあるもの”だと考えています。ハンドヘルド市場は、他のコンシューマー製品と比べても伸び率が高く、今後、長期にわたって期待できる市場だと認識しています。そして、この市場でトップを取ることがハンドスプリングの使命です」

「ハンドスプリングは、Palmの歴史と深く結びついています。私たちの会社は、’98年7月にPalmシリーズの生みの親として知られるJeff Hawkins(ジェフ・ホーキンス)が設立しました。Palm OSのライセンスを受けたPDAを作ることを目標に当初8人でスタートし、現在の社員数は200人を超えます。最近では、毎週7~8人のペースで社員が増加しています」

「Visorは、従来から定評のあるPalm OSをベースに、より拡張性のある仕様を実現するため開発しました。そのためアプリケーションは100パーセントの互換性があります。ハード的には、クレードルがUSBに対応し、転送速度は従来のシリアルの4倍です。また、オプションなしでMacに接続できるのも特徴のひとつで、Macintosh用の接続ソフトも同梱しています」

「そして、より重要なのは、“スプリングボードスロット”という拡張スロットに、各種モジュールを追加して、さまざまな機能を実現できる点です。スプリングボードモジュールには、ドライバーが組み込まれており、差せばOSに組み込まれ、抜けば自動的にアンインストールされます。PCなどでよく起こるドライバーコンフリクトなどは無縁です。また、アプリケーションを使っている間にスロットから抜いても問題ありません」

Visorと機能拡張用のモジュール
Visorと機能拡張用のモジュール



「よくPCカードやコンパクトフラッシュのように汎用的なスロットを利用しなかったわけを聞かれますが、この特徴を見てもらえば、一目瞭然でしょう。現在、モジュールにはバックアップ用のフラッシュメモリーモジュール、ゴルフなどのゲーム、スタートレックのEブックや各種リファレンスなどさまざまなコンテンツが用意されています。また、モデムやMP3プレーヤー、デジタルカメラなど、Visorに新しい機能を付加する製品も用意されています。

「モジュールの厚みは任意に決めることができますから、電池を多く消費するような製品では、電池を収納して長時間使用できるようにすることも可能です。また、スプリングボードスロットの仕様はウェブサイトですべて無償公開していますから、特別な許可なく、誰もがモジュールを開発することができます」

ハンドスプリングが提供するモデムモジュールには電池を内蔵する。モジュールの厚みが任意に選べるのも、スプリングモジュールの特徴のひとつ
ハンドスプリングが提供するモデムモジュールには電池を内蔵する。モジュールの厚みが任意に選べるのも、スプリングモジュールの特徴のひとつ



スプリングボードがVisor成功のカギ

──スプリングボードスロット開発のきっかけは何ですか。

「私たちのデバイスは、基本的にPalm OSのメリットをそのまま引き継いでいます。そして、それに拡張性を加えた。Palmが成功したのはシンプルでサクサクとした動作を実現したためです。言うならば、機能を捨ててシンプルさを追及したわけです。しかし、実際に使ってみると、ボイスメモが欲しい、ポケベルがあると便利だといった具合に、欲しい機能が出てきます。

「しかし、こういった機能をすべて盛り込んでいったのでは、どうしても無理が出てきます。そこで、ユーザーの使い勝手を悪くせずに、機能を追加できるのかを考えたのです。スプリングボードスロットを利用すれば、“ウォークマン”のカセットを入れ替えるように気軽にそういった機能を使えるわけです」

──どういったユーザーに訴求できますか。

「Visorはコンシューマーをメインターゲットにした製品ですが、たとえば企業ユーザーが使ってもメリットがあると思います。たとえば、モジュールを配布すれば、ソフトをダウンロードしてインストールするよりはるかに簡単にソフトを利用できる。また、特定用途向けの機能も簡単に追加できます。さまざまな市場に対応できる非常にフレキシビリティーの高い仕様なのです」

──先ほど、ゲームや電子書籍などのモジュールが販売されているとおっしゃいました。そうするとぜひカラーの端末も欲しいのですが。

「カラー化は今後のポイントになる部分だと思います。(カラー対応した)Palm OSのライセンスを使う権利も当然持っているので、将来的にサポートしていきたいと考えています。最初の製品では、まずマーケットを広げるためにベースとなる製品を作りたかったのです。そのため、比較的簡単に作れ、価格が安く、コンパクトな製品を用意しました。日本では8MBメモリーを搭載したDeluxe版のみを販売しますが、値段は2万9800円で、市販されているPalm/WorkPadと比べても安価になっています」

──日本で出てくるスプリングモジュールにはどんなものがありますか。

「当初は、学研の辞書や漫画などコンテンツの部分からはじめたいと思います。そしてそのあとに、Bluetoothモジュールや無線LANなど米国のサードパーティーがすでに販売している製品、日本ならではのモジュールはそのあとになると思います。また、メモリーカードのモジュールなどは、もともと英/独/日本語など複数の言語が使えるよう設計されています。差し込むとOSのバージョンを検出して、最適なドライバーソフトを起動するのです」

──ソニーの参入など、Palm OS搭載デバイスは非常に増えてきていますが。

「一番のポイントは、さまざまなメーカーの参入によって、マーケットが大きくなるという点です。現在のPalm OSの市場はまだまだ非常に狭く、OSを普及させることが先決だと思っています。小さいところで競争しても仕方がありません。Visorの拡張性が新しい市場を切り開いてくれることを期待しています」

スプリングボードスロットの拡張性を武器に日本市場に旗揚げしたハンドスプリング。激戦を勝ち抜く今後の戦略はいかに? その詳細は後編で明らかになる!

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