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【JavaOne レポート Vol.2】2万5000人の参加者で大混雑――Javaがプラットフォームとして浸透

2000年06月07日 00時00分更新

文● 月刊ASCII network PRO編集部 渡邉利和

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米カリフォルニア州サンフランシスコのMoscone Centerで6月6~9日(現地時間)の4日間にわたり、Java開発者会議“JavaOne”が開催されている。今回は、初日である6日の基調講演の模様を中心にお伝えしたい。

目立つ発表はないが会場は満員

今回は、JavaOne開催直前の5月にJavaの実行環境の新バージョンである『Java2 SDK Ver.1.3』が公開されていたため、JavaOneの“目玉”は何になるのか予想がつかない状態であった。蓋を開けてみると、実は目玉といえるような大きな発表はないものの、実用期を迎えたJavaの米国での注目度の高さを印象づけられる結果となった。

来場者については2万5000人という数字を耳にしたが、確かに例年にない混雑ぶりで、基調講演を待つ人の列の長さに圧倒されるほどであった。会場内はどこも人混みで、人気のない場所を探すのは不可能ではないかと思われるほどである。日本国内ではJava関連のイベントでこれほどの参加者が集まることはあまりないうえに、JavaOneの参加費が1000ドル(約10万5400円)以上と高額なことを考えると、米国でのJavaの人気は本物だと思わざるを得ないだろう。

初日の基調講演では、毎年ホストを務めているJohn Gage(Chief Researcher and Director, Science Office)、Scott McNealy(Chairman and CEO)、Patricia C.Sueltz(President, Software Products and Platforms)といった面々に加え、大勢のゲストが登壇した。Bill JoyやJames GoslingといったJavaの技術面でのリーダーは2日目の基調講演に登場する予定であることもあり、技術的な側面にはほとんど触れられることはなかったが、逆に業界の幅広い支持を得て普及しつつあるJavaの現状をアピールすることに成功していたようだ。

ゲストによるサポート表明

基調講演にゲストとして現われたSteve Jobs氏(左)。MacintoshをJavaプラットフォームとしても最高のものにしていくと決意を語った
基調講演にゲストとして現われたSteve Jobs氏(左)。MacintoshをJavaプラットフォームとしても最高のものにしていくと決意を語った



基調講演のゲストには、従来Javaとの関連ではあまり大きな存在感を持っていたとは言い難い企業からの参加者が目を惹いた。最初のゲストとして紹介されたのはなんとApple ComputerのCEO、Steve Jobs氏である。氏は“MacOS X”に『Java2 Standard Edition(J2SE)』を標準バンドルすると表明し、「Macintoshを最良のJavaプラットフォームとする」と発言した。MacOS X Developer Release 4を利用したJavaアプリケーション実行のデモも披露され、“QuickTime for Java”を使った動画再生などで会場を沸かせた。

デモで紹介されたMacOS X。うまく動かなくなるシーンもあったが、デモが失敗するほどではなかった。動画の再生もスムーズだった
デモで紹介されたMacOS X。うまく動かなくなるシーンもあったが、デモが失敗するほどではなかった。動画の再生もスムーズだった



セガ副会長の入交氏も基調講演のゲストとして登壇し、簡単なプレゼンテーションを行なった。残念ながら、米国人ほどの派手な演出はなし
セガ副会長の入交氏も基調講演のゲストとして登壇し、簡単なプレゼンテーションを行なった。残念ながら、米国人ほどの派手な演出はなし



もう1社の注目のゲストはセガ・エンタープライゼス副会長の入交氏である。こちらは、セガのゲーム機『Dreamcast』をJava対応とし、Javaで作成したゲームソフトをDreamcastユーザー向けネットワーク(Sega Net)で配信するといったアイデアを披露した。また、先日発表されたMotorolaとの提携を受け、Motorolaの携帯電話に対応したゲームを10種類ほど提供するという。

セガのゲームの画面。アイスホッケーを題材にしたのはScott McNealyの趣味に配慮したものか。一般的な3Dゲームとしても遜色のない描写と感じた
セガのゲームの画面。アイスホッケーを題材にしたのはScott McNealyの趣味に配慮したものか。一般的な3Dゲームとしても遜色のない描写と感じた



ゲストではないが、ホスト役のJohn Gageが披露したのはソニーのビデオカメラである。一見普通のホームビデオカメラなのだがJava対応となっており、DHCPおよびWebサーバの機能を内蔵している。試作品を用いたデモで詳細は不明だが、このカメラを単体でネットワークに接続すれば、それだけでWebベースのビデオ配信等が実現しそうだ。

ソニーのビデオカメラのサンプル。TV CM等でもおなじみの液晶画面を横に開くタイプのハンディタイプのカメラが、そのままJava対応デバイスになったようだ
ソニーのビデオカメラのサンプル。TV CM等でもおなじみの液晶画面を横に開くタイプのハンディタイプのカメラが、そのままJava対応デバイスになったようだ



このように、今回のJavaOneでは特に組み込みデバイスのJava対応が確実に進んでおり、商品化寸前の状態のものが多く見られたという印象である。目的に応じて様々なハードウェアを利用する家電や情報端末などでは、ソフトウェアを機種依存なく利用可能というJavaのメリットが引き出しやすいのだろう。Javaの主要な実行環境は現在のPCではなく、携帯電話やPDA、そしてゲーム機といった組み込み家電系のデバイスになるという未来図が明瞭に描かれていたという印象だ。

MotorolaのJava対応携帯電話(試作機)上でセガのゲームが動いている。今回のデモでは携帯電話上にあらかじめ読み込まれたソフトを起動していたため、イメージとしては電話ができるゲームボーイという感じだ。画像では見づらいが、ソニックがコーヒーを飲んでいるのが楽しいMotorolaのJava対応携帯電話(試作機)上でセガのゲームが動いている。今回のデモでは携帯電話上にあらかじめ読み込まれたソフトを起動していたため、イメージとしては電話ができるゲームボーイという感じだ。画像では見づらいが、ソニックがコーヒーを飲んでいるのが楽しい



こちらはMotorolaの腕時計型Webアクセスデバイスの試作品。ウルトラ警備隊を思い出すが、こちらの方が遙かに高機能のようだ
こちらはMotorolaの腕時計型Webアクセスデバイスの試作品。ウルトラ警備隊を思い出すが、こちらの方が遙かに高機能のようだ



そのほか、会場の一角にまとめて展示されていたJava対応デバイスの一部。やはり小型の組み込み機器が多い
そのほか、会場の一角にまとめて展示されていたJava対応デバイスの一部。やはり小型の組み込み機器が多い



恒例のゲームコーナーは、昨年のPlayStationからDreamCast一色に様変わり。ソニーは、PlayStation2の米国発売までは目立った動きを見せない模様
恒例のゲームコーナーは、昨年のPlayStationからDreamCast一色に様変わり。ソニーは、PlayStation2の米国発売までは目立った動きを見せない模様



会場の混雑ぶりはこんな感じ。まさに足の踏み場もない、という感じである
会場の混雑ぶりはこんな感じ。まさに足の踏み場もない、という感じである



会場には『Sun Ray 1』(サーバー管理型ワークステーション)が大量に設置してあり、参加者が自由にWebアクセスなどができるようになっている。そのためにICカードも配られたが、あまりこった仕掛けにはなっていない点がやや残念
会場には『Sun Ray 1』(サーバー管理型ワークステーション)が大量に設置してあり、参加者が自由にWebアクセスなどができるようになっている。そのためにICカードも配られたが、あまりこった仕掛けにはなっていない点がやや残念



展示会場で見かけたJava対応自動車。いわゆる計器板がなく、ダッシュボード全体がスクリーンとなっていて表示が浮き上がる。写真ではわかりにくいと思うが、乳白色の半透明パネルに下から映像を投影しているようだ。グラスコックピットが自動車でも実現した感じだ
展示会場で見かけたJava対応自動車。いわゆる計器板がなく、ダッシュボード全体がスクリーンとなっていて表示が浮き上がる。写真ではわかりにくいと思うが、乳白色の半透明パネルに下から映像を投影しているようだ。グラスコックピットが自動車でも実現した感じだ



Sun Ray 1にログインするために使用するスマートカード。ただし、カード自体には認証の機能を持たせておらず、実質的には単なる電源スイッチのような使われ方だ。多数の参加者に対応するための準備が整わなかったのかもしれないが、せっかくスマートカードを配っておきながらその機能を活用しないのはもったいない感じだ。全体として、今年のJavaOneは“テクノロジーのショウケース”という性格は薄れ、商品化直前の前夜祭/打ち上げパーティ、という雰囲気が感じられる
Sun Ray 1にログインするために使用するスマートカード。ただし、カード自体には認証の機能を持たせておらず、実質的には単なる電源スイッチのような使われ方だ。多数の参加者に対応するための準備が整わなかったのかもしれないが、せっかくスマートカードを配っておきながらその機能を活用しないのはもったいない感じだ。全体として、今年のJavaOneは“テクノロジーのショウケース”という性格は薄れ、商品化直前の前夜祭/打ち上げパーティ、という雰囲気が感じられる

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