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シーフォン、メガネなしで立体映像を観察できる3Dディスプレーを発売

1999年12月24日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(有)シーフォンは、専用メガネなしで立体映像を観察できる“メガネなし3Dディスプレイ”『SeaPhone 3D display』を開発、製品化し、2000年1月1日に受注を開始すると発表した。販売元は(株)バーチャルリアリティーセンター横浜。

『SeaPhone 3D display』は、従来の立体視製品とは異なり、立体映像観察用の特殊なメガネなどを必要とせず、複数人で同時に立体映像を観察できるというもの。12型TFTカラー液晶パネルを採用した3Dディスプレー本体と、2Dの映像を3D映像に変換できる2D/3Dイメージコンバーターとのセットで提供される。

基本的な立体映像装置は、赤外線の発信装置と受信装置、左右の目それぞれに対応するカラー液晶パネル、バックライト用モノクロ液晶パネルで構成されている。これまでの立体映像装置は、特殊なメガネ等が必要、1人にしか見えない、観察者が頭を前後左右に動かすと映像が左右逆視になる、観察者の位置を固定しないと見られないといった問題があった。

『SeaPhone 3D display』は、3Dディスプレー本体前面の下方部から赤外線を照射し、装置内部にある赤外線カメラで赤外線を受信することで、装置の前にいる観察者の顔の位置と向きをリアルタイムで検知し、観察者の左右それぞれの目に適応した画像を投影できる。赤外線カメラで読み取った観察者の頭部の映像をモノクロ化した後、映像分離回路で顔面の右半分と左半分に自動的に輝度分布を発生させ、これをバックライトに反映し、右目用の映像は右目に、左目用の映像は左目にしかそれぞれ入らないように、液晶バックライトを当てている。

3Dディスプレー本体の内部。一番奥に、観察者の目に反映したバックライトの白い光が見える
3Dディスプレー本体の内部。一番奥に、観察者の目に反映したバックライトの白い光が見える



赤外線センサーは、複数の観察者に同時に作用し、観察者それぞれの顔の左右半面像がリアルタイムで自動作成されるため、それぞれの観察者に合ったバックライトが、右目用と左目用の映像を個別に照射でき、複数人が同時に立体映像を観察することが可能。

2D/3Dイメージコンバーターは、観察者の右目と左目に対し、映像までの距離の視差が一定になることで発生する目の錯覚を利用する。観察者から見て球面に投影されているように知覚される立体映像を、2D画像を変形させて作成できる。この方式で作り出された画像は、知覚的に想像どおりの立体感を観察者に与えるため、強制的に奥行き感を作成した立体映像をよりも、観察時の目の疲労が少ないという。

2D/3Dコンバーターの試作機。製品版のサイズは、この試作機の3分の1程度(約300×200×50mm)になるという
2D/3Dコンバーターの試作機。製品版のサイズは、この試作機の3分の1程度(約300×200×50mm)になるという



価格は、3Dディスプレーと2D/3Dコンバーターのセットで360万円前後。製品出荷は、受注後2~3ヵ月後となる。

また両社は、本日13時~18時にヴァーチャルリアリティセンター横浜ショールーム(横浜みなとみらいクィーンズタワーC17階)と、12月25日の13時~18時に岐阜県各務原市須衛町4-179-1テクノプラザ4Fで、『SeaPhone 3D display』の一般公開を行なう。

ヴァーチャルリアリティセンター横浜の代表取締役社長の関塚亨氏(左)と、シーフォンの代表取締役社長の服部知彦氏(右)。服部氏は、この3Dディスプレーで、日欧米で特許申請を行なっている。服部氏は「この立体映像は観察者にとって疲労が少なく、自然に見える。人間にとってやさしい映像」とコメント。関塚氏は「医療現場や、エンターテインメント分野を中心に製品展開を進めていく」としている
ヴァーチャルリアリティセンター横浜の代表取締役社長の関塚亨氏(左)と、シーフォンの代表取締役社長の服部知彦氏(右)。服部氏は、この3Dディスプレーで、日欧米で特許申請を行なっている。服部氏は「この立体映像は観察者にとって疲労が少なく、自然に見える。人間にとってやさしい映像」とコメント。関塚氏は「医療現場や、エンターテインメント分野を中心に製品展開を進めていく」としている

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