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大日本スクリーン製造株式会社PDFセミナー開催(後編)――紙とPDFとXMLの択一論は不毛

2000年01月21日 00時00分更新

文● 山木大志

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19日、東京・豊島区の大日本スクリーン製造(株)は、“PDF活用事例セミナー”と題するセミナーを開催した。本稿では(株)プラネットコンピュータ代表取締役、深沢秀通氏の講演内容をお伝えする。

文書上の知識を利用する3つの局面

プラネットコンピュータは、大日本スクリーン製造が販売しているPDF制作システム『MultiDoc System』の開発元である。深沢氏の講演では、紙の書類、デジタルドキュメントをPDF化することの効果、利点とともにその活用範囲を分析し、局面に応じたソリューションを提案した。深沢氏によれば、「文書上の知識には、流用、利用、参照の3つの局面がある」という。この場合、“流用”とは文書上の文字列などを再利用すること、“利用”は回覧など単純な閲覧、“参照”は必要なデータを検索のうえ、書類をまとめることである。

プラネットコンピュータ代表取締役、深沢氏
プラネットコンピュータ代表取締役、深沢氏



しかし、文書管理の現状では「膨大な資料からの検索に多大な労力が必要、文書を閲覧する共通のソフトがない、既存書類の加工が難しいなどの問題点がある」(深沢氏)。そして、「これらの問題点の多くがPDF化によって解決できる」としている。いずれにしても、既存文書を活用するには、必要な文書を探し当てることが必要だが、現在一般に活用されている全文検索システムについて深沢氏は懐疑的だ。「検索の結果、1000件のデータが抽出されてもどうしようもない」というのである。

文書の階層構造化やデータベースのカスタマイズ化が必要

これを解消するには1つの方法として深沢氏は、文書の階層構造での保管、管理を提案する。この方法は、文書をある程度グループ化して保管しているメーカーなどの場合に有効だという。「この考え方で構築されたシステムがすでに三菱重工で使われている」

三菱重工で使われている文書管理システム。階層構造で保管してあり、紙の書類もOCR(光学的文字認識システム)で処理、テキストデータを流用できる。PDF化には、プラネットコンピュータが開発、大日本スクリーン製造が販売している『DocMate for Image』を使っている
三菱重工で使われている文書管理システム。階層構造で保管してあり、紙の書類もOCR(光学的文字認識システム)で処理、テキストデータを流用できる。PDF化には、プラネットコンピュータが開発、大日本スクリーン製造が販売している『DocMate for Image』を使っている



「“利用”については、文書のPDF化とともにデータベースに登録するだけでよいが、“参照”の場合、単にPDFを引き出すだけでなく、複数のPDFを1つにまとめノンブルを付けたり、文書情報をヘッダー、フッターなどとして添付することが必要になる。これらを行なうにはデータベースのカスタマイズが必要だ。さらに、こうした仕組みを備えることによって、既存の文書の流用、配布、閲覧、資料収集などのプロセスが容易になる」

このためのシステムとして深沢氏はプラネットコンピュータの『OpenFlow』を紹介した。これは、PDFの定型処理を自動化する仕組みである。

プラネットコンピュータの『OpenFlow』では、ホットフォルダーにPDFを送ると、自動的に各種の加工処理を行ない、必要なデータの形に整形する
プラネットコンピュータの『OpenFlow』では、ホットフォルダーにPDFを送ると、自動的に各種の加工処理を行ない、必要なデータの形に整形する



稟議書、校正書類などの進行管理を行なう“電子校正システム”

プラネットコンピュータはPDF活用方法の1つである校正用途を包括的に管理する“電子校正システム”を開発している。印刷物の校正では、多くの人が赤字を入れるケースがあるが、電子校正システム個々の赤字をPDF上のレイヤーとして設定することによって、多数の赤字を1つのPDFにまとめられるようになっている。また、誰に校正を送ったか、校正が誰から戻り、誰が戻していないのかなどを包括的に管理し、遅れている担当者には自動的に督促が行く仕組みもある。

電子校正システムは、すでに印刷業界、すでに大手印刷会社で利用されている。「稟議書など多くのスタッフが関与する文書作成にも利用できるほか、CAD業界での電子回路設計、医療業界でのレントゲン写真の回覧システムなどとしても利用できる」



“電子校正システム”では、校正の進行状況がリアルタイムで把握できるほか、校正内容の確認もできる。“校正確認”の右下のダイアログは校正者のデータが校正に反映されているどうかの確認用だ
“電子校正システム”では、校正の進行状況がリアルタイムで把握できるほか、校正内容の確認もできる。“校正確認”の右下のダイアログは校正者のデータが校正に反映されているどうかの確認用だ



それでも紙はなくならない。電子文書は紙の補完媒体

深沢氏は、文書のPDFに当たっては「しっかりした考え方を持つことが必要だ」と語った。ことに「どのようなワークフローで何を生み出すためのものかが重要」と強調した。この意味で、「PDFに限らず電子文書は紙を減らさない」と、現状の紙の削減というPDF化の目的を批判的にとらえている。「電子文書は紙の補完媒体である」というのが深沢氏の意見だ。

最後に深沢氏はXML(eXtensible Markup Language)とPDFの関係について触れた。「アメリカでは今『XML対PDF』というおかしな議論になっている。それぞれにメリット、デメリットがある。XMLの問題点としては、難しいDTD(データ定義)を誰が作るのか、XMLの仕様がまだしばらく固まりそうにないことなどがある。また、一般企業内のドキュメントでXMLに適したものは数パーセント以下しかないだろう。それに対して、PDFはその他のすべてをカバーできる」とした。

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