このページの本文へ

伊藤忠テクノサイエンス、金融業界向けのIT展示会を開催

1999年12月16日 00時00分更新

文● 取材/EC研究会 小山敦之、監修:同代表 土屋憲太郎

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

伊藤忠テクノサイエンス(株)(CTC)は、12月15日、16日の2日間、東京・港区の新高輪プリンスホテルにて、CTCファイナンシャル・ソリューションフェア’99を開催した。テーマは“最先端技術がもたらすインターネット時代の金融ソリューション”。

CTCは、業種ごとに特化したグループ会社と共に、約3万社のクライアント企業に最新のソリューションを提供している。同社が扱っているのは、米シリコンバレーをはじめとした世界9ヵ国、約120社の製品で、金融部門に関してはCTCファイナンシャルエンジニアリング(株)(CTCFE)を中心に、ソリューションビジネスを展開している。

今回のフェアはそのCTCFEとCTCが共催したもので、海外の企業を中心に金融ビジネスを加速する最先端ITベンダーが集結したもの。同フェアにおける最大のウリは、米国では注目を集めているが日本ではまだ発表されていないという、活きのいい最先端事例や金融ITソリューションを多数紹介していたことだ。

会場はネット金融への関心の高さを示す盛況

同フェアでは、多くのIT先進企業がプレゼンテーションを実施。70セッション以上のワークショップにより、金融ITを駆使した最新の成功事例が紹介された。プレゼンテーションを行なったのは、トップ企業500社の多くが採用するマーケティングツールを提供している米net.Genesis社や、世界最大規模のコールセンターを擁する米First Union銀行など。

CTCファイナンシャル・ソリューションフェア’99では、約50社の企業がブースをオープンした
CTCファイナンシャル・ソリューションフェア’99では、約50社の企業がブースをオープンした



展示会場では、国内外の金融IT関連企業が製品やソリューションを発表。オンライン証券の本格的稼働やソニー(株)のオンラインバンク構想が発表された直後のためか、多くの来場者が熱心に担当者の説明に聞き入っていた。なかでも最大のブースを使って紹介を行なっていたのが日本オラクル(株)だ。

他ベンダーの製品を組み合わせたシステムを提供--日本オラクル

日本オラクルでは、従来型のビジネスからe-businessへの移行を支援する総合的なアプリケーションや、インターネット・プラットフォーム、専門サービス体制の提供を行なっている。しかし、財務、製造、顧客サービスなどの企業プロセス全般を、さまざまな業種にわたってサポートするためには高度な専門性が要求される。

このため日本オラクルでは、各ベンダーが提供する最適のソフトウェアを組み合わせ、システム全体で効果的に運用できる“Architected Best Class”(ABC)というコンセプトを掲げている。オラクルのアプリケーションをシステムの中核に据え、各分野のトップベンダーの製品と統合させることで、導入企業のe-businessでの競争力を一層高めることを狙ったコンセプトだ。

このため今回のフェアでも、パートナーシップを組むベンダーの製品を組み入れたシステムを数多く紹介した。大きなブースを必要としたのは、オラクルのパートナーシップの広さと、その総合力をアピールするためだ。

展示ブースで説明にあたる日本オラクルの担当者も、「当社は金融分野ではまず銀行向けのソリューションを提供させていただきましたが、その場合でも各ベンダーさんとのパートナーシップで高い完成度のシステムを開発しました」と、パートナーシップを強調。

また、「今後他の金融分野にもソリューションをご提供したいと考えていますが、当社のオープン・プラットフォームを中核に、最適のパートナーシップにより臨みたいと考えています」と、オープンでフレキシブルな同社の体制を強調していた。

IPアドレスに着目したセキュリティー製品

一方、セキュリティー関連の製品でユニークなデモを行なっていたのが、新日鉄情報通信システム(株)(ENICOM)だ。同社のセキュリティーシステムの特徴は、複数の標準ファイアウォールで構成された『Stone-Beat』と、クラッカー撃退ソフトの 『Viper』を組み合わせていること。

クラッカーがシステムに侵入するには、そのシステムにアクセスできる社員のIDとパスワードを盗まなければならない。このためクラッカーは侵入したい会社の社員情報を蓄積し、そのデータベースから無作為にIDとパスワードを組み、どれかがヒットするまでシステムにアクセスし続けるといったソフトを独自に作っている。

しかしそのような不正なアクセスでは、IPアドレスまで盗むことはできない。Viperはそこに目を付けた監視システムで、不正なIPアドレスからのアクセスがあると、24時間体制でモニターを行なっているセキュリティーエンジニアに異常を通知する。エンジニアはその通知に基づいて、ファイアウォールにネットワークの遮断を命令するなど、必要な措置をとることができる。

しかし、金融機関のネットワークはスピードと確実性が命。システムダウンはもっとも避けなければならない事態といえる。そこで威力を発揮するのが、StoneBeatだ。数台のファイアウォールを同一のIPアドレスで稼働/管理しているので、クラッカーによる攻撃を遮断してもシステムがダウンすることはない。

同社の担当者は、「昔のクラッカーはある程度以上のスキルを持っていました。しかし、今やインターネット上にクラッキングソフトが流通している時代です。その気になれば、だれでもクラッカーになれる。そんな時代だからこそ、優れたセキュリティーシステムが必要なのです」と、ハッキング撃退のデモを行ないながら同社が提供するシステムの必要性を強調していた。

今回のフェアでは、この他にも金融ソリューションとして優れた製品が多数展示されていることに加え、ネットワーク時代の金融ビジネスに関するワークショップも同時に行なわれ、説得力のある催しとなっていた。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン