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【エデュテイメントフォーラム2000京都 Vol.2】--“エデュテイメントフォーラム2000京都 コンテスト”最優秀賞はNECインターチャネル

2000年04月03日 00時00分更新

文● 天野憲一

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3月25日から27日までの3日間、“エデュテイメントフォーラム2000京都”が京都市内で開催された。このフォーラムの主催は、京都府、京都リサーチパーク(株)、(財)京都産業技術振興財団で構成するエデュテイメントフォーラム2000京都実行委員会。エデュテイメント産業の振興を目的に、教育関連の情報機器やソフトの展示、一般の親子が参加できるイベント、専門家によるセミナーといったプログラムを用意した。

同フォーラムは今年で2回目を数え、春休みの週末をはさんだこともあって、約1万4000名が会場に足を運んだ。本稿では25日に行なわれたコンテストの表彰式および、展示会についてレポートする。

“エデュテイメントフォーラム2000京都 コンテスト”授賞式--最優秀賞はNECインターチャネル

25日午後より、オープニングをかねた“エデュテイメントフォーラム2000京都 コンテスト”の表彰式が行なわれた。このコンテストは、エデュテイメントコンテンツやその技術の向上を目的とし、'99年10月から2000年1月末まで国内外から作品を募集していたもの。

表彰式に先立ち、同フォーラム実行委員長を務める、京都リサーチパーク社長の野村透氏が「エデュテイメントとは教育と娯楽を1つにした造語であり、楽しく学ぶことである。楽しみながら目的を達成することが、コンピューターを使うことで実現できると考えている。京都にはマルチメディアコンテンツの開発者が多く、ここで開催できることは喜ばしい。このフォーラムが多くの支持を集め、開催できたことを感謝している」と開会を宣言した。

開会の挨拶をする野村透実行委員長 開会の挨拶をする野村透実行委員長



なお、各賞の受賞者は以下のとおりとなっている。

最優秀賞 NECインターチャネル(株)、『エコロジーワールド』。子供たちが環境問題を家庭で実験し、その結果を自分でまとめてプレゼンテーションができるソフト

審査員特別賞 (株)メディアファクトリー、『ミッションソレイユ~太陽をとりもどせ~』。ゴッホの作品世界をめぐる3Dアドベンチャーゲームを楽しみながら、作品やゴッホの人生について理解を深められるインタラクティブソフト

国際賞 米デジタル・ディスティネーションズ社、『Explore Kyoto』。美しい映像や音楽で京都の寺院や歴史を、英語と日本語の解説で学べるCD-ROM作品

京都府特別賞 京都図鑑制作実行委員会(西日本電信電話、京都新聞、京都市などが参加)、『京都図鑑』。京都の歴史遺産や風俗など500項目にわたる情報をウェブで紹介するもの

優秀賞 NECインターチャネルの『エコロジーワールド』および、東京システムハウス(株)『歌で覚えるはじめての手話シリーズ』。後者は、歌の振り付けで手話を楽しく覚えられるソフトで、福祉学習で活用できる

最優秀賞を射止めたNECインターチャネル 最優秀賞を射止めたNECインターチャネル



表彰式の最後に、審査委員長の宝塚造形芸術大学の大村皓一教授より全体の講評が報告された。「今回の応募作品はどれも非常に質が高く、審査においても見事に票がわかれた。最優秀賞に『エコロジーワールド』が選ばれた理由は、エコロジーに関する情報を加工しウェブで公開できる機能を持って、子供たちがどんな表現をするか期待できるから」と語った。

展示会--エイ・ティ・アール知能映像通信研究所の『ミック』ほか

主催者展示では製品ではなく、開発途上にある実験的な研究成果などが紹介されていた。中でも(株)エイ・ティ・アール知能映像通信研究所が展示していた、ユーザーの言葉の抑揚を判断して感情を表現するニューロベイビー『ミック』や、同じくユニークな形状のロボット同士が会話するという『む~』という作品が目を引いた。また、東京大学の五十嵐健夫氏による、マウスなどの入力デバイスを使って手描きした平面形状を3D化するという3Dモデリングソフト『Teddy』も、新たなイメージ処理技術の登場を予感させるものだった。

エイ・ティ・アール知能映像通信研究所の『む~』 エイ・ティ・アール知能映像通信研究所の『む~』



企業展示のほうでは、製品化されたものの展示に加え、コンテストの受賞作品などが併せて展示されていた。リコーエレメックス(株)は、タブレット製品の『PCPICO(ピーシーピコ)』を出展した。通常のキーボードの代わりに同タブレットを接続。付属のペン型入力デバイスと、タブレットに取り付けられた入力操作ガイド“ぺほん”を使い、付属するCD-ROMに含まれている、ウェブブラウザーやメール、お絵描きといった専用ソフトの切り替えや、入力を行なうというもの。子供が使うことを想定し、強度や取り扱いの簡単さにも配慮されている。

『ピーシーピコ』で遊ぶ子供たち 『ピーシーピコ』で遊ぶ子供たち



液晶ディスプレーでおなじみの(株)ナナオは、学校内のイントラネットやLANで利用できる電子掲示板システムを出展。これはPCとビデオの映像を、1台のPCでコントロールできるもので、これからのネットワーク教育に応用できるシステムである。

そして、三谷商事(株)は、去年の展示と同様にグラフィックソフト『脳の鏡』の最新バージョンを出展。子供が絵を描く過程を記録し、それを再現することで、自分の創造過程を見直せる、つまり脳の動きを見直せるというソフトである。

また、NPO団体である日本サスティナブル・コミュニティ・センター(SCCJapan)からは、ヘッドセットから聞こえるガイド音声に従ってキー入力の練習をする、キーボードと音声出力のみを用いた視覚障害者タイピング練習ソフト『打ち込み君』を出展していた。しかし、このソフトはPC-UNIX上で動くようになっていた。

海外からの展示としては、コンテストでも受賞した米デジタル・ディスティネーションズ社から『Explore Kyoto』や、『Virtual New York City』など、町の中を仮想体験できる観光案内CD-ROMが出展されていた。また、韓国のSILICON MEDIA社がPhotoshopやOfficeなどの主要ソフトウェアを習得できる学習ソフト『VIRTUAL STUDY』を展示。こちらはハングル語による作品である。

展示会場の様子 展示会場の様子



そのほかにも多数の興味深い製品が展示されており、去年よりもその内容もかなり充実していた。教育市場におけるエデュテイメントの位置づけが高まっていく中で、各企業のエデュテイメント分野への関心の高さがうかがえる展示会だった。

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