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クアンタム、4400rpmの静音設計HDDを発表――5400rpm製品をすべて切り替えへ

2000年03月14日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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『Fireball lct15』
『Fireball lct15』



日本クアンタム ペリフェラルズ(株)は13日、都内のホテルで記者発表会を開催し、動作音を低減した、毎分4400回転の低価格パソコン向けHDD『Fireball lct15』(FBlct15)を発表した。

FBlct15の平均シーク時間は12ms、512KBのキャッシュメモリーを内蔵し、内部データ転送速度は毎秒248Mbitで、UltraATA/66インターフェースを備える。ディスク1枚あたりの容量は15GB(2ヘッド)で、HDD容量7.5/15/*20.4/30GB容量の製品が予定されている。量産開始予定は4月。30GB製品のサンプル価格は3万3700円。

*編集部注:20.4GB容量のモデルのみ7.5GBの倍数となっていないが、日本クアンタムによれば、現行機種であるFireball lct10の同クラス(15/20.4/30GB)のモデルと容量レベルで互換性を持たせるためとしている。

3.5インチHDDの出荷は非常に好調

日本クアンタム ペリフェラルズ、小林昭二代表取締役社長
日本クアンタム ペリフェラルズ、小林昭二代表取締役社長



記者発表会で、日本クアンタム ペリフェラルズの小林昭二代表取締役社長は、「昨年暮れから日本でもパソコンの販売が伸びており、HDDの出荷は最高記録を更新し続けている。生産量、生産キャパシティーとも増強しているが、まだ需要に追いつけない状態だ」とHDD出荷の好調をアピールした。そしてFireball lct15について「性能に妥協することなく、騒音と消費電力の問題に応えた」とし、今後のデスクトップパソコン市場を見据えた製品であるとした。

回転を抑えてさまざまなメリットを実現

米クアンタム社、ハードディスクドライブグループ デスクトップストレージ部門マーケティング副社長ロジャー・キャッツ氏
米クアンタム社、ハードディスクドライブグループ デスクトップストレージ部門マーケティング副社長ロジャー・キャッツ氏



続いて米クアンタム社、ハードディスクドライブグループ デスクトップストレージ部門マーケティング副社長ロジャー・キャッツ(Roger Katz)氏が、FBlct15の開発背景を説明した。クアンタムでは、ボリュームゾーンである“バリューPC”のリアルユーザーがHDDに望んでいるものは何かをリサーチし、“最高の信頼性”、“静音性”、“用途にあった性能と価格”であるとの結論に至ったとした。

回転数を従来製品(Fireball lct8/10)の毎分5400回転から4400回転に抑えたことで、静音性、ドライブから発生する熱、消費電力のいずれをも低く抑えることができ、結果として高信頼性を得たという。クアンタムでは、FBlct15に、HDDの静音性技術Quiet Drive Technology(QDT)を導入、従来のFBlct10に比べて動作時の*騒音レベルで1db低い31db(アイドル時28db)を実現した。一般的な3.5インチHDDの騒音レベルは36~48dbとしている。また、騒音の大きさだけでなく“耳障りでない音”となるよう設計したとしている。

*編集部注:図書館の中で40db。郊外の深夜で30dbとされる。同じ大きさの騒音源が倍になると騒音は3db増加、騒音源が半分になると3db減少する。

なお、消費電力については、動作時で7.2WとFBlct10の同8.5Wと比較して15パーセント減少している。ただし、アイドル時の消費電力は5Wで同じ。

このFBlct15では、先に挙げたユーザーのリサーチによって、ホームユーザーやオフィスユーザーの多数が利用するアプリケーションは“メーラー”、“ウェブブラウザー”、“ワープロ”の3種類であるとした。そして、これらのアプリケーションを使用する上では、パフォーマンスはCPUの速度に多くを依存しており、HDDの回転数やシーク速度はほとんどパフォーマンスに影響しないという。同社が5400回転のFBlct10と4400回転のFBlct15を比較して行なったテストの結果では、Windowsの起動で2.2パーセント(1.3秒)、500KBのワードファイルの読み込みで3.8パーセント(0.3秒)程度の差で、エンドユーザーには違いは感じられないと結論づけた。

今後は4400rpmと7200rpmモデルの2ラインにシフト

今後クアンタム社は、ATAインターフェースをもつHDD製品については、低価格パソコンおよびAV家電向けの毎分4400回転(将来は4500回転を予定)の製品と、パフォーマンスパソコン向けの毎分7200回転製品の2種類を提供していく予定としている。これは7200回転製品の低価格化が進み、5400回転製品との差が付きにくくなってきており、将来なお一層のコスト削減が見込める4400回転製品にシフトすることで、製品の位置づけをはっきりさせようというねらいによるものだ。

なお、記者団から「4400回転では、HDDにテレビ番組を記録しながら同時に再生も行なえるPVR(Personal Video Recorder)用途には厳しいのではないか」という質問が出たが、「当社はPVRメーカーである米TiVo社や米ReplayTV社とHDDの開発を行なっており、今回の製品についても問題ないことを確認している」(小林社長)と、低回転でも十分な性能であることを強調した。

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