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日本ユニシスとマイクロソフトがデータセンターシステム分野で提携、インテル製CPUを最大32個搭載する世界初のエンタープライズサーバーを発売

2000年03月08日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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日本ユニシス(株)とマイクロソフト(株)は、Windows 2000をベースとしたデータセンターシステム分野において、共同でセールスマーケティングや技術検証、サポートを行なうといった包括的な提携をすることで合意、本日都内ホテルで記者発表会を行なった。

今回の提携により、Windows 2000製品群とユニシス製のハードウェア、サービスを組み合わせた大規模基幹系システムを市場に投入する。第1弾製品として、日本ユニシスはデータセンターサーバー『Unisys e-@ction Enterprise Server ES7000』を7月に発売する。また、都内の日本ユニシス本社ビル内に、サポートサービスの拠点となる“Windows 2000 Center of Excellence(W2KCOE)”を4月に開設する。

世界初のインテルベースメインフレーム『ES7000』

ES7000は、ユニシスが次世代メインフレームの基盤として開発したアーキテクチャー“Cellular Multi-Processing(CMP)”を採用した初の製品。従来のUNIXシステムと同等の可用性、信頼性を持ちながら、価格は4分の1になるという。

インテル製CPUを最大32個搭載する世界初のエンタープライズサーバー『ES7000』インテル製CPUを最大32個搭載する世界初のエンタープライズサーバー『ES7000』



CPUにインテルのPentium III Xeonを採用しており、最大32CPUまで拡張可能。OSはWindows 2000 Datacenter Server。内部設計はモジュラー化されており、今後リリースが予定されているIntel Itanium(IA-64:64bitアーキテクチャー)についても、プロセッサーモジュールを交換するだけで対応できる。サーバー内でIA-32環境とIA-64環境の共存させることも可能。

クロスバースイッチにより、CPUやメモリー、IO間での直接/並行通信が可能。メモリーは最大64GB、PCIは最大96チャネルまで拡張できる。1つのシステムを1~8までのパーティションに分割することも可能で、パーティションごとにWindows NTやWindows 2000など異なるOSを搭載できる。各パーティションは独立して並行に稼動できる。それぞれのパーティション間は共有メモリーを利用してコミュニケーションが行なえ、1ヵ所に障害が発生しても他は稼動しつづけるというクラスタリングシステムを実現できる。

耐障害機能として、ハードウェア障害の自動検出とリカバリー、パーティションの構成管理を行なうシステム統合管理専用サービスプロセッサー“IMS:Integrated Maintenance System”を備えている。

日本ユニシスは、ES7000の活用例として、次の例を挙げている。
・企業内に分散しているメールサーバーの統合
・Microsoft DNAに基づく3階層ウェブアプリケーションの実現
・ERPやCRM、DWHをパーティションごとに独立させた統合アプリケーションサーバー
・統合データウェアハウスサーバー
・ERPの開発からテスト、実稼動までを1台で行なう

ES7000は、搭載するCPU数により価格が異なる。CPU8基を採用したエントリーモデルが3000万円、CPU32基のハイエンドモデルでは1億1500万円。

Windows 2000ベースの大規模システム構築をサポートするW2KCOE

W2KCOEは、日本ユニシスが'98年7月に開設したエンタープライズNT分野のサポートサービスセンター“エンタープライズNTテクノロジー・センター(eNTEC)”に、Windows 2000に適用したシステム構築ノウハウ、サービスなどを付加して新たに開設するサポートサービスセンター。

ES7000×2台、Windows NTベースのエンタープライズサーバー『ES5000』×8台、4TBのディスク装置などを配置し、400名の要員体制でスタートする。Windows 2000やMicrosoft BackOffice製品のサポートや、Windows 2000対応アプリケーションの開発サポート、ユーザーが開発したシステムのパフォーマンス実証や、可用性や拡張性を考慮した提案検証などを行なう。

「ユニシスはWindowsに賭けた」

発表会場には、日本ユニシスの代表取締役社長である天野順一氏、マイクロソフトの代表取締役社長である成毛真氏をはじめとする両社のトップ陣営が出席した。

日本ユニシスの天野社長(左)とマイクロソフトの成毛社長(右)
日本ユニシスの天野社長(左)とマイクロソフトの成毛社長(右)



天野氏は「Eビジネスにより企業のシステム環境が変化していく。ユニシスもこの変化に対応するため、今回マイクロソフトと提携した。この分野での両社の連合は最強の布陣だと思う。両社の技術を融合することで、企業ユーザーに安心して最新情報システムを利用してもらえるだろう。今回の提携は、以前からの米国本社間の緊密な協力を受けて、その協力体制を日本市場向けに特化させた内容となっている」

「包括分野は、市場開拓マーケティング、技術交流、サポートサービスと、他社との提携の範囲を大きく越えている。Windows 2000とインテルベースのサーバー『ES7000』は、既存のハイエンドUNIXシステムと肩を並べる性能であり、両社の連携によってはじめて可能となった。データセンターシステム分野で、両社がリーディングカンパニーになることが目標だ」と意気込みを語った。

続いて、成毛氏は、「ES7000は、世界初のインテルベースのメインフレーム。米国で2月17日行なわれたWindows 2000のイベント“Windows 2000 Launch”では、ビル・ゲイツがES7000を使ったデモンストレーションを行なっている。ES7000については、これから両社で共同の案件発掘と商談を行なう。本年度(2000年12月まで)で100セットの大型基幹システムの受注を予定している」

“Windows 2000 Launch”でのビル・ゲイツのデモンストレーションで使用された『ES7000』(右から2台目と3台目)
“Windows 2000 Launch”でのビル・ゲイツのデモンストレーションで使用された『ES7000』(右から2台目と3台目)



「ES7000に搭載するOSのWindows 2000 Datacenter Serverは7月までに出荷する。現在、大規模システム市場においてUNIX優勢かというと、必ずしもそうではないと思う。今日現在で売れているサーバーは、われわれの製品のほうが多いだろう」と語った。

また、日本ユニシスのES7000と既存メインフレーム製品の販売展開について、同社取締役の鷲尾武氏は、「ES7000は、Eビジネス関連市場に向けて満を持して投入する。業界標準テクノロジーであるマイクロソフトのOSとインテルのCPU、そしてユニシスのメインフレームテクノロジーを融合したミッションクリティカルサーバーだ」

「以前よりWindows NTベースの製品を提供しているが、NTでシステムが停止したというケースはなく、信頼性は非常に高い。動けば停まらないというのがわれわれの実感であり、絶対にいけると確信した。いけるなら真っ先にやるべきだ。ユニシスはWindowsに賭けたといっても過言ではない」

「メインフレームビジネスは、ユーザーのニーズがある限りやめないし、既存製品のWindowsへの切り替えも行なわない。われわれが製品をオファーする場合はES7000を提案するが、いろいろな製品を取り扱えるようにしておくのがSIビジネスの常だ。ユーザーがSolarisでシステムを構築したいというなら、それを売っていく」としている。

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