米AMD社は24日(現地時間)、米ルイジアナ州ニューオリンズにおいて*DDR SDRAMをサポートするAthlon用新チップセット『AMD-760』のデモンストレーションを行なった。これは、同地で開催中のWindowsプラットフォーム開発者のためのカンファレンス“*WinHEC 2000”において行なわれたもの。同チップセットは今年後半の出荷が予定されている。
*DDR(Double
Data Rate) SDRAM:通常のSDRAMでは、メモリーバスクロックの1クロックあたり1回のデータ転送を行なうのに対して、倍の2回のデータ転送を行なうことのできるSDRAM。同じクロックのSDRAMに対して、最大で2倍のデータ転送性能(帯域)を持つ。
*WinHEC(Windows
Hardware Engineering Conference):マイクロソフトが主催する、開発者向けの会議。パソコンや周辺機器などのメーカーに対して、同社がOSで採用/サポートしようとしている技術について説明を行なうもので、毎年春に開催される。
今回のデモは、今年DDR SDRAMの生産を計画している米マイクロンテクノロジー社、韓国のサムスン電子社、(株)東芝、(株)日立製作所、日本電気(株)、韓国の現代電子社、ドイツのインフィニオンテクノロジーズ社といった主要メモリーメーカーと協力して行なったとしている。
次世代のパソコン用メモリーとしては、米インテル社が推すRDRAM(RambusDRAM)があるが、RDRAMの製造に当たっては基本特許を持つ米ラムバス社に対して特許料を支払う必要があるほか、RAMそのものの構造が現在の主流となっているSDRAMと大きく異なるため、新たに生産設備が必要なことなどから生産量が上がらず、同容量のSDRAMモジュールに比べて、数倍の価格となっている。DDR
SDRAMは、パソコンで一般的に使用されているSDRAMと同様の生産設備で製造が可能なため、廉価で大量に供給が可能とされている。
米AMDは、DDR SDRAMのサポートをすでに表明していたが、今回デモを行なったことによって、次期チップセット、ひいては今年後半にかけて発表される予定の“Thunderbird”(現在のAthlonの後継チップ)、“Spitfire”(同じく現在のAthlonの後継チップだが、より低価格なパソコンにフォーカスしたもの)用標準メモリーとして、DDR
SDRAMをサポートしていくことを明確に印象づける狙いがあると考えられる。
これによって、今年後半のデスクトップパソコン向け高性能メモリー製品では、インテルが推すRDRAMとAMDが推すDDR
SDRAMという、2つのスタンダードが争うことになる。