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米サウスウエスト航空、2000年のインターネット売上は10億ドルを突破

2000年03月01日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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米サウスウエスト航空は28日(現地時間)、2000年1月期の航空券販売において、同社ウェブサイトにおける販売額が全体の25パーセントを上回ったと発表した。同社では、2000年におけるオンライン販売額が10億ドル(約1100億円)を上回ると予想している。

サウスウエスト航空は、米国内路線に特化した低価格エアラインとして知られ、'99年の売上高は約47億ドル(約5100億円)。年間旅客数は5750万人('99年)で、世界6位にあたる旅客を運ぶという隠れた巨大エアラインだ。

サウスウエスト航空のボーイング737型機。同社はロサンゼルスやシアトルなど、米西海岸にも充実した路線網を持っている。同社の機体を米国内の空港で見たことがある人も多いはず
サウスウエスト航空のボーイング737型機。同社はロサンゼルスやシアトルなど、米西海岸にも充実した路線網を持っている。同社の機体を米国内の空港で見たことがある人も多いはず



同社は旅行代理店に航空券販売を委託せず、ほぼすべての航空券を自社で販売するという特異な戦略を採っている。'96年4月にはウェブサイトにおけるオンライン販売を開始しており、日本を含めた米国外からでも航空券を購入することが可能だ。

同社の発表によると、'99年第4四半期におけるオンライン販売額は2億5000万ドル(約275億円)を上回り、前年同期比で140パーセントの大幅増になったという。同社ではこのオンライン販売額を、航空会社としては金額・割合とも世界最大になるとしている。

ちなみに、米アマゾン・ドット・コムが2月2日に発表した'99年の年間売上高は16億4000万ドル(約1800億円)。この数字と比べると、サウスウエストのオンライン販売額は大手ネット企業に匹敵するレベルにあるといえる。

サウスウエスト航空のオンライン販売サイト。シンプルなデザインだが、必要な情報が簡潔にまとめられ、利便性は高い
サウスウエスト航空のオンライン販売サイト。シンプルなデザインだが、必要な情報が簡潔にまとめられ、利便性は高い



航空券のオンライン販売に関しては、発券手数料を収益の柱とする旅行代理店の収益を圧迫するものとして、反発も根強い。その点サウスウエスト航空は、代理店との関係が希薄だったことから、成功を収めることができたといえる。また、同社航空券の平均販売額が79ドル(約8700円)と低額であることも、オンラインによる購入を動機付ける理由になったはずだ。

同社自身でも、オンライン販売を推進するキャンペーンを実施している。たとえば、オンラインで航空券を購入したユーザーは、同社のマイレージサービス“ラピッドリワード”のポイントを、通常の2倍もらうことができるという

ラピッドリワードは、同社路線を12回利用することで、1往復分の無料航空券がもらえるというもの。これがオンライン販売ならば、3往復分の航空券を購入するだけで往復無料航空券をもらえることになる。この無料航空券ではロスアンゼルスからオーランドといった乗り継ぎ便も利用できるため、ユーザーのメリットは大きい。

同社に限らず航空業界では、オンライン販売の比重を高める動きが強い。先行している米国では、大手エアラインでもオンライン販売の割合が10パーセント近く程度に高まっているという。また日本でも、日本航空が2月17日にインターネット専用の運賃“e割”を発表するなど、オンライン販売を活用しようとする動きが高まっている。それに、iモードのような携帯電話から航空券を購入できるのは、世界でも日本だけだ。

サウスウエスト航空では、自社のことを航空会社ではなく、航空事業に籍を置くサービス会社と位置付けている。今後オンライン販売が伸びるにつれ、株式市場は同社のことを、有力なネット関連企業と位置付けていくに違いない。

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