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【PAGE 2000リポート Vol.2】『QPS』と『QuarkXPress 4.1日本語版』が話題。『AVANAS』は新製品を追加

2000年02月04日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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日本印刷技術協会主催の印刷とプリプレスの専門展示会“PAGE 2000”が東京・池袋のサンシャインシティコンベンションセンターTOKYOにおいて開催された。ここでは出品されている製品をジャンル別の傾向ともにリポートする。

クォ-クは『QuarkXPress』の最新版を出品

DTPソフトの傾向は“安定”した状態といえるだろう。しかし、それは見方によっては“停滞”と取れるかも知れない。ここ数年の過当競争の中で、現在まで生き残ったDTPおよび組版ソフトはいずれも完成度を高めてきており、逆に中途半端だったソフトはすっかり姿を消してしまった。このように安定してソフトが供給されている状態ではあるが、それ故に停滞しているかのように見えるのも事実である。

そうした中で、レイアウトソフトの王者として君臨し続けているのが、クォークジャパン(株)のQuarkXPressだろう。同社は、QuarkXPressの最新バージョンである『QuarkXPress 4.1日本語版』を紹介した。

クォークブースでは各回のデモ開催前から開始を待つ熱心なユーザーも多かった
クォークブースでは各回のデモ開催前から開始を待つ熱心なユーザーも多かった



QuarkXPress 4.1日本語版では、より完成度と安定性を向上させたほか、各種フィルターやXTensionsが追加された。新機能としては、QuarkファイルをPDFファイルとして保存する“PDFフィルター”や、HTMLファイルとして書き出す“Quark HTML Text Export”、逆にHTMLを取り込む“Quark HTML Text Import”など、PDFやウェブテクノロジーをサポートする機能強化を図っている。  

XML関連のユーティリティーなども

このほか、ハサミツールの“Scissors QuarkXTensions ”や、最近使用したドキュメントにすばやくアクセスできる“DejaVu”、アイテムの連続複製機能の強化、Microsoft Wordの各バージョンに対応した“MS Word 6-8フィルター”などが加わった。

ウェブテクノロジーの親和性を進めるソリューションとしては、さらに『avenue.quark 日本語版』が紹介されていた。現在開発中のavenue.quark 日本語版は、QuarkXPressのコンテンツをXMLファイルとして書出せる。これによって、すでに蓄積されているQuarkXPressファイルをコンテンツとして、ウェブをはじめとするさまざまなメディアに向けて再利用ができる。

このほか、デジタルコンテンツを管理するアセットマネジメントシステム『QuarkDigital Media System』や、3Dでアイデアを視覚化するツール『QuarkWrapture』など、開発中の製品の数々が紹介された。

『Quark Publishing System』がようやくリリース

クォークブースのさらにもう1つの目玉は、ようやく日本語版のリリースを見た出版向けワークグループ管理システム『Quark Publishing System 2.0日本語版』(以下、QPS 2.0日本語版)だ。欧米においては、すでに数年前にリリースされており、導入も進んできている。

QPS 2.0日本語版は、サーバー上で使用するシステム管理ソフトウェア『QuarkDispatch』(データベース管理)、『QuarkDispatch Administrator』(システムセキュリティーなど)、『QuarkDispatch Manager』(進行モニター)とクライアントソフト『QuarkCopyDesk』(エディター)、『QuarkDXT』(QuarkXPressとQPSの接続)、『QuarkConnect』(サードパーティー製アプリケーションとQPSの接続)から構成。システム管理ソフトはMacintoshサーバー版のみ、クライアントソフトはMacintosh、Windows版がある。
 
QPS 2.0日本語版を導入することで、ライター、編集者/デザイナーをはじめ、出版制作に関わる、すべての制作スタッフがマルチプラットフォームネットワークを介し、単一のQuarkXPressドキュメントにアクセスして作業することが可能になり、出版ワークフローの効率を高められる。

同製品は、複雑な日本の出版事情を考慮してシステムを組み上げるため、システム販売になる。扱う公認システムインテグレーターは、(株)エポックティーエスシーと(株)ソフトウェアトゥー。

会期中、ソフトウェアトゥーによるQPSの製品発表会が行なわれた。

この席上、(株)ソフトウェアトゥーの専務、尾崎秀俊氏は、「QuarkXPressのパッケージを9年間、販売してきている。欧米でリリースされた6年前よりQPSの必要性を訴えてきたが、ようやく日本語版を提供できる」と感慨深げに語った。

QPSの導入が米国に比べ6年間遅れていると言われている日本の印刷業界に弾みがつくことを期待したい。

書籍組版に適した『AVANAS BookStudio』

しかし、QuarkXPressだけがレイアウトソフトではない。これを追撃するレイアウトソフトにも注目が集まった。中でも人気の高かったのが、大日本スクリーン製造の『AVANAS』だ。AVANASはWindows環境で本格的なページものの印刷物を作成する、日本語組版、ドローイング、画像処理、レイアウトの機能を兼ね備えた統合型のパブリッシングソフトだ。  

大日本スクリーンのブースでは、社員が常にAVANASの説明対応に追われていた
大日本スクリーンのブースでは、社員が常にAVANASの説明対応に追われていた



このAVANASファミリーに新たに加わったのが、書籍組版に適した『AVANAS BookStudio』だ。AVANAS BookStudioは、ページにまたがる表組みの自動分割や段抜き編集など、従来の自動製版システムでは自動化できなかった複雑な組版まで自動処理することができ、編集作業を省力化できる。また、ドキュメントのデジタル管理との連携にも対応している。さらにSGMLやXMLなどのデータベース情報を取り込んだ自動組版や、BookSudioで作成したデータをデータベースに送ることもできる。

また、Windowsデータを高速に取り込み、確実に出力する製版編集ソフト『AVANAS MultiStudio Officeパッケージ』も出品。

このほかにも、住友金属システム開発(株)は、30項目以上の機能追加や改良が加えられた『SMI EDICOLOR』の最新バージョン4.0を出品した。また、バルコグラフィックス(株)は、Windows NTベースのパッケージ製版ソフト『PackEdge』を出品した。

PackEdgeは、長年の経験で培ったPACKLINEを受け継ぎ、トラッピング、特色処理、面付け処理などの機能を備え、New CIDフォント対応でDTPとの融合を図ることができる。

QuarkXPressを追撃するDTPソフトの中で最大の話題はといえば、アドビシステムズの『Adobe InDesign』であるが、残念ながら今回のPAGE 2000では出品されなかった。こちらは、“MacWorld Expo Tokyo 2000”において出展される予定である。
 
Adobe InDesign日本語版は年内にも登場すると見られており、そうした意味においてはDTPソフト界の“安定”は“嵐の前の静けさ”といったところだ。

フォントの新書体もPDF対応

フォントに関してはPDFへのエンベット対応が一応の完了を見たと言っていいだろう。新書体も各社、PDFへのエンベットを前提とした出品をしていた。

(株)モリサワは新書体として、“じゅん”ファミリーの“じゅん201”、“新ゴ”ファミリーの“新ゴH”などの人気書体のラインナップを充実させている。また、写植書体の“フォーク”ファミリーは、'93年にR/M/B/Hの4ウエイト(ミディアム、ボールドなど太さが4種類用意されている)にリファインしたものを加えた。ほかに書の味わいの深い“楷書MCBK1”、歌舞伎の看板文字“勘亭流”も新書体として登場した。
 
フォントワークスジャパン(株)では、硬筆系の“クレーCID-M”、マティス用かな“FW-マティス縦かなCID-L/M/DB/B/EB/UB”などが加わった。また、独自のストロークフォント技術を応用し、印刷に適した高品位な外字を簡単に作成できるソフト『外字マスター』も出品され、注目を集めていた。

外字マスターに注目が集まったフォントワークス
外字マスターに注目が集まったフォントワークス

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