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NTTSC、衛星イントラネット“Mega Wave Pro”のセミナーを開催

2000年03月08日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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エヌ・ティ・ティ サテライトコミュニケーションズ(株)は8日、同社が提供する衛星イントラネットサービス“Mega Wave Pro”についてのセミナーを都内で開いた。セミナーでは、衛星による広帯域な伝送サービスを利用し、教育やプロモーション、中古車オークションに活用している事例が紹介された。


Mega Wave Proは、下り回線に通信衛星を利用する広帯域の伝送サービス。動画など大容量データを多数の受信者に同時配信できる点が特徴。主に製造業や流通業、サービス業など全国展開を図る法人企業向けのサービスとなっている。衛星は東経132度の静止軌道上にある“N-STATa”(Kuバンド)を利用する。受信にはCS放送用のアンテナと専用の受信端末が必要となる。

サービスはMPEG-2による動画を送信できる“Mega Wave Pro-V”と、IPによるデータ伝送サービス“Mega Wave Pro-IP”の2種類。転送速度はVで3~15Mbps、IPで最高6Mbps。料金は利用形態によるが、IPの場合は月額基本料が12万円、6Mbpsを終日専用で利用した場合は月額1680万円などとなっている。

セミナーでは、同社社長の鮫島秀一氏が“衛星インターネットの最新動向”をテーマに基調講演を行なった。

NTTサテライトコミュニケーションズ社長の鮫島氏 NTTサテライトコミュニケーションズ社長の鮫島氏



鮫島氏は「インターネット利用が普及し、情報量は飛躍的に増加している一方で、広帯域なインターネット環境は限定的なものにとどまっている」と指摘。また「ウェブやストリーミングを閲覧する場合、上りは低速でも構わないが、下りは高速性を要求されるなど、要求される速度が非対称的になっている」とし、衛星によるインターネット利用はこの非対称性にとって適したものだとした。

世界的にみても、通信衛星の利用はテレビ動画からIPベースのデータに比率が移りつつあるという。各国で通信衛星を利用したサービスが活発になってきており、「IP接続の中で、衛星インターネットはひとつのエレメントとして使われていく」との見通しを示した。米国では将来、広帯域サービスの10パーセントは衛星によるものとの予測を紹介し、「国内的にも大きなマーケットを取っていきたい」と意気込んだ。カスタマイズや電子商取引(EC)に合わせたサービスの提案などにも取り組んでいくという。

ユーザー事例として、コンピューター教育大手の(株)アビバジャパンとソニーマーケティング(株)、埼玉県中古車販売商工組合が同サービスの利用例を紹介した。

右から埼玉県中古自動車販売商工組合事務局長の小峰亨氏、ソニーマーケティング販売情報課統括課長の宮南靖氏、アビバ社長の牧野常夫氏
右から埼玉県中古自動車販売商工組合事務局長の小峰亨氏、ソニーマーケティング販売情報課統括課長の宮南靖氏、アビバ社長の牧野常夫氏



アビバ社長の牧野常夫氏によると、アビバでは'97年に衛星放送による遠隔教育を開始。今月からMega Wave Pro-IPを利用した授業もスタートした。牧野氏は、「導入の狙いはパソコン授業の強化。専門的な内容のために1教室で受講者が1人だったとしても、全教室の受講者を合計すれば200人以上。衛星を利用すれば十分に授業が成立する」という。

また「高度な内容になればなるほど講師の確保が難しくなるが、衛星授業ではスタジオに講師を1人置けば授業が行なえる」と多ポイントに同時にデータを送信できるメリットを強調。IPによるデータ通信も併用することで、「講師が操作する画面を直接、受講生のディスプレーに表示させたり、ソフトのダウンロードといったことも可能になる」と語った。

ソニーマーケティング営業推進本部販売情報課統括課長の宮南靖氏は、同社が販売店向けに提供している販促資料配信サービスについて紹介した。同社では'91年からアナログCS放送を利用し、製品の紹介を行なう番組を週2回放送していた。しかし放送時間が決まっているなどの制約から視聴率が低下。'99年4月にはCD-ROMによる販促資料“Vit@min C”を月1回配布しているが、「月1回では情報が遅い」といった苦言も寄せられたという。

そこで'99年11月、Mega Wave Pro-IPを利用した“Vit@min D”を開始した。これは製品を紹介するMPEG-1ムービーとPDF形式のマニュアルなどを週1回配信するもの。自動的に受信とダウンロードが行なわれるため、販売店側の負担は少ないという。またデータは販売店のパソコンに蓄積されるため、検索やデータ利用に柔軟に対応できる。宮南氏は、「配信相手はお得意さまなので、こちらに強制力はない。販売店に負担をかけずに一気にデータを送るとなると衛星しかない」と述べた。

埼玉県中古自動車販売商工組合の事務局長、小峰亨氏は、同組合が取り組むインターネットを利用した中古車オークションシステムについて説明した。同組合の加盟店は埼玉県内の約300社、オークションに参加するのは全国約4000社。オークションは週2回開かれ、年間取り扱い台数は14万台、売上は約600億円に上るという。オークションは同組合が設置する会場で開催されるが、これにMega Wave Pro-IPを利用した“衛星オークション”を追加、各地の参加者が来場しなくても同時に参加できる仕組みを構築した。

現在は70の会員企業が衛星端末を導入しているという。小峰氏は、「衛星経由による成約台数は全体の5パーセント。これは70という導入企業数からすれば多い」とし、将来は1000社への導入を目指す。今後は各都道府県の商工組合で共通の衛星オークションを実施し、会員が同じ端末ですべてのオークションに参加できるシステムを整備する方針という。

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