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成毛氏「ジェットコースターに乗っていた気分だった」--マイクロソフト、社長交代に伴ない記者会見を開催

2000年03月21日 00時00分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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マイクロソフト(株)は16日、成毛真代表取締役社長と阿多親市(あた しんいち)常務取締役の出席のもと、社長人事と新体制に関する記者会見を開催した。今回は、阿多氏が5月1日付けで新社長に、成毛氏が同日付けで取締役特別顧問に就任するという、同社の3月14日付け報道発表を受けてのもの。阿多氏は'87年に同社に入社、パートナー企業向けの営業部署である第一営業部の部長や、マーケティング部門担当の常務取締役などを歴任している。現在41歳。

左より、がっちりと握手を交わす成毛氏と阿多氏、米本社アジア地区担当バイスプレジデントのピーター・クノック氏
左より、がっちりと握手を交わす成毛氏と阿多氏、米本社アジア地区担当バイスプレジデントのピーター・クノック氏



阿多氏は今後の経営目標について「現状の業務に課題があるか特に感じているわけではないが」と前置きした上で、「米本社の新ビジョン(後述)を進めることと、顧客の声を製品やサービスに反映できる体制というのがポイントになる。社会貢献をする会社として発展させたい」と語った。なお、こうした目標実現ための国内での経営課題として、(1)顧客満足度の向上と(2)パートナー企業との連携を挙げたが、ここで具体的な政策については触れなかった。

ここでいう新ビジョンとは、米本社が'99年初旬から使用しているキャッチフレーズ“時や場所、機器の種類を問わず、ユーザーの可能性を広げる”を指す。この“機器の種類を問わず”の部分について、阿多氏は「これからもパソコンが中心になることは疑わないが、いろいろな周辺機器が市場に出てくるであろう。次世代ゲーム機『X-Box』もその1つの例であり、それをサポートすることが重要になる」とコメント。しかし、具体的な販売戦略に関する回答は避けた。なお、日本法人として株式を上場する予定はないという。

阿多親市氏。成毛氏は阿多氏について、マーケティング能力やチームワークの能力を評価しているという 阿多親市氏。成毛氏は阿多氏について、マーケティング能力やチームワークの能力を評価しているという



そのほか、日本法人の新しい役員ならびに組織については、5月1日に発表する予定。

「ジェットコースターに乗っていた気分」--成毛氏

成毛氏は、「なぜこの時期に退任か」という記者の質問に対し、「マイクロソフトで仕事をして18年になる*。若干疲れてきたのが最大の理由。一言で言うと、ジェットコースターに乗っていた気分であろうか。早いスピードで毎日が過ぎ去って行き、過去を振り返る余裕がなかった」と答えた。

*'82年(株)アスキー・マイクロソフトに出向。'86年、米マイクロソフト100パーセント出資のマイクロソフト(株)が設立され、そこに入社

成毛氏はマイクロソフトで働いた18年を振り返り、以下のように述べている。「18年間で最も驚いたのは'81年の11月、ビル・ゲイツがIBMよりMS-DOSの契約を取ってきたというニュースを聞いた時だ。自分は入社当時、BASICの言語屋だったけれど、これ以上の衝撃はなかった。驚いたということでは、ビル・ゲイツと初めて対面した時もそうであろうか。ものの本で見たとおり、彼は食べかけのハンバーガーを片手に短パンにTシャツという格好で、本を持っていた」

成毛氏。'86年に同社に入社、'91年11月に社長に就任した 成毛氏。'86年に同社に入社、'91年11月に社長に就任した



成毛氏は退任後、日本法人の特別顧問のほか、金融に関する新たな事業を展開するという。「今までまさに山あり谷ありであったが、それを18年やると、さすがに慣れてく。その中で、このまま慣れた状況で続けていいのかという疑問が自分の中で生まれていた。次に何をするか、コンピューター関係の仕事でも、ベンチャーキャピタルの仕事でもない。新しいチャレンジということでは、コンピューター業界においてマイクロソフト以上のところはないと考える。金融のテクノロジーを多用するような、まったく違う業種として理解していただきたい」と語った。

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