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コダック、新製品発表会を開催――色にこだわる新型デジタルカメラ、画像をCD-Rに記録する“ピクチャーCD”のサービス開始を発表

2000年06月06日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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コダック(株)は6日、新製品発表会を都内で開いた。今回の目玉は310万画素CCD搭載のデジタルカメラ『DC4800 Zoom』。露出補正ダイヤルを独立して設けるなど操作性に配慮した上、玄人好みの広角寄り3倍ズームレンズを搭載、さらに「フィルムを選ぶ感覚」で計6種類の色調を切り替えられる。フィルムメーカーならではの色彩へのこだわりが、写真愛好家に配慮した造りのボディーと結びついたユニークな製品だ。発売と同時に色をテーマにしたサイト“iiiro.com(いい色ドットコム)”を開設してプロモーションを展開するほか、フィルムの現像時に撮影画像をCD-Rに記録するサービス“ピクチャーCD”を7月に開始することも発表された。

色彩へのこだわりぶりが際だつDC4800 Zoom


外観はコニカ(株)の高級35mmコンパクトカメラ『ヘキサー』をひと回り小型にした印象。ストロボはポップアップ式
外観はコニカ(株)の高級35mmコンパクトカメラ『ヘキサー』をひと回り小型にした印象。ストロボはポップアップ式



DC4800 Zoomは、コダックのデジタルカメラとしては初めて日本人デザイナーを起用した“日本発”の製品だという。スペック上は有効画素数310万画素のCCDと3倍ズームレンズを搭載した通常のデジタルカメラだが、フィルムメーカーならではのフィーチャーも盛り込まれている。スペック詳細は別記事で紹介済みなので、ここでは新製品の特徴を紹介する。

他社製品と比べ、DC4800 Zoomでは撮影時の色彩モードが豊富だ。まずカラーモードでは“シック”と“ナチュラル”の2モードを選択できる。シックは落ち着いた色調、ナチュラルは鮮やかで忠実な色再現を目指しているという。この2種類のモードは、例えて言うならば同社のリバーサルフィルム『コダクローム』と『エクタクローム』に対応している。コダクロームは派手さを抑えた控え目な色調、エクタクロームは鮮やかさと色再現性を両立させた発色を特徴としている。シックはコダクロームに、ナチュラルはエクタクロームと似た発色傾向にあるようだ。

銀塩カメラ用レンズではおなじみの花形フードがオプションで用意された。デジタルカメラでは恐らく初めてで、通常の円形フードと比べ効果が期待できる。フードはフィルターアダプターも兼ねており、市販の43mm径フィルターを利用できる
銀塩カメラ用レンズではおなじみの花形フードがオプションで用意された。デジタルカメラでは恐らく初めてで、通常の円形フードと比べ効果が期待できる。フードはフィルターアダプターも兼ねており、市販の43mm径フィルターを利用できる



さらにモノクロのモードが4種類も用意された。“白黒”と“セピア”は一般的だが、これに“イエローフィルター付き白黒”“レッドフィルター付き白黒”の2モードが加わっている。コダックの『T-MAX』を始めとする銀塩モノクロフィルムでの撮影時、ネガのコントラストを上げるためにイエローやレッドのフィルターをレンズに装着するのは常識的なテクニック。両モードではフィルター効果を画像処理でシミュレートし、撮影画像ではフィルター装着時と同じ効果が得られるという。

豊富な色彩モードを活かすため、ハード面も配慮されている。ボディー上面に大型の絞り値切り替えダイヤル(F2.8、5.6、8の3段階)を設けた上、デジタルカメラでは珍しく露出補正ダイヤルを独立して設け、補正が素早く直感的にできるようになっている。レンズは35mmカメラ換算で28mmから84mmと「300万画素クラスではもっとも広角寄りのズーム」(同社)で、ワイドを好む写真愛好家に応えた。

ボディー上面。絞り設定ダイヤルではプログラムAEモードへの切り替えもシームレスに行なえる
ボディー上面。絞り設定ダイヤルではプログラムAEモードへの切り替えもシームレスに行なえる



同社の『DC290 Zoom』を始めとするデジタルカメラには米FlashPoint Technology社のデジタルカメラ用OS『Digita』が搭載されているが、DC4800 Zoomでは採用が見送られている。同社では「Digita搭載製品がパソコンと連携した利用を重視しているのに対し、DC4800はカメラとしての性能を追求しているため」と説明しており、高画質と色彩へのこだわりを強調した新製品に対する自信が表れている。

色のポータルサイト“iiiro.com”

DC4800 Zoomは、コダックが120年間にわたるフイルム開発で蓄積してきた“カラーマネジメント技術”の強みを前面に押し出したユニークな製品。とはいえ色彩はスペック表に表しにくく、店頭でも確認が難しい。

そこで同社では、新製品が発売される6月23日、新キャンペーンサイト“iiiro.com”を開設してウェブ上でプロモーションを展開する。同サイトでは同社の製品紹介のほか、色に関わるグッズや仕事を取り上げ、さらに色にまつわるコラムを掲載するなど、同社製品にとどまらず色彩に関する話題を総合的に網羅するという。またメールマガジンを発行する予定もあるという。

画像編集ソフトも組み込まれた“ピクチャーCD”


“ピクチャーCD”
“ピクチャーCD”



また“ピクチャーCD”作成サービスを、7月1日から全国で開始することも発表された。

これは35mmフィルムかAPSフィルムの画像を記録したCD-Rを作成するサービス。1枚のCD-Rメディアにフィルム1本を記録できる。CD-Rにはあらかじめ画像閲覧・編集ソフトが組み込まれており、ユーザーはソフトを用意しなくても画像を閲覧し、簡単なレタッチも行なえるという。画像はJPEG形式で記録され、解像度は1500×1000ピクセル。

全国のコダック系DPE店で受け付け、価格は一律700円。納期は中1日としている。フィルム現像時にのみ注文でき、現像後のフィルムを記録するサービスは当面行なわない方針という。同社では“フォトCD”サービスで画像を記録するサービスを実施しているが、フォトCDはより高画素(3072×2048ピクセル)で価格も高い(平均4000~5000円)ためにハイエンド向けと位置付け、ピクチャーCDは一般コンシューマー向けに浸透を図っていく。

新製品発表会に出席したコダック社長の堀義和氏、米イーストマン・コダック社デジタル&アプライド イメージング事業部プレジデントのウィリー・シー(Willy C.SHIH)氏、コダック常務の長晋氏(右から)
新製品発表会に出席したコダック社長の堀義和氏、米イーストマン・コダック社デジタル&アプライド イメージング事業部プレジデントのウィリー・シー(Willy C.SHIH)氏、コダック常務の長晋氏(右から)



コダックのCMでおなじみの鈴木あみさんも発表会に出席を予定していたが、急きょ欠席となったため、ビデオでメッセージを寄せた。「新しいデジカメはかっこいいですね。発表会に行けなくて残念です」。本当に残念、と会場はため息
コダックのCMでおなじみの鈴木あみさんも発表会に出席を予定していたが、急きょ欠席となったため、ビデオでメッセージを寄せた。「新しいデジカメはかっこいいですね。発表会に行けなくて残念です」。本当に残念、と会場はため息

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