【NETWORLD+INTEROP 2000 TOKYO Vol.2】「必要なIPアドレスを合計すると200億~300億個。これならIPv6で楽々」――慶應義塾大学の村井純教授
2000年06月07日 00時00分更新
Networld+Interop 2000 Tokyo実行委員会が主催する“NETWORLD+INTEROP 2000 TOKYO”の展示会が6月7日~9日までの間、開催される。
7日には基調講演として、慶応義塾大学環境情報学部の村井純教授と、大阪大学大学院基礎工学研究科の宮原秀夫教授がパネルディスカッション形式で講演を行なった。
慶応義塾大学環境情報学部の村井純教授(右)と、大阪大学大学院基礎工学研究科の宮原秀夫教授 |
講演会場、展示会場そして大阪を3元生中継
この講演は、講演の行なわれたホールと展示会場、そして大阪をDVで結ぶ3元生中継で行なわれた。村井教授はまず会場から登場。軽くレポートを行なってから、ホールに駆けつけた。レポーターになって展示会場の盛り上がりをレポートする村井教授 |
大阪との中継では、エコーや遅延が発生。リハーサルでは問題がなかったということで、「まだまだやることがあるのかな」(宮原教授)と苦笑い。
今回の中継は、デジタルビデオカメラからの入力をIEEE1394でパソコンに入力し、インターネット回線を通して、受信側のパソコンで再びIEEE1394から出力。それをDVデッキから映像出力した。
画面の向こうは大阪だ |
今回の映像データは全て出力すると約35Mbpsの帯域を消費する。これを回線の混雑具合にあわせて、ビデオの画像を間引いて送るのだという。音声は途切れてしまうために間引かない。映像を4分の1程度にすると10Mbps、10分の1程度にすると5Mbps以下になるとしている。
宮原教授は、「次世代のインターネットでは、QoS制御することでサービス品質を守っていこうという方向。ベストエフォート型のネットで、QoS制御の機能を持ったものを期待する。一定の帯域を保証されたようにみえる回線をできるだけ安い価格で提供することをめざすべきだと思う」と、述べた。
それに対して村井教授は、「IPの役割は、グローバルでフラットなコミュニケーションの空間を作ること。そういうことでは次世代ネットワークでは、ビデオをどうやって流すのか、1対多で流せるのかといったことを追求していかなければなりませんね」と、語った。
今年からIPv6は本当に本格始動する
IPv6について常々もうそこまで来ていると言っていた村井教授だが、今年は本当に始動しそうだ。村井教授は、「マイクロソフト、シスコが今年プロダクトレベルで出てきた。今年はIPv6へ移る年だと思う。安心できて広く使われているものがサポートしたことで、じわじわ広がっていくだろう」と、今年がIPv6の本格始動元年になるだろうと語った。
また、「スケールの話をすると、人口が60億~100億人。車が10億台。家電製品が60億台。センサーの類が120億個。これらを合計すると約200億~300億個。すべてにIPアドレスをふっても、IPv6で全然問題ない」と、すべての家電や自動車にIPアドレスを割り振る時代になっても、128ビットアドレスのIPv6でサポートできると説明した。
村井教授は、「なんでも、だれでもというのが目標。今年、その波や技術がちゃんと来ている。すべての人が使えるようにしていきたい」と、語り講演を締めくくった。