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大日本スクリーン製造、PDFセミナーを開催(前編)――進むPDFの活用法を紹介

2000年01月20日 00時00分更新

文● 山木大志

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19日、東京・豊島区の大日本スクリーン製造(株)は、“PDF活用事例セミナー”と題するセミナーを開催した。同セミナーは19日、20日の2日間にわたって開催されたが、本稿では初日の概要を紹介する。

19日に開催した“PDF活用事例セミナー”の模様
19日に開催した“PDF活用事例セミナー”の模様



例規集、マニュアル管理などに便利な『デジ法』

PDF(Portable Document Format)は、Adobe Acrobatが生み出す汎用のファイルフォーマットである。ワープロなどの一般アプリケーションからプリント感覚で手軽に作成できるうえ、高度に書式が維持され、圧縮もできるため、オフィスの文書管理、情報発信などに幅広く利用されている。最近では、企業のIT(Information Technology)戦略の中核を担うファイルフォーマットとしても注目されている。

今回の大日本スクリーン製造のセミナーもこうした傾向に配慮して、同社のドキュメントシステム/データベース事業の拡大を狙って開催したものである。セミナー初日は、(株)エッグの代表取締役、高下士良氏、大日本スクリーン製造のソリューション部、塩谷真人氏、(株)プラネットコンピュータの代表取締役、深沢秀通氏の3氏が講演した。

エッグ代表取締役の高下氏
エッグ代表取締役の高下氏



高下氏は、同社の『デジ法』を紹介。これは、簡単にいえばRTF(Rich Text Format)とPDFでオフィスドキュメントを管理するシステムだ。主に、例規集、規定集などを対象としている。高下氏は「オフィスには文書が溢れている。これらの中から正確な情報を入手するには大きな労力とコストが掛かるようになっている」と指摘。『デジ法』によるドキュメント管理を行なうことで、管理コストが低減するだけでなく、高速な検索、情報公開への即応などが可能になるという。

Wordより4倍以上も速く検索が可能に

『デジ法』では、RTFによって検索を行なう。キーワードとなった単語は、RTF上ですべて色つきで表示される。検索速度は、「350万字の文書を5文字のキーワードで検索すると、Wordでは9.2秒だったのに対して、『デジ法』ではわずか2.1秒だ」(高下氏)。RTFとPDFはハイパーリンクで連携して利用できる。RTFと正確な書式のPDFとをリンクしたり、関連文書にジャンプするなどの設定が可能だ。

なお、『デジ法』はスタンドアローン環境で使なうタイプと、ウェブ経由で使うタイプがある。対象ドキュメント全体をCD-ROMなど可搬型のメディアに搭載する場合には、「検索エンジンのライセンスは不要なので、マニュアルなどの発行コストを低減することもできる」(高下氏)とのことだ。『デジ法』についての詳細は、http://www.egg.co.jp/を参照のこと。

『デジ法』を使った情報配信の概念図。LAN内だけでなく、ウェブを経由して関係機関のすべてが閲覧、検索が可能になる
『デジ法』を使った情報配信の概念図。LAN内だけでなく、ウェブを経由して関係機関のすべてが閲覧、検索が可能になる

多様なPDF制作、配信に活用できる『MultiDoc System』

大日本スクリーン製造の塩谷氏は、同社のPDF作成システム『MultiDoc System』その他の同社製品と、それらのユーザー事例について説明した。『MultiDoc System』は、PDFの登場とほぼ同時期にリリースされ、業務用のPDF作成システムとしてはほぼ定番的な地位を占めている。


大日本スクリーン製造ソリューション部、塩谷氏
大日本スクリーン製造ソリューション部、塩谷氏


『MultiDoc System』では、デジタルドキュメントからの作成はもちろん、紙の書類もドキュメントスキャナーを用いて高速にPDF化する。紙の書類からのPDFについては、OCR(光学的文字認識システム)を利用することでテキストとデータ化も可能で、これにより検索が可能になる。日本語OCRはその精度があまり高くないが、画像イメージよりははるかに検索性が向上する。さらに、複数のPDFを1つにまとめたり、PDF画面の縮小イメージ(サムネール)、PDFのしおり作成、リンク設定などをほぼ自動的に作業できるようになっている。

『MultiDoc System』には、いくつかのバリエーションがあり、またユーザー側でカスタマイズできる仕様にもなっている。データベースとの連携も可能だ。大日本スクリーン製造では、PDF管理運用のデータベースシステムとして『Multi SV』(マルチサーブ)を用意している。

これらを利用したユーザー事例として、ある県の土木事務所の例が挙げられた。これは、事務所が保有する工事用の図面や書類をPDF化し、事務所内での閲覧、流用に利用するほか、ウェブを経由して本庁や他事務所からの閲覧も可能になっている。同様に旅行代理店のパンフレットのウェブでの公開などにも利用されているという。

PDFの自動生成、PDFの加工処理の自動化も


PDFの自動生成、PDFの加工処理の自動化などにも取り組んでいる。たとえば、『スカイパーフェクTV!』のデジタル音楽放送“Star Digio”のウェブで公開中の番組表である。これはデータベースにある番組データをCSV形式で出力し、ホットフォルダに送ると自動的にPDF化するものだ。

PDFは、ドキュメントの性格や用途によって、制作上のオプションを変更する必要がある。これを個々に変更すのは大変なので、あらかじめワークフローを設定して自動的に加工処理を行なう仕組みも用意している。この仕組みを利用して日経BP社では、ウェブ上の記事検索サービスのデータを作成しているという。『MultiDoc System』などの大日本スクリーン製造のPDFソリューションに関しては、http://www.provision.or.jp/PDF/を参照されたい。


日経BP社での記事検索サービスデータ制作のワークフロー。データベースからの出力をホットフォルダに送ることで、自動的にサムネール作成など必要な要素が付加され、ウェブに掲載できる
日経BP社での記事検索サービスデータ制作のワークフロー。データベースからの出力をホットフォルダに送ることで、自動的にサムネール作成など必要な要素が付加され、ウェブに掲載できる


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