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【E-ビジネス・ストラテジー・フォーラム Vol.1】小さくとも、機動力を生かして動ける企業が勝者となる――スリーコムジャパンの土本良司代表取締役社長

2000年03月01日 00時00分更新

文● 月刊アスキー編集部 佐々木俊尚

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コンファレンス“E-ビジネス・ストラテジー・フォーラム”が3月1~2日、東京・恵比寿のウェスティンホテル東京で開かれている。世界41ヵ国でエグゼクティブを対象にしたイベントを行なっている英International Communications for Management Group社(ICM)の主催。加速的に進む電子商取引の現状について、多角的な面からの分析や戦略、戦術が専門家により紹介された。

初日の1日、“e-Networks、e-Businessを成功させるためのネットワークインフラストラクチュア”のタイトルで演台に立ったスリーコムジャパンの代表取締役社長、土本良司氏は、整備が進みつつある通信などのインフラの現状についてレポートした。

まもなくe-Businessは臨界点に到達


すでにさまざまな場所で引用されている数字だが、世界の電子商取引はBtoBで昨年12兆円だったのが2003年には68兆円、同じくBtoCは1900億円が3兆1600億円にまで拡大すると予測されている。こうした状況の中で、日本では昨年末にインターネット人口が2000万人を突破。来年末には5000万人に達し、実に国民の2人に1人がネットにアクセスする時代が来るとの予想さえあるという。こうしたネット人口の爆発的増加に加え、インターネットに接続しやすいパソコンの普及などでネットが身近な存在になる、たとえば通信料金の定額化――などのインフラの劇的な進展が見込まれている。

土本氏はこれらの状況を踏まえ、「これにより、ディスインターメディエーション(中間業者の削減)や“Winner Takes All”(勝者がすべてを得る)などビジネスモデルが大きく変換することになる。言うなれば、ゲームのルールが変わるということだ」「その時期はまもなく来る。利用者が3~5パーセントに達すれば、e-Businessの臨界点に達するだろう」と説いた。

小さくとも、機動力を生かして動ける企業が勝者に

こうした中で、さまざまなビジネスチャンスが生まれつつある。たとえば日本では政府文部省の方針では、来年末までに全国の学校4万校がインターネットに接続されるようになる計画がある。その一方で、ネットワークやコンピューター関連の技術者の圧倒的不足が懸念されていることから、政府には失業者対策としてハイテク技術者養成を支援する計画もあるという。土本氏によると、スリーコムではすでに米国で“エデュケーション・コネクト”というプログラムを行なっており、今年から国内でも同様のプログラムを開始するという。これはインターネット経由でネットテクノロジー教育を行なうというもので、ネット接続される4万校に向け、1万セットを販売する事業計画を同社は立てている。

土本氏は「ネットワークのインフラとして大事なのはユービキタス(Ubiqitous:偏在化)、つまりいつでもどこでも誰でも情報にアクセスできるようにすることだ」と話し、その具体的成果としてスリーコムのモバイル端末『Palm』が世界のPDAの78パーセントのシェアを握っていることを説明した。「PalmではIBMやソニー、ノキアなど業界の巨人たちとパートナーを組んでいる。Palmのキャッチフレーズは“軽薄連省”、つまり“薄くて”“軽く”“パソコンとの連携にすぐれ”“バッテリー駆動時間が長い”ことだ」などと話した。

土本氏はピーター・ドラッガーの「変化を恐れてはいけない。変化は必ず起きるものであり、心配しなければならないのは、変化に対応できないということだ」という言葉を引き、「e-Network時代のパラダイムシフトは、旧来の強みが弱みになり、逆に弱みを強みに転換できること。大企業であることはe-Business時代には強みにはならない。小さくとも、機動力を生かして動ける企業が勝者となる」とアピールした。

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